洋書多読におすすめ!英語で読みたいミステリー&サスペンスノベル10選

ミステリー小説やサスペンス小説は日本でも広く読まれており、「英語で読んでみたい」と思う方も多いのではないでしょうか。ミステリーは英米文学でも長い伝統を保つジャンルで、19世紀以降コナン・ドイルやアガサ・クリスティのような人気作家が数多くのベストセラーを残してきました。今回の「洋書多読におすすめ!」シリーズでは、歴史的に評価の高いタイトルから今、話題の最新タイトルまで、ぜひ英語で味わってほしいスリルに満ちた作品を厳選してご紹介します。

1. The Moonstone (Wilkie Collins著、邦題『月長石』1868)

本書は19世紀ヴィクトリア朝のイギリスで出版された、ミステリー小説の古典中の古典とも言われている傑作です。古い作品だからといって、英語が特別に難しいというわけではなく、読んでみるとその現代性に驚かされるような小説です。本作は “Moonstone” と呼ばれる宝石の謎めいた消失がテーマですが、犯人の意外性には今でも驚嘆するほかありません。

著者のウィルキー・コリンズは、19世紀イギリスを代表するベストセラー作家で、彼の小説を夢中で読んでいた政治家が議会に行きはぐれてしまったという逸話まであります。古典に興味のある方も、純粋に謎解きを楽しみたい方にもおすすめできる永遠の名作と言えるでしょう。

The Big Sleep(Raymond Chandler著、邦題『大いなる眠り』1939)

イギリスで発展した古典的ミステリーは、アメリカで「ハードボイルド」と呼ばれるジャンルへと進化を遂げました。ハードボイルド小説は、謎解きに加えてアクションや主人公の心境などを繊細に描くことで、より味わいの深い作品に仕上がっています。その中でも、レイモンド・チャンドラーによる私立探偵フィリップ・マーロウが登場する一連の作品は、今でも絶大な人気を保っています。

“The Big Sleep” は、マーロウが初登場した作品で、ロサンゼルスの大富豪と彼の娘たちをめぐる物語です。物語は、元警官で、警察組織に嫌気がさして私立探偵となったマーロウの視点で語られるのですが、彼の一匹狼的な性格は読者を魅了してやみません。本格ミステリーとしても、裕福なアメリカ人家族の悲劇の物語としても、一読に値する名作です。

3. The Mask of Dimitrios(Eric Ambler著、邦題『ディミトリオスの棺』1939)

1939年代のヨーロッパは、ナチスの台頭によって混乱の渦中にありました。そのような陰謀にうずめく世界を舞台に書かれたのが本作です。著者のアンブラーは、現代スリラーの父祖とみなされており、後出する作家たちに多大な影響を与えました。

ヨーロッパを股にかけた犯罪者ディミトリオスの死体が発見されるところから物語が始まります。彼の人生に魅了されたイギリス人作家が、トルコやフランスで彼の過去を追求しながら、次第に国際的な犯罪ネットワークの活動へと巻き込まれていきます。「麻薬取引」や「人身売買」、「武器の輸出入」など、現代のサスペンスで定番のテーマが満載の作品で、かつ第二次大戦の開戦直前の緊迫したヨーロッパにいるかのような感覚を読者に与えてくれるクラシックです。

Casino Royale(Ian Fleming著、邦題『カジノ・ロワイヤル』1953)


映画化された作品を通して、イギリスのスパイ「ジェームズ・ボンド」の名前を知っている方も多いでしょう。自身も元諜報員であったフレミングがボンドを初登場させたのが本作で、その大成功によりスパイ小説が人気のジャンルとなりました。

本作では、ボンドが敵国ソビエトの手先であるル・シッフルと巨額のギャンブルを通して対決します。ボンド小説の中でも短くまとまっており、かつヒロインのヴェスパー・リンドとボンドが本格的に恋に落ちるラブストーリーでもあります。2006年に公開された、ダニエル・クレイグ主演の映画版も大好評となりました。これを機に世界一有名なスパイのデビュー作に英語で触れてみましょう。

5. In Cold Blood(Truman Capote著 邦題『冷血』1966)

本作の著者トルーマン・カポーティは、『ティファニーで朝食を』を書いたことで広く知られています。その彼が、1959年にアメリカで起きた一家惨殺事件をテーマに、犯人2人に取材しながら書籍化したのが “In Cold Blood” です。

実話をベースにしているだけであって、本作を読むのは血の凍るような体験となるでしょう。なぜ彼らが犯行に至ったのかを追求するルポルタージュですが、心理スリラーとしても興味深い作品となっています。小説家がいかに現実の犯罪を書籍化したのか、ぜひ一読してみたい傑作です。

