英検(実用英語技能検定)は、日本国内で実施されている英語試験の中でもトップクラスの知名度を有します。
受験級が7つに分かれている英検では、レベルごとに出題内容や難易度が異なります。最短ルートで合格するためには、目標級の試験で試されるスキルや出題傾向をしっかりと理解し、的を絞った勉強計画を立てることが欠かせません。
この記事では、基礎から応用段階へとステップアップしていく上で重要なマイルストーンとなる英検準2級の試験内容やレベル、合格点など、試験対策に臨む際に知っておきたい情報を解説します。
目次
※この記事は、2024年6月時点の調査内容をもとに作成しています。最新情報については、英検のウェブサイト等をご確認ください。
英検準2級のレベルと合格基準点
高校中級程度の英語力が目安
英検準2級は、高校中級程度の英語力を目安としています。試験で扱う題材には、日常の身近なテーマだけでなく、教育や科学などの社会的なトピックも加わります。
英検準2級合格者の英語力は、言語運用能力の国際指標である「CEFR(セファール)」の6段階評価のうち、最も初歩的なA1から一歩進んだA2レベルに分類されます。
ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。
英検準2級の合格基準スコア
英検では、受験級に対する合否判定に加え、英検CSEスコアを使った英語力の評価を行います。
英検CSEスコアとは、すべての受験級に共通する0~4000点までの評価指標で、級ごとに合格基準点と満点が定められています。英検準2級の合格点は、下記の通りです。
- 一次試験(リーディング・リスニング・ライティング):1322点
- 二次試験(スピーキング):406点
4技能合計:1728点/2400点満点中
英検CSEスコアは、自らの英語力の現在地や、次に目指す受験級とのギャップを知るために役立ちます。
たとえば、英検準2級の一つ上のレベルである2級の合格点は、4技能合計で1980点です。よって準2級の受験時に、2級の合格点に近いCSEスコアを取得できていれば、すでに2級合格も目指せる範囲内にいると推測できます。
英検準2級の試験内容
一次試験の出題内容
英検準2級の一次試験では、リーディング・ライティング(80分)、リスニング(25分)の3科目が行われ、試験時間は合計105分です。
測定技能 | 課題と問題数 |
リーディング |
・短文の空所補充(15問) ・会話文の空所補充(5問) ・長文の空所補充(2) ・長文の内容一致選択(7問) |
ライティング |
・Eメール形式の英作文(1問) ・質問に対する意見の英作文(1問) |
リスニング |
・会話の応答文選択(10問) ・会話の内容一致選択(10問) ・物語文・説明文の内容一致選択(10問) |
2024年度の試験内容リニューアルでの変更点
英検では、2024年度第1回検定(コンピューター版の英検S-CBTは2024年5月実施分)より、試験内容が一部リニューアルされました。
英検準2級においては、リーディングセクションの問題が37問から29問に削減された一方で、ライティング(英作文)の出題が1題から2題に増加。2級と同様、Eメール形式の英作文問題が新たに加わりました。また、リーディング・ライティングセクションの試験時間が、75分から80分に延長されています。
二次試験の出題内容
英検準2級の一次試験に合格すると、別日に実施される二次試験(面接形式でのスピーキングテスト)の受験が可能となります。二次試験は、所要時間が約6分で、面接官との1対1の対話形式で行われます。
測定技能 | 課題と問題数 |
スピーキング |
・50語程度のパッセージの音読(1問) ・音読したパッセージの内容に関する質問への応答(1問) ・イラスト中の人物の行動について描写する問題(1問) ・イラスト中の人物の状況について説明する問題(1問) ・カードのトピックに関連した、受験者自身の意見を答える問題(1問) ・受験者自身や日常生活の身近な事柄についての質問への応答(1問) |
英検S-CBT(コンピューター版)の試験時間
英検準2級は、筆記形式の試験のほか、コンピューター版の英検S-CBTでも受験が可能です。英検S-CBTでは、4技能の試験すべてが一日で完了します。
