意外に穴場!北欧デンマークでの英語留学

レゴ、アンデルセン物語、フライングタイガー。一度くらい耳にしたことがあるこれらのワード。しかし、このすべての発祥の地が、北欧の国デンマークであることを知っている人は少ないかもしれません。

実は今、英語学習先としてもデンマークが注目され始めています。デンマーク留学の特徴、他の英語圏での留学との違い、デンマーク留学の費用からメリット・デメリットなどについて、経験者しかわからない実態をご紹介します。

デンマークってどういう国?

基本情報

デンマークは北欧の中で最南端に位置し、ドイツと国境を接するヨーロッパの国です。面積は九州とほぼ同じ約4.3万平方キロメートルで、人口は兵庫県とほぼ同じ570万人の小国です。国土の大半は、パンケーキのようにどこまでも平らな平地です。四季がはっきりし、夏は湿度が低く涼しい、冬は日が落ちるのが早く寒いですが、暖流の影響で緯度のわりには温暖です。北欧のラテンと呼ばれ、北欧の国々の中では明るい国民性と言われています。消費税25%などと税金が高い分社会制度は充実し、大学院までの教育費と病院での治療費が無料です。また、選挙投票率は常に80%を超えています。

デンマークの食事

デンマークは酪農国のため豚肉とチーズ、そしてパンがよく食べられています。ブルーチーズやカマンベールなどのチーズ、ライ麦パンやデニッシュなどのパンはスーパーで安く手に入ります。外がカリカリの丸焼きにした豚肉をグレーヴィーソースかクランベリーソースで食べるフレスケスタイやレバーペースト、ホットドッグもよく食べられています。付け合せには茹でたジャガイモや紫キャベツなどの野菜の煮込みが多いです。観光地では、ライ麦パンにサーモンやニシン、チーズを挟んだスモーブローと呼ばれるオープンサンドウィッチが有名です。

他には、学校や職場、自宅では、常にコーヒーと紅茶、そして果物かお菓子が欠かさず置いてあり、デンマーク人の日常に欠かせないものとなっています。

デンマーク人の国民性

デンマーク人と聞いてみなさんはどのような印象をお持ちでしょうか?デンマークに行って早く生活に馴染めるように、デンマークを語る上で欠かせない5つのキーワードである「信用」、「平等主義」、「合理主義」、「集団主義」、「自由」とこれらをまとめる「ヒュッゲ」について、デンマーク人の人類学者Dennis Nørmark氏の講演会で筆者が学んだことを中心にご説明します。

まず、デンマークは比較的単一民族の小さな社会のため、「信用」で成り立っていると言っても過言ではありません。特に、政権がなにであれ、デンマーク社会を支えている手厚い社会制度に対するデンマーク人の信頼は厚いです。また、「世界一幸せな国」ランキングで常に上位にいるデンマークで、その結果についてどう思うかと尋ねたところ、「幸せ」というより、国の社会制度に対して「安心感がある」と答えた人が多かったことからも、デンマーク社会の中で「信用」は欠かせないことがわかります。

次に、学生と先生、政治家とジャーナリストなど、一見上下関係がありそうな間柄ですら、広く「平等主義」が広まっています。女王に対しても、please をつけないこともあるくらい、平らな土地のようにフラットな関係が一般的です。

また、「合理主義」もさまざまな局面でみられます。宗教面では、デンマーク国民の約80%がキリスト教ですが、日曜日に教会に行く人はわずかです。デザイン面では、家具デザインで有名なヤコブセンに代表されるデンマークデザインは、シンプルで機能を重視する傾向があります。

さらに、四つ目の「集団主義」が示すように、デンマークではコンセンサスを重視します。Yes/Noの単なる多数決ではなく、みんなで議論を積み重ねることでなるべく少数派の意見も取り入れながらコンセンサスを形成していきます。成功者だけが良い生活を享受するのでなく、多くを持つ人がより負担することで、みんなで一緒に高い生活基準を保つ社会制度も、ある種の集団主義と言えます。

そして最後に、1989年に世界で初めて同姓婚が認められたり、ドラッグOK な自由な自治区クリスチャニアが認められていることからわかるように、デンマークに「自由」は欠かせません。ひとりでいることも自由のひとつの権利として認知され、ひとりでいる人をかわいそうと思いません。

そしてこれら5つの価値観をつなげているのが、「ヒュッゲ」です。「ヒュッゲ」とは、デンマーク語で居心地が良い空間や時間のことを言います。デンマーク人と友達になるとよく自宅に招待してくれます。外食も高くあまり贅沢な生活をしないデンマーク人は、居心地の良い自宅でキャンドルを灯しながら、仲の良い人たちとご飯を作りお酒を飲みながら語り、ヒュッゲを楽しみます。格式張っていないカジュアルな雰囲気で、アルコールやユーモアがあるのがヒュッゲの特徴です。

デンマークの英語事情

デンマークの公用語はデンマーク語で、デンマーク人は英語のネイティブスピーカーではありません。しかし、日本の小学校低学年にあたる年齢から会話重視の英語教育が始まり、小さい頃から英語の映画やドラマを字幕付きの英語音声で見て、英語に慣れ親しんでいます。街中で子どもからお年寄りまでどんなデンマーク人に英語で話しかけても、ほとんどの場合、流暢な英語が返ってくるほど、国民全体の英語力は非常に高いです。「2017年EF EPI英語能力指数報告書」の発表によると、非英語圏80ヶ国中英語が得意な国の第3位がデンマーク(日本は37位)です。

【参照リンク】EF 英語能力指数

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水野渚

水野渚(Mizuno Nagisa)。大学卒業後、国家公務員として、安全保障分野で語学力を駆使し、翻訳・通訳を始め、国際会議ロジや国家間交渉に携わる。退職後、現在東京近郊の国際交流型シェアハウスマネージャーをしている。国内では、名古屋、東京、沖縄に住み、海外ではイギリス、デンマーク留学経験の他、世界30か国以上を旅している。サステイナブル、環境、海、クリエイティブ、デザイン、ヘルシー、フード、シェアが気になるキーワード。