英語力を証明する資格試験の中でも、日本国内で特によく知られている英検(実用英語技能検定)。
英検には7つの級があり、受験級ごとに出題内容や難易度が異なります。合格を目指すには、目標とする級で求められるスキルや試験の傾向をしっかりと理解し、対策に取り組むことが必要です。
この記事では、英検3級の試験内容やレベル、合格点など、試験対策に臨む上で知っておきたい情報を解説します。
目次
※この記事は、2024年6月時点の調査内容をもとに作成しています。最新情報については、英検のウェブサイト等をご確認ください。
英検3級のレベルと合格基準点
中学卒業程度の英語力が目安
英検3級は、基礎項目の定着度の確認に適した級で、中学卒業程度の英語レベルが目安とされています。
英検の受験を通じて得られる評価は、言語運用能力の国際指標である「CEFR(セファール)」とも対応しています。CEFRには、A1~C2までの6段階に分かれたレベルがあり、英検3級合格者の英語力は、このうち最も初歩的なA1レベルに分類されます。
具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。
英検3級の合格基準スコア
英検の試験結果には、受験級に対する合否判定と英検CSEスコアの二つが含まれます。
英検CSEスコアとは、すべての受験級に共通する0~4000点までの評価指標で、級ごとに合格基準点と満点が定められています。英検3級の合格点は、下記の通りです。
- 一次試験(リーディング・リスニング・ライティング):1103点
- 二次試験(スピーキング):353点
4技能合計:1456点/2200点満点中
英検CSEスコアを参照することで、英検全体の評価システムにおける自らの現在地や、次に目指す受験級との距離感が明確になります。
たとえば、英検3級の一つ上のレベルである準2級の合格点は、4技能合計で1728点です。よって3級の受験時に、準2級の合格点に近いCSEスコアを取得できていれば、余裕をもって準2級合格を目指せる位置にいると推測できます。
英検3級の試験内容
英検3級からは、自ら英文を考えて書くライティングセクション、面接形式でのスピーキングテストが試験に加わります。英語の基礎として学んだ知識を実際にアウトプットして使うことで、その後の応用段階へとスムーズに移行できるかが試されます。
一次試験の出題内容
英検3級の一次試験は、リーディング・ライティング(65分)、リスニング(25分)の3科目で、試験時間は合計90分です。
測定技能 | 課題と問題数 |
リーディング |
・短文の空所補充(15問) ・会話文の空所補充(5問) ・長文の内容一致選択(10問) |
ライティング |
・Eメール形式の英作文(1問) ・質問に対する意見の英作文(1問) |
リスニング |
・会話の応答文選択(10問) ・会話の内容一致選択(10問) ・物語文・説明文の内容一致選択(10問) |
2024年度の試験内容リニューアルでの変更点
英検では、2024年度第1回検定(コンピューター版の英検S-CBTは2024年5月実施分)より試験内容が一部リニューアルされました。
英検3級の場合、ライティングの英作文問題が1題から2題に増加。既存の意見論述問題に加え、Eメール形式の英作文問題が新たに導入されました。この変更に伴い、リーディング・ライティングセクションの試験時間も50分から65分に延長となっています。
二次試験の出題内容
英検3級一次試験の合格者は、別日に実施される二次試験(面接形式でのスピーキングテスト)に進みます。二次試験は、面接官との1対1の形式で行われ、面接自体の所要時間は約5分です。
測定技能 | 課題と問題数 |
スピーキング |
・30語程度のパッセージの音読(1問) ・音読したパッセージの内容に関する質問への応答(1問) ・イラスト中の人物の行動や物の状況を描写する問題(2問) ・受験者自身や日常生活の身近な事柄についての質問への応答(2問) |
英検S-CBT(コンピューター版)の試験時間
英検3級は、筆記形式の試験のほか、コンピューター版の英検S-CBTでも受験が可能です。英検S-CBTでは、4技能の試験すべてが一日で完了します。
英検S-CBTで3級を受ける際の流れと試験時間は下記の通りです。
- スピーキング:15分
