今回は、留学や旅行でイギリスへの渡航を計画している方のために、現地の移動手段についてまとめました。島国イギリスは、アメリカやオーストラリアなどの大陸国と比較すると面積が狭い分、移動も容易です。公共交通手段が国内を網羅しており、移動に関する不自由は感じられません。またイギリスは年間を通じて世界中から人々が訪れる観光国、欧州のビジネス中心地でもあり、多様な移動手段のインフラが整っています。
ロンドン市内での移動手段
ロンドンの交通機関は携帯アプリにより時刻表や路線のチェック、交通状況の確認なども可能です。渡航前に地下鉄やバス用のアプリをダウンロードして、事前に使い方を把握しておくのも一考です。
1. Underground (地下鉄)
Tubeという愛称で呼ばれるロンドンの地下鉄は、地元の人々の重要な足。路線は、ロンドン市内から郊外まで東西南北を網羅しています。ロンドン市内の道路は深夜を除き常に渋滞しているため、地下鉄は敏速かつ確実な移動手段です。地下鉄の最終は通常夜12時前後ですが、一部には金曜と土曜のみ12時以降も運行する路線もあります。ロンドンの地下鉄は比較的安全ですので、昼間の利用なら一人でも問題ないことが多いでしょう。ただ路線によっては、あまり治安の良くない地域に駅があるものや、夜になると急に人がまばらになるラインがあるため、夜遅くに一人で乗らないなどの注意は必要です。また観光地近くの駅などでは、スリなどの犯罪も皆無ではないため、所持品などには気を配りましょう。
※地下鉄はイギリスではunderground 、アメリカではsubwayと呼ばれます 。subwayはイギリスでは地下鉄ではなく、地下道を意味します。
2. National Rail (電車)
National Railと呼ばれる電車は、ロンドンと地方都市を結ぶほか、ロンドン市内や郊外の電車駅と地下鉄駅間もリンクしています。こちらもロンドン住人の重要な通勤手段です。ただし、市内で利用する場合、地下鉄と比べて本数が少ないこと、駅と駅の区間が地下鉄よりかなり離れていることが少し不便な点です。イギリス国内の電車も比較的安全ですが、ロンドン市内の通勤電車は、通勤時間帯を過ぎると急に人気がなくなる路線が多いため、夜はなるべく一人で乗らないなどの注意が必要です。
3. Double-Decker (市バス)
Double-Deckerと呼ばれる赤い2階建てのバスはロンドンのアイコンの一つ。ロンドン市内、郊外、また地下鉄が走っていないエリアを網羅しています。ロンドンバスの大きな利点は、深夜でも運行している路線が多数あること。地下鉄の最終が出る時間から朝まで運行するナイトバスや、24時間運行している路線があります。バスも比較的安全ですが、深夜バスを利用する際は、二階席ではなく運転手に近い一階に座ることをおすすめします。
ロンドン交通機関の運賃支払い
上記ロンドンの交通機関の料金詳細はロンドン交通局のサイト(アプリもダウンロード可能)でチェックできます。
ロンドン交通局では、他国に先駆けて、クレジットカードやデビットカード、Apple Payなどのコンタクトレス決済による運賃の支払いを可能にしました。これにより運賃を調べて切符を買う必要がなくなり、手持ちのカードや携帯アプリを改札でタップするだけで乗車が可能です。運賃は、目的地の駅に到着し改札出口で再度カードをタップした時点で清算される仕組みです(そのため、出発時と到着時には必ず同じカードを使うよう注意が必要)。以前は、慣れない外国で切符の買い方がわからず右往左往したり、切符売り場に長い列を作ったりする外国人を多数見かけましたが、現在ではこのような切符売り場の「渋滞」が改善されました。バスについては、一律料金が適用され乗車時に一度だけタップする仕組みです。
4. Coaches(長距離バス)
Coachと呼ばれるバスは、長距離バスを意味します。コーチを運営する会社はNational Expressや Eurolinesなどの数社があり、イギリス国内の都市を結ぶ国内路線と、イギリスと欧州の国々を結ぶ国際路線があります。コーチの料金は電車やユーロスター(※)と比較すると格安なので、長距離の移動費を抑えたい場合は、コーチを利用するのがおすすめです。
