オーストラリア英語は「訛りが強くて聞き取れない」と言われることがあります。特に、アメリカ英語を基本とした日本の英語教育を経験した人にとっては、違う言語に聞こえてしまうかもしれません。それを訛りと呼ぶかどうかは別にしても、アメリカ英語やイギリス英語との違いがあるのは確かです。オーストラリア英語のリスニング力を高めるためには、「オージーイングリッシュ」の独特な発音や単語を理解するのが効率的な方法でしょう。
そこで今回は、オーストラリア英語を攻略するために覚えておくべき発音と単語をご紹介します。
オーストラリア英語の特徴
イギリスからの移民により開拓されたオーストラリアの英語は、その歴史を物語るように「イギリス英語」がベースとなっています。そのためスペリングもイギリス式で、-orが-our(color – colour)、-terが-tre(center – centre)、-ize が-ise(realize – realise)のような綴りです。しかし、発音や単語はイギリス英語と共通するものもあれば、まったく異なるものも存在します。その理由の一つは、先住民族であるアボリジナルの人々の言語からの借用語が多いことです。特に、動植物や地名ではアボリジナルの人々の言葉が現在でもそのまま使用されています。例えば、誰もが知っている「カンガルー」や「コアラ」という呼び名も先住民の言語からの借用語です。
このようにオーストラリア英語は、移民が使用していたイギリス英語とアボリジナルの人々が使用していた言語が融合して進化しました。また、その進化の過程には、オーストラリアの気候や文化、あるいは多民族国家に成長したことも影響しています。その一例とも言えるのが、オーストラリア人があまり口を開けて話さないことです。例えば、「OK(オッケー)」という言葉は唇を丸めずに「アウケー」のように発音します。これはハエや砂ぼこりが口に入るのを防ぐためだと言われていますが定かではありません。
また、独特な発音やオーストラリア英語ならではの単語や言い回しが多いのも大きな特徴と言えるでしょう。
オーストラリア英語の発音の特徴
オーストラリア英語が「訛っている」と言われる理由の一つは、独特な発音が多いことです。その中でも際立った特徴をご紹介します。
Aの発音「エイ(ei)」→「アイ(ai)」になる
today:トゥデイ → トゥダイ
face:フェイス → ファイス
mate:メイト → マイト
name:ネイム → ナイム
大きな違いではありませんが、聞き慣れていないと間違った意味に捉えてしまい、以下の例文のように「?」となってしまうことがあります。
<例>
I’ll go shopping today. (今日は買い物に行く)
I’ll go shopping to die. (死ぬために買い物に行く)
I’m going today. (今日行くつもりです)
I’m going to die. (今日死ぬつもりです)
「R」の巻き舌がない
日本の英語教育ではRを巻き舌で発音する「rhotic(R発音)」のアメリカ英語がベースなため、多くの人が苦手意識を持っていることでしょう。しかし、オーストラリア英語はイギリス英語と同様にRの発音が消える「non-rhotic(非R発音)」なので、日本人には発音しやすいという利点があります。ただし、「R」と「L」の使い分けは課題として残るかもしれませんね。
語末の「G」「T」「K」が発音されない
thinking → thinkin’ (シンキン)
going → goin’ (ゴーイン)
trying → tryin’ (トライイン)
can’t → can’ (カーン)
document → documen’ (ドキュメン)
week → wee(k) (ウイーッ)
book → boo(k) (ブッ)
「G」と「T」の音は消えますが、「K」は「ク」の息だけを出すような音になります。
語末が「イー」サウンド(-ieまたは-y)に変化する
オーストラリア英語 | |
breakfast | brekkie(ブレッキー) |
BBQ | barbie(バービー) |
mosquito | mossie(モージー) |
Australian | Aussie(オージー) |
postman | postie(ポスティー) |
swimming costume | cossie(コジー) |
football | footy(フッティー) |
biscuit | biccy(ビッキー) |
chocolate | choccy(チョッキー) |
laptop | lappy(ラッピー) |
petrol | petty(ペティ-) |
Facey(フェイシ-) | |
Expensive | exxy(エクシー) |
Kindergarten | kindy(キンディー) |
chewing gum | chewy(チューイー) |
オーストラリア英語ならではの単語&フレーズ集
上記の通り、オーストラリア英語では多くの単語が短縮されます。語末が「イー」サウンドにならない短縮形の単語と独特なフレーズをご紹介します。
<単語>
オーストラリア英語 | |
Australia | Straya(ストラヤ) |
McDonald’s | Maccas(マッカーズ) |
kangaroo | roo(ルー) |
university | uni(ユニ) |
tennis ball | tenno(テノー) |
definitely | defo(デフォー) |
afternoon | arvo(アーヴォー) |
service station | servo(サーヴォー) |
tomorrow | tomorra(トゥモラ) |
garbage man | garbo(ガーボー) |
registration | rego(レジョー) |
aggressive | agro(アグロー) |
avocado | avo(アヴォー) |
underpants | undies(アンディーズ) |
ambulance | anbo(アンボー) |
a cup of tea | cuppa(カッパー) |
you | ya(ヤ) |
<フレーズ>
- G’day:Helloの意味。「グダイ」と聞こえる。
- No worries:You’re welcomeやNo problemの意味。「どういたしまして」「大丈夫だよ」「心配しないで」など、あらゆる場面で使われる。
- Good on you:Well done(よくやった)の意味。
- mate:「友達」あるいは「仲間」という意味。知らない人にも「マイト」とフレンドリーに話しかけてくる。
- How are ya going?:How are you?の意味。youがyaになりgoingのgが消えて「ハワァーヤ・ゴーイン」と聞こえる。
- Cheers:Thank youの意味。「Cheers, mate」とmateをつけて感謝を表すのが一般的。
- Ta(ター):Thank youの意味。短いバージョン。
- YepとNup:YesとNoの意味。「ヤップ」「ノップ」と聞こえる。
- It’s my shout:「私のおごり」という意味。アメリカでは通じない。
- Fully sick:「最高」「素晴らしい」という意味。サーファーがよく使う。
- Heaps good!:very goodの意味。
まとめ
イギリスからオーストラリアに移民した人の多くが農地を開拓したファーマーということもあり、オーストラリア英語はイギリス英語のような階級による違いなどがない親しみやすい英語です。ベースとなるイギリス英語とも一線を画した独自性が強い英語ですが、オージーのフレンドリーで大らかな面が一つ一つの単語に表れています。そんな愛嬌のあるオージーイングリッシュは、一般に言われるように「訛っている」わけではなく、文化に育まれた「個性豊かな英語」なのではないでしょうか。聞き取りに慣れるには多少時間がかかりますが、ここで紹介した発音や単語、フレーズをおさえておけば、うまく攻略できるはずです。オーストラリアの歴史や文化を感じながら、楽しくマスターしてみてくださいね!
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