英検S-CBTで準2級を受ける際の流れと試験時間は下記の通りです。
- スピーキング:15分
- リスニング:25分
- ライティング・リーディング:75分
4技能合計:115分
英検準2級対策のコツ・合格のための勉強方法
リーディング対策
英検準2級の試験からは、リーディングセクションに長文の空所補充問題が加わります。
長文の空所補充問題では、パッセージをスピーディーに読み進めながら、文章の構成を正しく理解するスキルが必要です。また、主に語彙や文法知識が問われる短文の空所補充問題とは異なり、空所付近だけではなく全体の話の流れをきちんと把握した上で解答を選ばなければなりません。
動詞・名詞などの語彙力の強化はもちろんのこと、長文で頻出する接続詞の意味と使われ方を改めてインプットし、前後の文脈を素早くつかむための力を鍛えておくのがおすすめです。
リスニング対策
英検準2級のリスニングセクションでは、すべての問題音声が1回ずつ流れます。3級の試験までは、音声を2回聞けるパートもあったため、この違いに苦戦する受験者も多いはずです。
準2級では、イラストを参照する問題がなく、聞き取った音声と解答の選択肢のみを頼りに答えを選ぶ必要があります。会話文のリスニングの場合は、友人同士の会話、お店での客と店員の会話など、「登場人物は誰か」「どんな場面でのやり取りなのか」に集中し、音声を聞きながらそのシーンを思い浮かべましょう。
過去問や問題集を使ってリスニングの練習をする際は、聞き取った内容を頭の中で一語一句日本語に訳すより、英語から直接その情景を思い浮かべることを意識すると、長い英文の聞き取りにも対応しやすくなります。
ライティング対策
英検準2級のライティングセクションには、Eメール形式の英作文(40~50語程度)と、質問に対する意見の英作文(50~60語程度)の二つの課題があります。
英作文の評価ポイントは、下記4点です。準2級からは、文法の正確性に加えて、多様な文構造を使えているかどうかも評価の対象となります。たとえば、自分の意見を表す際は、“I think…”で始まる文だけを使用するのではなく、“In my opinion…”や“I believe…”などの表現も取り入れると繰り返しを避けられます。
- 内容:課題で問われているポイントと英文の内容が対応しているか
- 構成:わかりやすく論理的な英文の構成になっているか
- 語彙:課題に相応しい語彙を正しいスペル・意味で使えているか
- 文法:文構造のバリエーションを適切かつ正しく使えているか
同じ単語ばかりを使って単調な英作文にならないよう、語彙のインプット時には類義語も併せて目を通しておくと、少しずつ表現の幅を広げられるでしょう。
スピーキング対策
英検準2級の二次試験では、面接形式のスピーキングテストが行われます(※)。
準2級の場合、一文で解答するだけでなく、イラストを見て複数の人物の行動を描写する問題もあるため、3級のスピーキングテストと比べて必然的に発話量が増えます。
英語を話すことに慣れるには、独り言をつぶやくように普段から身の回りの状況を英語で説明してみる練習方法が有効です。また、自分の発話を録音した上で、適切な語彙と文法が使えているかを確認したり、他の言い方ができないかを改めて考えたりすることで、正確性と応用力が着実に身についていきます。
試験本番と同様の流れを再現し、緊張感のある環境でスピーキング練習をしたいのであれば、英検の二次面接対策に対応したオンライン英会話サービスなども適宜活用しましょう。
※英検S-CBT(コンピューター版)のスピーキングテストは、ヘッドセットを着用してマイクに解答を吹き込む録音式です。
まとめ
今回は、英検準2級の受験時に役立つ、各科目の試験内容や対策方法を紹介しました。
準2級では、これまでに固めた英語の基礎知識を、より実践的な形で使っていくための力が試されます。目標達成に向けてしっかりと対策をした上で試験に臨み、合格をつかみ取りましょう。
【参照サイト】公益財団法人 日本英語検定協会|英検(実用英語技能検定)
【参照サイト】公益財団法人 日本英語検定協会|英検S-CBT