苦手な英語を克服!英検1級を取得した勉強法【スピーキング編 -前編 -】

英語4技能(リスニング・リーディング・スピーキング・ライティング)の中でも、特に苦手と感じる人が多いスピーキング。英語初心者だけでなく、中級以上の学習者でも「英文は概ね読めるが、スピーキングには自信がない」という方は少なくありません。

そこで今回は、高校在学中に英検1級とTOEFL iBT106点を取得した経験を持つ、英語学習ライターの佐藤千嘉さんに、スピーキング力向上に効果的だった学習方法について伺いました。

英検1級合格を目指されている方や、スピーキング力を伸ばすために資格試験の活用を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

インタビュー目次

How are you doing? が聞き取れなかった留学当初

佐藤さんの英語学習歴について教えてください

中学・高校時代に、ニュージーランドとオーストラリアの現地校へ合計2年間留学をしました。高校3年時に日本に帰国し、在学中に英検1級、TOEIC965点、TOEFL iBT106点を取得しています。その後、早稲田大学の国際教養学部に入学しましたが中退し、現在はフリーランスになり3年目です。

最近は、英語学習や教育関係のメディアに寄稿させていただいたり、英語学習サービスのサポートスタッフを行ったりと、英語にまつわる様々な業務を行っています。フリーランスになる前には、地元の英会話スクールで英語講師をしたり、TOEIC学習者のコーチング業務を行ったりもしていました。

高校時代は、大学のAO入試に向けて、英検、TOEIC、TOEFL iBT、そしてSATの対策と、英語学習に日々全力投球できていました。ですが現在は、英語を仕事で活かしているとはいえ、以前ほどは勉強に取り組めていない状態です。実際に、2019年に久しぶりに受けたTOEICのスコアは955点と、学生時代の自己ベストスコアより10点落ちてしまっていました。

特に、留学中と比べるとやはりスピーキングスキルに衰えを感じています。もとより、2年間の留学を経た後でも、スピーキング力に関してはまだまだ自信がなく、英語4技能の中で1番の課題だと感じています。

先日「VERSANTスピーキングテスト」という英語のスピーキング試験を受けた結果、スコアは80点満点中56点(※)でした。テストのスコアレポートを見てみると、「文章構文」と「語彙」の力は高い一方で、「流暢さ」と「発音」には課題があるようでした。今後スピーキング学習に取り組むにあたっては、その2点を特に重点的に鍛えていこうと思っています。

※インタビュー後日、佐藤さんはオンライン英会話「DMM英会話」の1ヶ月毎日受講企画に挑戦。1ヶ月受講後、スコアを60点にまで伸ばしています。詳細については、『DMM英会話を1ヶ月間毎日受けてみた!その効果は? – ④受講後のVERSANTスピーキングテスト結果 –』を参照ください。

留学当初のスピーキング力はどのくらいでしたか?

ニュージーランドに留学したばかりの時は、ホストファミリーが言う「How are you doing?」も聞き取れず、最低限のコミュニケーションもままならない状態でした・・・。また、留学先では語学学校ではなく現地校に入学したのですが、先生や生徒たちとも全く意思疎通ができずに苦労しました。

もともと勉強が苦手で不登校だったこともあり、中学英語の範囲も曖昧にしか理解できていなかったので、当然のことだったと思います。留学して英語を学ばなければいけない環境に身を置いてから、危機感がモチベーションとなり、英語の勉強と真剣に向き合い始めました。そうしたら、勉強を楽しいと初めて思えるようになって、そこで「英語を頑張りたい!」というスイッチが入りましたね。

英語4技能を鍛えられたTOEFL iBT

帰国後、英語力を維持・向上させるために取り組んだことは?

