英検1級のレベル・試験内容・合格点・対策法を解説【2024年度版】

英検(実用英語技能検定)は、英語力を客観的に表す指標として高い認知度を持つ資格です。

なかでも最難関の1級は、語学の専門性の強力なアピールとなり、取得することで英語力が必要とされるさまざまな場面での高い評価につながります。

この記事では、英検1級の試験内容やレベル、合格点など、受験前の準備で知っておきたい情報を解説します。

目次

※この記事は、2024年6月時点の調査内容をもとに作成しています。最新情報については、英検のウェブサイト等をご確認ください。

英検1級のレベルと合格基準点

大学上級程度の英語力が目安

英検1級のレベル目安は、大学上級程度の英語力とされています。1級の取得により、日常的な英語のコミュニケーションだけでなく、ビジネスやアカデミックな場も含めた幅広いシーンで活躍できるだけの英語力を兼ね備えていることを証明できます。

また、世界で広く使われている言語運用能力の指標「CEFR(セファール)」に当てはめた場合、英検1級合格者の英語力は上級のC1レベルに分類されます。

CEFR C1:熟達した言語使用者

いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。

※出典:ブリティッシュ・カウンシル|CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)

英検1級の合格基準スコア

英検では、受験級に対する合格・不合格の判定とともに、英検CSEスコアとよばれる点数評価を算出します。

英検CSEスコアとは、英検の評価システム全体で使われている評価指標で、級ごとに合格基準点と満点が決まっています。英検1級の合格点は、下記の通りです。

【英検1級の合格に必要なCSEスコア】

  • 一次試験(リーディング・リスニング・ライティング):2028点
  • 二次試験(スピーキング):602点
  • 4技能合計:2630点/3400点満点中

英検CSEスコアは、受験級の合格ラインまであとどれくらいの点数が必要なのか、目標達成に向けた距離感をつかむために役立ちます。

また、すでに合格済みの級に再び挑戦する際も、英検CSEスコアを参照することで英語力の変化を可視化できます。英検で取得した資格に有効期限はありませんが、定期的な腕試しや自己研鑽のために、さらなるスコアアップを目指して繰り返し受験に臨む人もいます。

英検1級の試験内容

一次試験の出題内容

英検1級の一次試験は、リーディング・ライティング(100分)、リスニング(約35分)の3科目です。2時間を超える長丁場の試験であり、いかに集中力を切らさず問題を解き終えるかが合格への鍵となります。

測定技能 課題と問題数
リーディング ・短文の空所補充(22問)
・長文の空所補充(6問)
・長文の内容一致選択(7問)
ライティング ・英文要約(1問)
・指定のトピックに関する意見の英作文(1問)
リスニング ・会話の内容一致選択(10問)
・説明文などの内容一致選択(10問)
・アナウンスなどReal-Life形式の音声に関する内容一致選択(5問)
・インタビューの内容一致選択(2問)

2024年度の試験内容リニューアルでの変更点

英検では、2024年度第1回検定より、試験内容が一部リニューアルされています。

英検1級では、リーディングセクションの問題数が41問から35問に削減された一方、ライティングセクションに要約形式の英作文問題が加わりました。

なお、試験時間に変更はなく、リニューアルされたリーディング・ライティングセクションも従来と同様の100分です。

二次試験の出題内容

英検1級の二次面接試験は、所要時間約10分の対話形式です。その他の級とは異なり、1級のみ受験生一人に対して面接官二人が試験を担当します。

測定技能 課題と問題数
スピーキング ・面接官との自由会話
・5つのトピックから1つを選び2分間のスピーチを行う
・スピーチの内容やトピックに関連する質疑応答

英検1級対策のコツ・合格のための勉強方法

リーディング対策

英検1級のリーディングセクションでは、文化、歴史、医療、政治など、長文読解の出題テーマが多岐にわたります。

難易度の高い長文パッセージを読み解くには、相応レベルの語彙力だけでなく、さまざまな文構造の英文を正確に理解するスキルの習得が欠かせません。英検の過去問や模擬試験のリーディング問題を解いた後は、対訳などを参照しながら、意味の理解が曖昧な部分がないかを必ず確認しましょう。

