英語学習者にTOEICよりも英検受験をおすすめする7つの理由

英検は高校生までに必要な資格で、大学生や社会人はTOEICが必要、というのが、英語学習者が考える資格の典型例かもしれません。しかし、英検は、大学生や社会人にとっても、学ぶ価値が大いにあります。今回は、英検の優れたポイントをご紹介します。

英検受験をおすすめする7つの理由

全ての英語学習者に対して英検受験をおすすめできる主な理由は、下記の7つとなります。

  1. 4技能をバランスよく身につけることができる
  2. 英語で論文を書く練習になる
  3. 級別に分かれており、段階的にステップアップできる
  4. 受験者専用の学習教材が無料で利用可能
  5. 試験問題を持ち帰り、復習することができる
  6. 英検の面接委員として活躍の機会がある
  7. 英字新聞や雑誌などが読めるようになる

それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。

1. 4技能をバランスよく身につけることができる

英検は、「読む・書く・話す・聞く」、4技能すべての問題があります。TOEICにもスピーキングとライティングのテストがありますが、リーディング&リスニングの試験とは別に受験する必要があります。英検は学習を進めながらそれぞれの力をバランスよく高めることができるテストだといえるでしょう。

いままでは、1次試験に合格しないと2次試験のスピーキングの受験はできませんでした。2018年度より、1次・2次という枠を外した4技能全てを測定する新しい英検「英検CBT」がはじまります(2018年度は2級、準2級、3級のみ)。試験内容と難易度は従来の英検と同じですので、4技能全てを1度に判定したいのであれば、英検CBTを受けてみるのもよいでしょう。

2. 英語で論文を書く練習になる

2017年度より、3級以上の全ての級で英作文が出題されるようになりました。英作文は、いわゆる「英文エッセイ」の形で書くことを求めています。英文エッセイとは、質問に対して

  • 自分の立場(賛成か、反対か)
  • その理由①
  • 理由に対する説明
  • その理由②
  • 理由に対する説明
  • 結論(自分の立場をもう一度述べる)

という構成で書かれた文章です。

はじめに重要なことを述べ、後ろからその理由を列挙していくこの形は、言い換えればネイティブの考え方を表しています。英語の論文やビジネスの書類などもこの考え方をベースとして作成されます。英検の英作文を学習することは、ネイティブの人たちの考え方を知り、コミュニケーションを効果的に行ううでも役立ちます。

3. 級別に分かれており、段階的にステップアップできる

英検は5級から1級まで、7段階の試験があります。自分の能力に合わせたものを選んで受けることができます。ひとつの級を合格したらまた次に挑戦、という形で段階を踏んでステップアップできるため、学習のモチベーションを維持することが容易です。

一方で、全ての級で英検CSEという国際規格に準拠したスコアが算出されます。各級の合格、という結果に加えて数字でスコアがみられることで、自分の英語力をより客観的に評価することができます。

4. 受験者専用の学習教材が無料で利用可能

英検を申し込むと、「スタディギア」というオンライン学習教材が利用可能となります。スタディギアには単語練習、文法、リスニング、ライティングといった分野別の問題演習から、模擬試験形式の練習までカバーされています。1次試験後には2次試験対策の練習教材が3セット用意されており、スタディギア1つあれば合格まで学習を進めることができるように設計されています。

このオンライン教材は、2018年度現在、5級から2級までに付属しています。受験料だけで練習教材まで手に入るのは英語検定の大きな特徴ですね。

5. 試験問題を持ち帰り、復習することができる

TOEICでは試験問題は回収されてしまいますが、英検は問題を持ち帰ることができます。終わった後に読み返し、自信のなかった問題にもう一度取り組むことで、さらなる英語力アップにつながります。英検のホームページでは1年分の試験問題が掲載されています。

問題と解答、リスニングのスクリプトはpdfファイルで、リスニングの音源はmp3ファイルでそれぞれダウンロードできます。自分のPCや音楽プレイヤーに取り込めば、実際の問題を使って学習することができますね。

6. 英検の面接委員として活躍の機会がある

準1級、1級の有資格者は、2次試験の面接委員になることができます。これには、現在面接委員をしている方の推薦と、ウェブ上での研修が必要です。大学入試改革によって今後英検受験者の大幅な増加が予想される英検では、面接委員が今よりも多く必要になるでしょう。

政府が主導する働き方改革によって、残業の抑制や副業の解禁が徐々に行われています。英検の面接委員として、新しい活躍の場を見つけることは、これからのキャリアプランにプラスになることでしょう。

7. 英字新聞や雑誌などが読めるようになる

英語検定で出題される文章は、TIMEやニューズウィークといった雑誌や英字新聞から出題されることも多いです。準1級や1級で出題される語彙問題も、こうした雑誌や新聞で頻繁に使用される語からの出題であることが多いです。

英検で出題される語彙を習得することや、長文問題に取り組むことは、そのまま、雑誌や新聞を読む力を鍛えることにつながります。TOEICはビジネス系の書類を短時間に大量に処理する能力が求められますが、英検では、時事問題もからめた現代英文をじっくりしっかりと読みこなす能力が必要になります。英検を取得して、英語で記事が読めるように、ステップアップしていきましょう。

まとめ

英検を通じて、4技能をバランスよく学習することができ、また英語を使って社会で活躍するために必要な英文エッセイを書く力や、新聞、雑誌を読み解く力をつけることができます。事前学習や試験後の復習にも取り組みやすいので、モチベーションを高めることも容易です。英語を今後のステップアップのツールとして使いたい方のために、英検は大きな力を与えてくれます。興味を持った方はぜひ英検のホームページへアクセスしてみてください。そこが新しい自分への第一歩になってくれるでしょう。

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中野 靖之

東京大学などの難関大学進学を目指す高校生に英語を教えています。「自分の目で、世界を見たい」と、20代は青年海外協力隊や世界青年の船などに参加し、多くの海外青年達と交流しました。英語は、世界につながるツール。自分の思い描く未来へと、羽ばたいて欲しいです。慶應義塾大学文学部卒業、英検1級、TOEIC910点。