6. An Unsuitable Job for a Woman (P. D. James著、邦題『女には向かない職業』1972)

P・D・ジェイムズは、アガサ・クリスティの後継者ともいうべきイギリスの女性ミステリー作家です。スコットランド・ヤードの捜査官ダルグリッシュを主人公にしたシリーズが有名ですが、本作は女性の私立探偵コーデリア・グレイが主人公となっています。

ケンブリッジ大学で発生した若者の自殺が、コーデリアの捜査によって次第に謎めいた殺人事件であると判明します。ケンブリッジやオックスフォードといった名門大学は、街全体が大学として成り立っているのですが、本書はその環境を再現しています。クリスティの伝統をつぐ優れたミステリーとしてだけでなく、イギリスの大学生活を垣間見ることもできる名作です。

7. Red Dragon(Thomas Harris著、邦題『レッド・ドラゴン』1981)

精神科医で殺人鬼であるハンニバル・レクターは、ミステリー界の中でも最もよく知られている悪役の一人でしょう。『羊たちの沈黙』などの映画版では、名優アンソニー・ホプキンスが演じたことで、いっそう印象に残るキャラクターとなりました。

レクターが初登場したのが、トマス・ハリスによる本作です。主人公は、かつてレクターを逮捕したFBI捜査官のグラハムで、その彼とレクターの危うい協調関係を軸としながら話が展開します。最近では『ハンニバル』というタイトルでTVドラマ化され、レクターとグラハムのコンビが再び人気となりました。ドラマ版を楽しめた方や、小説でのレクターを知ってみたい方におすすめできる一冊です。

8. The Bone Collector(Jeffery Deaver著、邦題『ボーン・コレクター』1997)


ミステリーの中には、指紋の採取やDNA鑑定のような捜査のプロセスをじっくりと描く作品がありますが、その中でも群を抜く面白さなのが本作です。かつてはニューヨーク市警の天才的な捜査官で、事故によって全身が麻痺してしまったリンカーン・ライムと、彼を補佐する女性警官サックスがコンビとなって、Bone Collectorと呼ばれる連続殺人犯を追求していきます。

犯罪捜査のリアリスティックな描写が面白さの一つですが、舞台となるニューヨークの街並みや歴史も、プロットの後半で重要なキーとなってきます。ニューヨークに行ったことのある方はもちろん、将来そこを訪ねてみたい方も、本作を通してこの大都市の雰囲気を味わうことができるでしょう。

9. The Kill List (Frederick Forsyth著、邦題『キル・リスト』2013)


元パイロット、スパイ、ジャーナリストといった多彩な経歴をもつフレデリック・フォーサイスは、1970年代のデビュー以来、世界的ベストセラー作家として君臨するミステリーの巨匠です。そんな彼が、9/11以降のテロリズムとの戦いを題材としたのが本作です。

元海兵隊員で “the Tracker” というあだ名を持つ主人公が、インターネットを通して宗教的テロリズムを広めている “the Preacher” という謎の人物を追跡するのがプロットです。後半、物語の舞台はソマリアになるのですが、テロリストと海賊によって支配されている国の惨状を垣間見ることもできる小説となっています。現代世界における容赦ない戦いのスリルを経験したい方に強くおすすめしたい一冊です。

10. Transcription (Kate Atkinson著、2018)


最後に、2018年秋に出版されたばかりの最新ミステリーを紹介します。第二次大戦中のイギリスを舞台に、ナチスに情報を提供している者たちを調査する若きジュリエットが主人公です。貧しい家庭出身の彼女がMI5(イギリス保安局)に参加し、厳しい訓練や上司の男性とのロマンスなどを体験しながら、スパイたちの世界で格闘する姿がヴィヴィッドに描かれています。

ミステリーとしてのみならず、歴史小説としても興味深く読むことができる小説です。著者のアトキンソンは、実際の歴史アーカイブの資料を用いながら本作を書いたので、当時のスパイ活動がどのようなものであったのかが生き生きと伝わってくる作品となっています。

まとめ

ここでは、19世紀から21世紀のミステリー・サスペンス小説をご紹介しました。いずれの作品も、一度読み始めたら止まらないようなスリルに満ちあふれ、英語が得意な方なら2〜3日で読了してしまうかもしれません。これから洋書にトライしてみたいと考えている方に、ミステリー作品は英語を学びながら謎を解くという二重の楽しみを約束してくれます。これを機会に、日々の英語学習をスリルとサスペンスに満ちたプロセスへと進化させてみましょう。

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茂呂  宗仁

茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学では英文学を専攻し、学部時代より海外で論文発表も。留学経験なくして英検1級、TOEIC970を取得。現在は大学院での研究のかたわら、英会話講師兼ライターとして活動中。

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