英語が流暢に話せる日本人を見て、「どうやってあの人は英語を勉強したんだろう?」と思ったことはありませんか?何年も英語を勉強しても話せない人と、英語を身につけて仕事などにまで活かせるようになる人の行動には、どのような違いがあるのでしょうか。English Hub編集部は、これまで多くのスクールにインタビューを行い、英語指導のプロフェッショナルの方々からお話を伺ってきました。具体的な指導方法や事業に込めた想いには、スクールごとに様々な特色があります。しかし、「英語学習をする上で大切なこと」に関しては、いくつかの共通する答えがありました。今回は、これまでのインタビューを通して見えた、英語習得に成功するための3つの行動についてご紹介します。今、英語学習で壁に当たっているという人や、これから勉強を始める予定の人は、ぜひ一度目を通してみてください。
英語習得に成功するための3つの行動
1.現状の英語力を把握する
まず大切なのが、現状の英語力をしっかりと把握することです。学習者の多くが、「英語がペラペラになりたい」などの漠然とした理想は持っています。しかし、その一方で「自分の現状の英語力」に関しては、なかなか冷静に判断できないものです。自分の理想と離れた現状を直視することは、進んでしたいことではないかもしれません。しかし、この「現状を把握する」ということこそが、目標の英語力を獲得するために不可欠であるという声が、多くのスクールから聞かれました。
英語のパーソナルジム「ENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)」を運営する株式会社恵学社の取締役・田畑翔子氏は、著書「マンガでわかる最速最短!英語学習マップ」で最も伝えたかったこととして、現状を把握することの重要性を挙げています。
「英語学習には『このメソッドは絶対いい』といったものは存在せず、その人が今いるステージによって正しいやり方は変わってくるということです。そのため、英語学習を始めるうえでは自分の位置(レベル)をまず把握することが最も重要で、それさえできれば短時間でも効率的に学習を進めていけるということを伝えたかったですね。」(【インタビュー】「科学的な英語学習で、遠回りをなくしたい」より)
株式会社NOVA代表取締役社長の隈井恭子氏も、受講生の中で特に英語力を伸ばす人の特徴について、現状の英語力に対する意識の高さを挙げています。
「自分自身の現状を知ることにしっかりと興味を持っていただいている方というのは、次に頑張って取り組むポイントが明確になるので、そこが大きく違うところだと感じています。最初良いペースで通っていただいていたとしても、英語力アップにつながる実感が持てないと、同じペースで通い続けるのはなかなか難しいと思います。単にスクールへ通うだけではなく、『上達に向けて何が必要なのか』ということを考えられる方は、やはり伸びも大きいと感じます。自分に足りないものを意識できていると、少ない時間の中でも『じゃあ今度はマンツーマンで文法強化をやってみよう』というように、集中的に課題に取り組むことができます。自分の今の力についてちゃんと捉えられているという事は、1つ大きなモチベーションになると思います。」(【インタビュー】NOVA「『なんとなく』からのスタートでも、大丈夫!まずは一歩を踏み出そう」より)
ENGLISH COMPANYをはじめとするパーソナルコーチング型のスクールでは、担当者が受講生のステージや課題を見極めることで、学習の効率化を図っています。また、NOVAでは、受講生が自身の課題やストロングポイントを客観的に確認できるよう、100項目から成る独自のスコア診断を行っています。「勉強しているのに英語力が伸びない」と感じている人は、学習方法が今の自分のステージや課題に合っているかどうか、今一度確認してみましょう。
2.明確な目標を設定する
現状を把握することと同時に、「明確な目標を設定する」ということも多くのスクールで重視されています。目標設定が大切となる理由について、コーチング式英会話スクール「TORAIZ(トライズ)」を運営するトライオン株式会社の代表取締役・三木雄信氏は、英語学習者に向けたメッセージの中で次のように述べています。
「ゴールを明確にすることで、教材の選択などのロードマップが明確になり、結果TORAIZでは受講生がVersantで50点弱を取り、一人で出張して英語で質疑応答ができるレベルまで成長しています。」(【インタビュー】英語学習における「死の谷」とは?TORAIZが12ヶ月にこだわる理由より)
目標の設定は、現状の英語力を把握することと同様に、正しい学習方法を選択するために必要だと言えます。ダイエット業界での高い実績で知られるRIZAPが2016年に設立した「RIZAP ENGLISH(ライザップ・イングリッシュ)」も、目標設定には力を入れています。ライザップ・イングリッシュでの目標設定方法とその目的について、トレーナーを務める田村凌氏は以下のように説明します。
「目標を立てるときにやりがちな失敗として、目標を高く設定しすぎて挫折する、もしくは低く設定しすぎてやる気が出ないというケースが多くあります。そこで、RIZAPではボディメイクでもイングリッシュでも同様に独特の目標設定を行っています。
