高校在学中に英検1級とTOEFL iBT106点、TOEIC965点を取得した経験を持つ、英語学習ライターの佐藤千嘉さん。インタビュー前編(『苦手な英語を克服!英検1級を取得した勉強法【スピーキング編 -前編 -】』)では、佐藤さんの学習歴を振り返り、英検1級に合格された際の具体的な対策について伺いました。
現在では、英語力を武器にフリーランスとして幅広く活躍されている佐藤さんですが、英語学習の過程では、壁にぶつかり心が折れてしまった時期もあるそうです。後編では、その壁を乗り越えた方法や、現在、英語力維持のために日常生活に取り入れていることについてお聞きしました。
インタビュー目次
文法の基礎知識がなく、話しかけても通じない
現在の英語力を身につける過程で、壁にぶつかったことはありますか?
留学して2~3ヶ月目の頃、英語でコミュニケーションを取ることに恐怖心が生まれてしまったことがありました。
渡航したばかりの頃は、拙い英語でも自分から相手に話しかけるなど、挑戦する姿勢を持てていました。しかし、あまりにも基礎ができていなかったので、勇気を出して話しかけても通じずに「Huh?」と言われてしまうばかり。徐々に心が折れていきました。
そうして、留学に行ったにも関わらず、ホストファミリーとコミュニケーションを取ることから逃げてしまった時期があったんです。すると、ホストファミリーとの関係にヒビが入ってしまい、余計にコミュニケーションを取ることが難しくなってしまいました。
ですが、ホストファミリーに申し訳ない気持ちもありましたし、「せっかく家族に海外へ送り出してもらったのに、これではいけない!」と思い、そこから日本の中学英語教材を使って、文法を一から勉強し始めました。基礎文法が身につくにつれて、以前よりも読み聞きした英語を理解できるようになり、頭の中で簡単な英文を組み立てて発話できるようにもなっていきました。
また、学校では英語ネイティブと話すことに拘らず、仲良くなった韓国人やフィリピン人の生徒達とも沢山英語で話すよう心がけました。すると、文法学習との相乗効果もあり、英語を話す力が急速に上がっていったんです。英語で会話をすることが楽しく感じられるようになり、自信もつき始めました。今ではもちろん、英語ネイティブを目の前にしても、全く臆せずに話しかけることができます。
日本でオンライン英会話を利用したり、外国人の友達を作って英語の練習をしたりする際には、相手が英語ネイティブであることに拘る方も少なくないかと思います。「訛りがうつってしまうから、英語ネイティブの綺麗な発音を聞いた方がいい」という人もいますが、個人的には、特に英語初心者の場合、そう簡単に相手の訛りがうつることはないと思っています。
スピーキング力を伸ばすにあたっては、綺麗な発音を聞くこと以上に、自分が発話する量を増やすことの方が重要です。英会話の相手を選ぶ際には、相手がネイティブであるかどうかよりも、「自分が臆せずに英語で話しかけられる相手かどうか」ということの方が大事だと考えます。
日本語での会話でも同じですが、気が合う相手や、気兼ねなく話しかけられる相手であれば、自然と自分から言葉を発しやすくなります。特に初学者の場合は、第二言語で話しかけるのは勇気が必要な時もあると思うので、話しやすい相手であることは尚更大切です。
日常で英語に触れる機会を意識的に持つ
現在は、日常生活で英語を使う機会はどれくらいありますか?
少し前までは、ジョージアという国に滞在してノマドワークをしていました。現地では基本的に英語が通じるので、生活する中で英語を使う機会は多かったです。(※情報はインタビュー時のものです。)また、英語学習ライターとして、英会話スクールやオンライン英会話サービスのレッスンを体験する機会もあります。
他には、趣味の一環として、海外のニュースをpodcastで聞いたり、外国人が英語で発信しているYouTube動画や、洋画、海外ドラマを観たりもします。日常生活の中で少しでも英語に触れ続けることで、スピーキングを始め、全体的な英語スキルを比較的維持できているのかなと感じます。
それでもやはり、実際に英語で会話をする場面になると、学生時代と比べて英会話力の衰えを痛感します。自発的に英語で話す機会をより多く持つようにしない限り、スピーキング力はどんどん低下してしまうと思うので、近々オンライン英会話の受講を開始する予定です(※)。
※インタビュー後日、佐藤さんはオンライン英会話「DMM英会話」の1ヶ月毎日受講企画に挑戦。受講前後の英語力の変化など、詳細については、『DMM英会話を1ヶ月間毎日受けてみた!その効果は? – ④受講後のVERSANTスピーキングテスト結果 –』を参照ください。
スピーキング力を伸ばすための学習アドバイス
スピーキング力アップを目指す学習者に向けてメッセージをお願いします
英語のスピーキング力は、留学などで海外に行っても、ただその場にいるだけではなかなか伸びません。逆に、国内に居ながらでも、スピーキングの力を伸ばすためにできることは沢山あります。
私の例を振り返ると、スピーキング力0から1のステップにおいては、先ほど述べた通り、市販の文法書を使って中学1年の英文法からの基礎固めを行ったことで、スピーキング力が飛躍的に伸びました。基礎文法や最低限の単語知識のインプットが不足している状態のままでは、アウトプットの力を伸ばすのは難しいでしょう。
同時に、スピーキング力を伸ばすためにはインプットだけでなく、学んだ英語知識を実際に使ってみることも必要です。しかし、英語で話せる相手が身近に居なかったり、話す機会があまり無かったりする方も多いかと思います。
私が留学中に行っていた習慣の一つに、「英語で独り言を言う」というものがあります。家にいる時は声に出して行い、外出時には、頭の中で英語で考えごとをするようにしていました。
「英語で考える」と聞くと難しく感じられるかもしれませんが、自分の心境や感情、今日の予定についてなど、心に浮かんでいることを次々に英作文していくイメージです。英作文の際には、特に、覚えたばかりの単語や文法を使うことを心がけていました。また、表現するための適切な英単語がわからなかったら、すぐに辞書で検索して、メモしていました。
英語での独り言や考え事は、相手とインタラクティブな会話を行う前のリハーサルとして有効です。言いたいことを、自分の頭の中で瞬時に表現できるようになれば、実際の会話でもスムーズに口から出てきやすくなります。一人でも今すぐ実践できる方法なので、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今回お伝えした学習法やコツの中に、参考にしていただけるものがありましたら幸いです。短期間で劇的な変化を期待するのは難しいかもしれませんが、学習を習慣化し、継続することで必ず力は培われていきます。ご自身でできること、取り組みやすいことからどんどん行ってみてくださいね。
今回は、英語学習ライターの佐藤千嘉さんに、スピーキング力を伸ばすために効果的だった学習方法について伺いました。英検1級を取得された現在も、日々英語力を磨き続ける佐藤さんの姿勢は、英語を勉強している多くの方にとって刺激になったのではないでしょうか。「もっと英語を話せるようになりたい」と感じている方は、ぜひ、佐藤さんの学習アドバイスを参考にしてみてください。
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English Hub 編集部
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