海外を訪れたとき、ネイティブの話す単語が聞き取れなかったり、逆にこちらの発音が伝わらずに何度も聞き返されたりした経験はありませんか? 日本で英会話学習をしていた時には問題なく聞き取れ、また相手にも通じていた単語であっても、現地では上手く伝わらないということはよくあります。
英会話レッスンの場合には、講師が日本人の英語発音に慣れているケースは少なくありません。また、生徒が理解できるようにと、ゆっくり、はっきりと話してくれることもあるでしょう。しかし、現地で暮らすネイティブの場合は、そうとは限りません。円滑にコミュニケーションをとるには、英語を正しく発音し、また、相手が話す自然なスピードやイントネーションの発音を聞き取る必要があります。
そこで今回は、日本人が発音を苦手とする音を含む単語と、それらを発音する際のコツについて、筆者のイギリスでの実体験を交えてご紹介します。
日本人が苦手な英語発音
[r]と[l]
まずは、日本人が最も苦手とする発音の一つである[r]を含む単語です。英語圏で暮らし始めた日本人が直面する、典型的な第一ハードルと言ってよいでしょう。この [r]の発音は、日本語の発音に存在しません。そのため、発音法を学ばすに耳で聞いただけでは、正しく発音することが非常に難しい音です。日本人の[r] は、ネイティブにはしばしば[l]の音に近く聞こえます。
例えば、My name is Sayuri と自己紹介をしたとします。この時[r]の音を、日本語で自分の名前を発音するときと同様に発音した場合、ネイティブにはSayuliと綴られます。
また、ネイティブの発音でこの[r] と[l]の発音を聞き分けるのも訓練が必要です。中でも最も難関なのが、綴りが[r]か[l]かによって意味が異なる語(下記例:1~3)や、[r]と[l]の両方を含む語(下記例:4~10)です。以下に例を挙げます。
[r]か[l]かによって意味が異なる語
- right/light
- rice/lice
- election/erection
- regularly
- religion
- celery
- culturally
- temporarily
- rural
- rarely
[r]と[l]の両方を含む語
1と2については、日本人がよく[r]と [l]の音を間違えて発音する典型的な単語で、筆者自身もイギリスでの英語授業で先生から指摘された単語です。また、特に2と3については間違えると大変恥ずかしい思いをするので注意しましょう。
4から10の単語には、[r] と[l]の両方が含まれています。そのため、[r]を[l]と発音するなど、それぞれの発音を混同してしまうミスが起こりやすく、日本人にとって発音が難しいとされている単語です。
筆者の経験では、電話でスペルを伝える時にこの[r]がネイティブに正しく伝わらず、[o]に聞き取られてしまうなど四苦八苦しました。ある時、その話をイギリス人の友人にしたところ、「”You are”と発音してみて」と言われ、発音してみると、「できるじゃない、正にその[are]の発音だよ!」と友人。目から鱗でした。つまりrとareは同じ発音だったのです。それ以来[r]を発音するときは、areと発音を意識するようになり、単語の綴りを伝える際にも間違いなく伝わるようになりました。
一方、 [l]を発音する際には、前歯の裏側に軽く舌をつけて発音します。そのため、上記例の7から10の単語のように、[r]に続いて[l]を発音する場合には、舌を素早く前方の位置(前歯の裏側)へと動かす必要があります。
[b] と[v]
[b]と [v]の発音も日本人が間違えやすい発音で、ネイティブにはなかなか聞き取ってもらえません。[b]の音については、日本語に近い音が存在するので比較的容易ですが、問題は日本語にない音の[v]。この[v]の音を正確に出すには、下唇に上の歯をあてて発音する必要があります。これを忘れて発音すると、全て[b]の音に聞こえてしまうため、ネイティブを困惑させてしまいます。カタカナ化していることもあり、特に誤って[b]で発音してしまいやすい単語の一例を下記に挙げます。
- virus
- Vietnam
- village
- vintage
- visual
- festival
- foreign
- fruit
- fool
- flute
- sit
- sea
- see
- seal
- 「アパート」(apartment)
- 「マンション」(apartment)
※英語の mansionは「大邸宅」という意味なので、日本でいうマンションではない - 「モーニング」(breakfast)
- 「(無料)サービス」(free)
- 「電子レンジ」(microwave)
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[f] と[h]
[s]と [ʃ]
[s]と [ʃ] の発音も、よく日本人が間違える発音です。 [ʃ]の音が日本語で「静かに!」という際の「しーっ!」に近い音なので、[s]の場合にも[ʃ]に近い音で発音してしまう傾向にあります。
日本人観光客が、電車で“May I sit here?”と礼儀正しく尋ねたつもりが、“May I shit here?” と発音してしまい、尋ねられた相手は大困惑という、笑い話ですが現実には全く笑えないミステイクのエピソードもあります。
以下に[ʃ]で発音してしまいやすい一例を挙げます。
ジャングリッシュ
ジャングリッシュと呼ばれるいわゆる和製英語や、「パスポート」のようにカタカナ化された英単語の場合、我々日本人は日常生活でその発音にあまりに慣れてしまっています。そのため、正確な英語の発音を覚えていなかったり、つい使い慣れたカタカナと同じように発音してしまうことがよくあります。
ジャングリッシュの代表的なものには、下記のようなものがあります。
ジャングリッシュはネイティブには通じませんし、カタカナ発音も通じないことがほとんどです。特に、カタカナ化している英語を日本人が発音する際、passportを [pasupouto] というように、子音のあとに母音をつけて発音してしまうことが多々あります。子音の後ろに母音をつけて発音してしまうと、ネイティブには伝わりづらくなってしまいます。
また、イントネーションやストレスを間違えると通じない英語も多くあります。これは友人の実例ですが、psychedelicという単語(日本でも一時流行った、「サイケ/サイケデリック」)は、日本語のフラットなイントネーションでは通じません。英語では、[de]にストレスを置いて発音する必要があります。
同様に、「chocolate」も日本では知らない人はいない単語ですが、日本語では抑揚をつけずチョコレートと発音するので、これでは通じません。英語では[cho]にストレスを置き、第一音節を強く発音します。そのため、一見簡単に思える単語ですが、認識している音との乖離が大きい場合には、ネイティブの発音が聞き取れないこともあります。
まとめ
日本人が苦手な発音、いかがでしたか?実際に海外に行くと、「通じない」「聞き取れない」英単語が多数あります。恥をかきながら学んでいくことが多々ある語学学習ですが、間違いを恐れないで下さい!一度恥ずかしい思いをすると、二度と忘れないものです。そしてそこから必ず上達、習得へとつながります。
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