日本の英語教育でベースとなるアメリカ英語は、日本人にとって耳慣れた英語かもしれません。シンガポール人が話す「シングリッシュ」やスコットランド人が話す「スコティッシュイングリッシュ」、ニュージーランド人が話す「キーウィイングリッシュ」など、世界にはさまざまな英語が存在します。そのなかの1つであるオーストラリア英語も、「聞き取りにくい」「訛っている」などと言われることもあり、独特な英語として知られています。
そこで今回は、オーストラリア英語とアメリカ英語を徹底的に比較し、違いを詳しく解説していきます。
発音の違い
アメリカ英語に耳慣れた人がオーストラリア英語を独特だと感じる理由の1つが「発音」にあります。しかし、アメリカ英語とオーストラリア英語との発音の主な違いは、以下の「Aの発音」を除けばアメリカ英語とイギリス英語との違いとも言えるでしょう。
Rの発音
アメリカ英語はRを巻き舌で発音する「rhotic(R発音)」ですが、オーストラリア英語はRの発音が消える「non-rhotic(非R発音)」です。日本人が苦手とするRの巻き舌がオーストラリア英語にはありません。例えば、オーストラリア英語では「right」の発音が極端に言えば「ゥーライッ」となります。怒りを込めて「ウー」と唸るように唇を尖らせる感じでRの単語を発すれば通じるはずです。また、語尾のRも「アー」と言うより「ウー」に近い発音になることがあります。
母音に挟まれたTの発音
アメリカ英語ではTの発音がときとしてDやRのような音になりますが、オーストラリア英語ではTをしっかり発音します。
アメリカ英語 | オーストラリア英語 | |
water | ウァーラァー | ウォーター/ウォートゥー |
letter | レラ-/レダ- | レター |
CAの発音
アメリカ英語ではCAの発音は「キャ」ですが、オーストラリア英語では「カ」になります。
アメリカ英語 | オーストラリア英語 | |
castle | キャッスル | カッスル |
can’t | キャーント | カーント |
Aの発音
アメリカ英語ではAが「エイ/ei/」と発音されることが多いですが、オーストラリア英語では「アイ/ai/」になります。
アメリカ英語 | オーストラリア英語 | |
today | トゥデイ | トゥダイ |
mate | メイト | マイト |
name | ネイム | ナイム |
reservation | リザヴェイション | リザヴァイション |
スペリングの違い
オーストラリア英語のベースはイギリス英語であるため、スペリングもイギリス式です。アメリカ英語との違いを以下にまとめます。
-orが-our
アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
color | colour |
honor | honour |
labor | labour |
labor | labour |
harbor | harbour |
favorite | favourite |
behavior | behaviour |
-erが-re
アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
center | centre |
theater | theatre |
liter | litre |
fiber | fibre |
meter | metre |
-ize が-ise
アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
realize | realise |
apologize | apologise |
analyze | analyse |
memorize | memorise |
recognize | recognise |
-enseが-ence
アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
license | licence |
defense | defence |
イントネーションの違い
日本語でも英語でも疑問文では文末のイントネーションが上昇します。また、英語で複数の文を話すときには、文末を上昇させることで「まだ話は終わっていない」というサインになり、最後の文で文末を下げて「話は終わりだ」というサインになります。しかし、オーストラリア英語では疑問文はもちろん、肯定文でも文末が上昇する傾向にあります。これは「Australian Question Intonation(AQT)」と呼ばれるスタイルで、イギリスなどでは失礼に聞こえるため、あまり好まれていません。
<例>
アメリカ英語:
Yesterday, I went to a department store (↑) and I met my friend there. (↓)
オーストラリア英語:
Yesterday, I went to a department store (↑) and I met my friend there. (↑)
単語の違い
同じことを意味しているにもかかわらず、オーストラリア英語とアメリカ英語は使われる単語が異なることがあります。
日本語 | アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
海外 | abroad | overseas |
携帯電話 | cellphone | mobile phone |
クッキー | cookie | biscuit |
歩道 | sidewalk | footpath |
エレベーター | elevator | lift |
タクシー | cab | taxi |
たくさん | many/a lot | heaps |
駐車場 | parking lot | car park |
ガソリンスタンド | gas station | petrol station/servo |
ゴミ箱 | trash can | garbage bin |
あめ | candy | lolly |
紙幣 | bill | note |
テイクアウト | to go | take away |
セーター | sweater | jumper |
フライドポテト | french fries | chips |
休暇 | vacation | holiday |
市街地 | downtown | city centre |
また、オーストラリア英語では単語を省略することが多く、これらのスラングを知らないと外国人は理解に苦しむことになるので、併せてご紹介します。
日本語 | アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
マクドナルド | McDonald’s | Maccas |
カンガルー | kangaroo | roo |
大学 | university | uni |
朝食 | breakfast | brekkie |
バーベキュー | BBQ(バーベキュー) | barbie |
蚊 | mosquito | mossie |
郵便配達人 | postman | postie |
水着 | swimsuits | cossie |
ビスケット | biscuit | biccy |
フットボール | football | footy |
チョコレート | chocolate | choccy |
救急車 | ambulance | anbo |
登録 | registration | rego |
確かに | definitely | defo |
幼稚園 | kindergarten | kindy |
あなた | you | ya |
午後 | afternoon | arvo |
野菜 | vegetables | vegies |
居心地が良い | comfortable | comfy |
フレーズの違い
次いで、アメリカ英語とオーストラリア英語のフレーズの違いをご紹介します。
日本語 | アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
ありがとう | Thank you/Thanks | Ta/Cheers |
こんにちは | Hello/Hey | G’day |
大丈夫だよ | Don’t worry | No worries |
よくやった | Well done | Good on you |
元気? | What’s up? | How’s going? |
私のおごり | It’s on me/It’s my treat | It’s my shout |
超簡単 | very easy | easy peasy |
また、オーストラリア英語ではアメリカ英語でtakeが使われるケースでhaveを使うことが多く、これもアメリカ英語とイギリス英語の違いです。アメリカ英語で 「take a ~」と表現するものは、ほとんどが「have a ~」になります。
<例>
日本語 | アメリカ英語 | オーストラリア英語 |
シャワーを浴びる | take a shower | have a shower |
授業を受ける | take a lesson | have a lesson |
休憩する | take a break | have a break |
椅子に座る | take a seat | have a seat |
昼寝する | take a nap | have a nap |
まとめ
最近では、映画などの影響によりアメリカで頻繁に使用されるwant toの短縮形wannaやgoing toの短縮形gonnaなども、オーストラリアでよく使われるようになりました。また、都市圏や若者を中心にアメリカ式の挨拶や話し方をする人も増えてきています。一方、田舎に行けば行くほど発音の違いが顕著に現れ、オーストラリア独特の発音や単語がよく聞こえてきます。言葉は生き物ですから、近い将来、またアメリカ英語とオーストラリア英語の新たな違いが見つかったり、違いがなくなったりするかもしれません。英語に慣れないとそれぞれの違いはなかなか分からないものですが、使われる単語や発音の違いが分かるようになると、英語学習も一層楽しくなるはずです。いろいろな英語に触れながら、英語力を高めていきましょう!
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