一見複雑な英文でも、丁寧に品詞分解をして構造を紐解いていくことで、その意味が見えてきます。問題を解く際は、本番同様に時間を計ってスピードを意識する一方、答え合わせと見直し時にはしっかりと時間をかけてパッセージを精読し、正確かつ素早い英文の読解力を身につけていきましょう。

問題演習を繰り返し、数多くの英文に触れる中で単語・熟語力は自然に鍛えられていきますが、語彙力を集中的に強化したい場合は、市販の単語帳などを使って例文とともに意味をインプットするのがおすすめです。

リスニング対策

英検1級のリスニングセクションでは、その他の級にはないインタビュー形式の聞き取り問題(Part 4)が出題されます。

話者が約3分にわたって話し続けるこの問題では、情報量が多く、すべての内容を頭の中で処理しようとすると混乱しがちなため、適宜メモを取りながら音声を聞くことが望ましいでしょう。2つの問題文はインタビュー音声の最後に流れますが、あらかじめ問題の選択肢に目を通しておき、どんな内容が聞かれそうか、大方の予想をつけておく方法も有効です。

練習問題を繰り返し解いても正答率が上がらない場合は、「そもそも知らない単語が多く内容が理解できていない」「音声のスピードに意味の処理が追い付いていない」など、どこがボトルネックになっているのかを明確にした上で対策を行いましょう。

語彙力が足りないケースでは単語帳を使ったインプットの強化、意味を理解するまでのスピードに課題を抱えているならシャドーイングを集中的に行うというように、リスニング対策の中にもさまざまな種類があります。

ライティング対策

英検1級のライティングタスクは、要約問題と意見論述問題の2種類です。

要約問題では、課題文の内容を正確に理解した上で、自分の言葉を使って要点をまとめる力が求められます。パッセージを読む際は、接続詞などに着目しながら全体の要旨と前後の文脈関係を読み取り、パラフレーズによって適切に表現を言い換えてサマリーを仕上げましょう。

意見の論述問題に関しては、語彙や文法を正しく使いこなすスキルはもちろんのこと、トピックに対する自分の考えを論理立って表現できるかが鍵となります。問題の指示にもある通り、“introduction, main body, conclution”の順に書くエッセイの基本構造を押さえつつ、主張の裏付けとなる理由を3つ挙げて自らの意見をまとめます。

説得力のあるエッセイを限られた時間内で書き切る力をつけるには、時間を計りながら演習問題に取り組み、書きあがった英作文を見直して改善点を反映させる、というプロセスを繰り返すことが大切です。

英検1級レベルにふさわしい語彙や表現が使えているか、論旨に一貫性があるかなど、客観的な目線からのチェックが重要なポイントも多いため、英検対策に特化したライティングの添削サービスを活用し、プロの講師からアドバイスを受けるのもおすすめです。

スピーキング対策

英検1級のスピーキング試験で特徴的なのは、提示された5つのトピックの中から1つを選んで行う2分間のスピーチです。1級でのみ出題されるこのスピーチタスクでは、会話形式ではなく一人で2分間話し続けることが求められるため、慣れないうちは苦戦する学習者も多いでしょう。

スピーチのトピック例としては、下記のような項目が過去に出題されています。

【英検1級スピーキング試験 過去の出題例】

  • 科学の発展は常に有益か
  • 芸術への財政的支援増加の是非
  • 世界経済における日本の役割
  • 選挙権の行使を義務化するべきか
  • 遺伝子組み換え食品の安全性
  • 公共の場における治安改善の必要性 ほか
  • ※出典:公益財団法人 日本英語検定協会|1級の試験内容

与えられたトピックについて素早く考えをまとめてスピーチを行うことは、たとえ母語を使ったとしても容易ではありません。

英文ニュースを通じて社会的な話題に触れ、特定のトピックに対する賛成・反対双方の立場の意見を考えてみるなど、日頃からさまざまなテーマについて思いを巡らせる思考の習慣をつけておくと、受験時にも柔軟な対応力が発揮できるはずです。

まとめ

英検の受験級の中でも最難関の1級。取得の難易度が高い分、合格できれば英語力の強力なアピール材料になります。

試験対策を通じて4技能のスキルをさらにレベルアップさせ、上級者として英語を使いこなせるだけの実力を身につけていきましょう。

【参照サイト】公益財団法人 日本英語検定協会|英検(実用英語技能検定)
【参照サイト】公益財団法人 日本英語検定協会|英検S-CBT

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