※ユーロスター:イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ国際高速列車
5. Black Cabs(タクシー)
イギリスでは、タクシーはCabと呼ばれます。ブラックキャブは、ダブルデッカーと同様にロンドンのアイコンの一つ。ブラックキャブはメーター制のタクシーで、乗り方は流しを止める、またはタクシー乗り場で乗るのが主流ですが、電話での予約も可能。ロンドンのブラックキャブの運転手は難関と言われる試験をパスした「エリート」で、市内の道路を隅々まで暗記していると言われます。従ってロンドンのブラックキャブは、安全で快適なキャブとして知られています。ただし、料金はメーター制で多少のチップを支払うことが期待されるため割高になります。
6. Mini Cabs(タクシー)
Mini Cabは、予約でのみ運営されるタクシーで、電話やネットなどで予約が可能です。予約時に行き先を告げ、前もって提示された料金を支払いますので、乗車前に支払い金額がわかります。ミニキャブも、多少のチップを支払うことが期待されていますので、予約時に告げられた額にチップを少し上乗せした金額を支払います。ただし、ミニキャブの中には、ライセンスを持っていない「もぐり」のキャブもあり、空港や駅などで客引し、法外な値段を要求する悪質な運転手もいますので注意が必要です。客引きなどをするキャブには絶対に乗らず、自分で予約をすることをおすすめします。
7. Uber
日本でも知られるようになったUberですが、ロンドンではすでに大人気の移動手段です。Uberの優れた点は、言葉が不自由な外国で行き先を説明する手間が省け、地理のわからない場所でも、アプリ上の地図で自分の居場所が確認できる点です。また現金やカードのやりとりが必要ない点で安心です。外国で、特に夜女性が一人タクシーに乗るのは不安な要素がありますが、Uberならドライバーの名前も自動車の登録番号も全て前もって把握できるため安心感があるでしょう。加えて、一旦アプリに登録しアカウントを開けば、国が変わっても同じ口座で利用が可能なので、ヨーロッパで英国以外の国に行った場合でも、非常に便利です。
8. 公共交通手段としてのレンタル自転車(City Cycle)
ロンドンを始めイギリス国内の大都市では、公共のレンタサイクルの人気も高まっています。ロンドン市内には、Santander Cyclesと呼ばれるレンタルシステムがあり、当時ロンドン市の市長であったボリス・ジョンソンが導入したことから、別名ボリス・バイクとも呼ばれています。アプリを携帯へダウンロードして、自分のアカウントを開設し、最寄りのドッキング・ステーションで自転車をレンタルするというシステムです。
地方での移動手段
ロンドン以外の都市では、地下鉄システムがある街がグラスゴー、リバプールなど限られていますので、主要公共交通手段は、電車、市バス、メーター制タクシー、ミニキャブ、長距離バスなどです。またロンドンと同様の公共自転車の設置も広がりつつあり、Uberが利用可能な都市もあります。地方都市の移動手段の詳細については、それぞれの都市が観光客や住人向けに運営しているサイトなどが参考になります。
まとめ
いかがでしたか?ここではロンドンの情報を中心にお伝えましたが、イギリスは、全国的に公共交通手段で移動するのがとても容易な国です。地方や国外への移動や旅行も、鉄道、バスのネットワークが非常に発達しているため、車がなくても特に不自由はありません。料金についても早割や学割など各種割引があります。留学先でも公共交通機関を賢く利用して、週末や休暇の小旅行を大いに楽しみましょう!
【関連ページ】イギリス語学留学
【参照サイト】The Transport in UK Guide 2019 – Study in UK
【参照サイト】UK Travel, Tours & Transport Tickets | VisitBritain
【参照サイト】Best ways for visitors to pay – Transport for London
【参照サイト】Public Transport in the UK | InterNations
Yukari
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