- リスニング:25分
- ライティング・リーディング:50分
4技能合計:90分
英検3級対策のコツ・合格のための勉強方法
リーディング対策
リーディングセクションで出題される空所補充問題や読解問題を解くには、語彙の理解と習得が欠かせません。
英検3級は、中学卒業程度の英語レベルが目安とされています。文部科学省が定める現行の学習指導要領によると、学校の授業で取り扱う語数は、小学校で600~700語、中学校で1600~1800語程度です(※)。
英検3級対策用の市販の単語帳では、これらの語彙の中から重要度や英検での出題傾向を踏まえ、およそ900~1300語をピックアップしているケースが多くみられます。
英検3級レベルの語彙には、基礎的かつ使用頻度の高い重要単語も数多く含まれるため、小・中学校の教科書や市販の単語帳を活用しながら、発音と意味をしっかりインプットしておきましょう。
※参照:文部科学省|中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編
リスニング対策
英検3級のリスニングセクションでは、リスニング音声が第1部の問題で1回、第2部と第3部では2回ずつ流れます。出題の流れや形式に慣れるためにも、過去問や模擬試験を使って問題を解く練習をしておくと、本番でも落ち着いて試験に臨めるはずです。
問題を解いた後は、音声のスクリプトを読み、単語やフレーズを正しく聞き取れていたかを必ず確認しましょう。文の意味を理解するためのキーポイントとなる動詞・名詞のほか、質問文では疑問詞の聞き取りも欠かせません。
- What(何を)
- Who(誰が)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
発音を聞いてすぐに意味を思い浮かべられるよう、瞬発力を意識しながらリスニング練習を繰り返すことが重要です。
ライティング対策
英検3級のライティングセクションでは、二つの課題が提示されます。解答時の語数の目安は、Eメール形式の英作文が15~25語、質問に対する意見の英作文は25~35語程度です。
ライティングの解答は、下記の4つの観点で評価されます。語彙・文法の正確な使用はもちろんのこと、英文の構成や、課題で指定されている内容にきちんと答えられているかにも気を配りながら、時間内に解答を仕上げられるように練習しましょう。
- 内容:課題で問われているポイントと英文の内容が対応しているか
- 構成:わかりやすく論理的な英文の構成になっているか
- 語彙:課題に相応しい語彙を正しいスペル・意味で使えているか
- 文法:正しい文法の英文が書けているか
「参考書のモデルアンサーと自分の解答を見比べるだけでは、正しい英文を書けているかがわからない」という方は、英作文の添削サービスなどを利用し、プロの講師からアドバイスを受けるのもおすすめです。
スピーキング対策
英検3級以上では、二次試験として面接形式のスピーキングテストが行われます(※)。
試験当日に戸惑わないためにも、スピーキングの対策時は、過去問や参考書の問題を使いながら実際に英語を話す練習を繰り返すとよいでしょう。身近な人に面接官役をしてもらったり、オンライン英会話サービスなどを活用したりして、本番の流れを再現してみてください。
可能であれば、練習の際に自分の解答を録音しておくと、語彙や文法を正しく使えているか、聞き取りやすい発音で話せているかなどを後から振り返ることができ、改善点の発見へとつなげられます。
※英検S-CBT(コンピューター版)のスピーキングテストは、ヘッドセットを着用してマイクに解答を吹き込む録音式です。
まとめ
今回は、英検3級を受験する際に押さえておきたい、試験内容の詳細や対策法について紹介しました。
これらの情報を参考にしながら、しっかりと準備をした上で試験に臨み、最短ルートでの3級合格を目指しましょう。
【参照サイト】公益財団法人 日本英語検定協会|英検(実用英語技能検定)
【参照サイト】公益財団法人 日本英語検定協会|英検S-CBT
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English Hub 編集部
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