帰国後には、留学中から行っていたTOEICと英検の対策に加え、TOEFL iBT対策も開始しました。

TOEFL iBTの試験は、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4セクションで構成されており、4つのセクションの点数を全て足した数が自分のトータルスコアとなります。各セクションのスコアレンジは0~30点なので、トータルでハイスコアを狙うためには、英語の4技能をバランス良く伸ばすことが求められます。

120点満点中90点以上を取ることを目標としていましたが、初めてTOEFL iBT試験を受けた時のスコアは60点台でした。

TOEFL iBTの4セクションのうち、日本人が最も苦戦しやすく、スコアを伸ばすのが大変だと言われることが多いのが、スピーキングセクションです。私の場合も、スピーキングのスコアが足を引っ張っていました。

そこで、スピーキングセクションの難しさを踏まえたうえで、セクション別の目標を立てていきました。比較的得意だったリーディングとリスニングは共に25点、ライティングは23点、スピーキングは20点という配分で目標点数を設定し、学習に取り組みました。最終的には、最初の受験から約半年後に、当初の目標スコアを上回る106点を取得できました。課題としていたスピーキングセクションでも、当初の目標スコアを越えて22点を取れて嬉しかったです。

英検1級に合格!スピーキング力強化に効果的だった3つの対策

英検1級の面接対策ではどのようなことを行っていましたか?

英検1級・二次試験の面接対策としては、主に3つを行いました。

1つ目は、一次試験のライティング問題を活用した対策です。

英検1級の一次試験には、「リーディング」「リスニング」問題に加え、指定されたトピックについての英作文を書く「ライティング」があります。ライティングの対策として、一次試験の当日までほぼ毎日、過去問や予想問題集のライティングトピックを使って1日1題エッセイを書いていました。また、エッセイを書いた翌日には、学校で英語課の先生にお願いして、エッセイの添削もしていただいていました。

「毎日英語でエッセイを書き、書いたものを添削してもらう」という学習を、一次試験が終わった後も、二次試験の面接対策として続けました。というのも、ライティングとスピーキングは、アウトプットする力が求められるという点で共通しているため、スキルを伸ばす根本的な要領は同じだと考えています。実際に、留学中に大量のライティングを行ったことでスピーキング力が向上した経験もあったので、面接対策に向けてライティングを続けることにしました。

エッセイを書く際の基本構成は、面接でのスピーチにも応用できます。ライティングで培った力は、スピーキング対策に大きく役立ったと思います。

2つ目は、実際の面接を想定した練習です。旺文社の『14日でできる! 英検1級 二次試験・面接 完全予想問題』を使用し、英語科の先生に今度は面接官役をお願いして、英語面接の練習をしました。

回答の際には、まずは自分の力だけで答えてみて、その後に「こういった視点からの意見もあるのか」「この単語・フレーズを使うと、より的確に表現できたかな」という風に考えながら、模範解答をよく読みます。そして、今度は1回目より質の高い回答をすることを心がけながら、もう1度同じトピックで答える練習をしました。

実際の面接を想定した練習を繰り返し行うことで、本番のイメージを掴み、緊張感やプレシャーにも慣れることができました。特に二次試験直前の数日間には、面接練習を重点的に行っています。

3つ目は、英語のニュースを読むことです。話す構成力を鍛えても、肝心の話す内容が思い浮かばないと、中身のある回答をすることができません。特に1級の面接では、時事的なトピックについて意見を求められることもあるので、積極的に時事問題や社会問題に触れるようにしました。

具体的には、意見を述べる際の観点や、表現のバリエーションを増やすことを意識しながら、海外のサイトを使って英語ニュース記事を毎日最低1本は読むようにしました。使えそうな表現があればノートにストックしておき、実際に書いたり話したりして使うことも心掛けていました。この学習方法は、一次試験のライティング対策時から行なっていましたが、スピーキング・ライティングの両方に効果的だったと感じます。


インタビュー前編では、英検1級合格に向けて佐藤さん自身が取り組んだ具体的な対策についてお聞きしました。英検1級合格を目指している方や、英語のスピーキング力を伸ばしたいと考えている方は、ぜひ学習方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。

後編では、佐藤さんが英語学習中にぶつかった壁や、それらを乗り越えた方法、さらに英語学習を日常に取り入れるヒントなどについてお聞きしたので、そちらもぜひチェックしてみてください。

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