“quite” と言えば、アメリカ英語流に「かなり」という意味だとイメージする学習者が多いのですが、実はイギリスでは、文脈によって解釈が変わってくる単語です。この英米間の異なる使い方を知らないと、会話中に誤解が生じたり、言いたい事がうまく伝わらなかったりとトラブルが生じることもあります。
今回は、イギリス英語でよく使われる quite の様々な意味をご紹介します。スムーズなコミュニケーションのためにも、使い方をしっかり確認しておきましょう。
1.quiteとは?
quite は、一般に「度合い」を表す副詞です。文脈によって、「少し(a bit)」、「とても (very)」、「完全に(completely・absolutely)」といった異なる意味を表します。
例えば、以下の2文では、quite の表す意味は違ってきます。
- Our teacher is quite nice.
(私たちの先生は、まあまあ親切です) - Yesterday was quite freezing
(昨日は、とても冷えました)
この違いは、quiteの後に置かれる形容詞の種類が異なることに由来します。
形容詞には、度合いを調節できる形容詞(gradable adjective)と度合い調節ができない形容詞(non-gradable adjective)があります。
- 「gradable adjective」は、質について様々な度合いで表現できる形容詞です。例えば big、small、bad、tastyなどがあります。「a bit small(少し小さい)」のように、度合いを調節することができる形容詞です。
- 「non-gradable adjective」とは、度合い調節ができない形容詞です。例えば、perfect、free、impossible、necessary などで、「very impossible(とても不可能)」と言うと不自然になるようなものです。
次に、これらの形容詞と組み合わされた場合の、quite の使い方と意味の違いを説明します。
2.quiteの使い方
置かれる位置や、それに続く形容詞の種類によって、quite は意味が異なります。
quite+度合い調節できる形容詞
「度合いを調節できる」形容詞を修飾する quite は「少し・けっこう」といった「主観的な判断」を付け加える役割になります。話者の口調やトーン、文脈によって、細かい違いについて判断しましょう。
- Karate is quite difficult.
(空手は、少し難しい。) - His comedy was quite funny.
(彼のコメディは、けっこう可笑しい。)
このように「多少・そこそこ(more or less)」といった、話者の言わんとするニュアンスを見て取れます。
quite+度合い調節できない形容詞
度合い調節できない形容詞を修飾する quite は、「まさに・完全に」という意味になります。
- This problem is quite crucial.
- This situation is quite ridiculous.
以上の文での quite は、completely や absolutely などで置き換えがきく「まったくもって」の意味だと解釈できます。
quite+名詞
quite は「quite+a/an+名詞」という形で、名詞を強調する役目を果たすこともあります。例えば、以下のように用いることができます。
- It is quite a task to manage my work.
(仕事を管理することは大変なタスクだ。) - I have quite a collection of railway models.
(鉄道模型の大規模なコレクションを持っている。)
Not quite/Quite
“Not quite” は、相手の意見について「理解・同意できない」場合に使える表現です。
- Mr Mash:Do you understand what your boss said?
(上司が言ったことがわかりますか?) - Peat:Not quite.
(あまり、わかりません。)
一方、quiteを単独で使用すると、「その通り(exactly)」のように「相手に同意する」という意味になります。
- Archie:I don’t want it to look like I fancy her.
(彼女のことが好きだと感じさせたくないんだ) - Geroge:Quite. You should change the plan, in that case.
(たしかに。その場合、計画を変更したらどうかな。)
quite a few 〜
“A few” だけだと「いくつかの」という意味ですが、それに quite をつけることで「たくさんの」という意味となります。続くのは「可算名詞」になるので注意しましょう。
- She has quite a few friends in America.
(彼女はアメリカにたくさん友達がいる)
この表現は、英米どちらでも使われ、試験でも頻出するので、ぜひ覚えておきましょう。
まとめ
今回は、イギリス英語における quite の意味を文脈別にご紹介しましたが、いかがでしたか?主に「とても(very)」という意味だけで用いられるアメリカ英語と比べると、少し複雑に感じたかもしれません。でも、慣れてしまえば自然に口から出てくるようになります。イギリスではネイティブが頻繁に使う単語ですので、何度も練習をして、ぜひ使いこなせるようになりましょう!
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【関連ページ】そのアメリカ英語、イギリスでも通じる?英米で異なる英語表現15選
【参照サイト】Adjectives: gradable and non-gradable
【参照書籍】「Oxford Advanced Learner’s Dictionary(9th Edition)」
ラッド 順子
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