RIZAP ENGLISHでは最初にカウンセリングにお越しいただいた際に、コース終了時点までにどんな姿になっていたいか、最終目標としてどこにたどり着きたいかを書いていただき、長期・中期・短期の3つの目標を設定しています。『最終的にこうなるために、セッション終了後までにはこうなっている』『そのためには1ヶ月後までにこうなっている』という形で細かく目標設定を行います。
なぜ長期・中期・短期の目標を立てるかというと、人は長期目標だけだと目の前でやっていることの意味を見失ってしまいがちだからです。『英語を話せるようになりたいのに、なぜ単語の勉強をやっているんだろう』と疑問に感じ、やる気がなくなってしまうなどのケースです。実際には英語を話すためには単語力は必要不可欠なのですが。
また、長期目標を達成するためにどうすればよいのかを細かくブレイクダウンして目標を設定すると、一つ一つの行動に目的意識が芽生えてきます。そして、それらを一つずつクリアしようとこなしていくうちに、気づけば目標達成へのステップを登っていくことができるのです。」(【インタビュー】RIZAP ENGLISH「結果にコミットできるのは、寄り添うトレーナーがいるから。」より)
ただがむしゃらに勉強するのではなく、いつまでに、どうなりたいかという理想像をしっかりとイメージして、日々の学習をすすめるようにしましょう。
3. 時間管理を徹底する
スクールに入会しただけで、「これで大丈夫だ」と安心感を抱いてしまう人も少なくないかもしれません。しかし、レッスン中だけ勉強をしていても充分な成果は出ないということは、多くのスクールが明言しています。特に短期間で英語力を大幅に上げるためには、スクールの外でも、少なくない学習時間を捻出することが不可欠です。学習時間を確保するための「時間管理の徹底」は、多くのスクールで重視されています。
英語学習コンサルティングプログラムの「PROGRIT(プログリット)」は、「圧倒的なフォロー」を他社との差別点として挙げ、受講生の生活全般を管理することによって学習時間を捻出させています。PROGRITを運営する株式会社プログリット取締役副社長・山碕峻太郎氏は、PROGRITの徹底した時間管理について以下のように説明します。
「入会後は一日3~4時間英語学習に取り組んでいただきますが、そのためには残りの20時間を含めた24時間全体をコーディネートする必要があります。そのため、弊社では24時間の使い方をどうすべきか、1日の中でどのようなタスクがあり、それをどのように優先順付けしていくのかまで踏み込んでアドバイスします。
例えば、残業が多くて学習する時間がとれないという方の場合、そもそもなぜ残業が発生するのかまで突き詰めます。仕事が長引いてしまう原因としては『突発的に仕事を振られる』『仕事の進め方が遅い』などが考えられますが、前者の場合であれば、上司との関係性に問題があるため、上司に対する発言の仕方や仕事の請け方を見直すためのアドバイスをします。また後者の場合はそもそもタスク管理をどのようにしてやっているのかまで把握し、英語学習時間を確保するために仕事の課題をどのように解決するのかまでコンサルテーションします。」(【インタビュー】PROGRIT(プログリット)「本気の人にだけ来てほしい」より)
また、前述のENGLISH COMPANYでは「行動科学」の知見を取り入れることで、受講生が学習にとりかかる際の負荷を減らしています。田畑氏は、ENGLISH COMPANYの取組みについて以下のように説明しています。
「行動科学の観点では、『いつ、何をやるか』を考えることになるべくウィル・パワー(意思の力)を使わないようにすることが大事なので、あらかじめ生活の中の隙間時間を見つけてもらい、そこでいつ何をやるかを決めておいてもらいます。具体的には、15分間隔で区切られたタイムテーブルのなかに毎日のライフスケジュールを書き出してもらい、そこから15分単位で隙間時間を見つけてもらいます。4つ隙間を見つければ1時間、6つ見つければ1.5時間となります。そのうえで、その時間に何をやるかをGRITカードというカードに書いてもらいます。このカードは折りたたむと名刺サイズになり、いつでも見られるようになっています。
いきなり2時間、3時間と学習しようとしても絶対に挫折してしまうので、最初はなるべく普段の生活のまま学習をしてもらい、徐々に時間を増やしていくというやり方をしています。」(【インタビュー】「科学的な英語学習で、遠回りをなくしたい」より)
忙しいビジネスパーソンが毎日数時間の学習時間を確保するためには、隙間時間を徹底的に活用する姿勢が不可欠と言えそうです。
まとめ
今回は、これまでのインタビューから見えた、英語習得に成功するための3つの行動について取り上げました。1つ目のポイントである、「現状の英語力を把握する」ためには、TOEICなどの試験結果を利用するのも1つの方法です。また、より詳しく現状の課題を知りたい人は、スクールでプロによる無料カウンセリングを受けてみることをおすすめします。現状を認識した上で目標を見据え、日々の具体的な行動へと落とし込んでいきましょう!
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English Hub 編集部
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