2018年を英語で語るなら、知っておきたいキーワード5選!

2018年は、波乱に満ちた年となりました。シリアを始め、世界のいたるところで起きている暴動や紛争のニュースが毎日のように流れた一方、大雨によってタイの洞窟に閉じ込められた少年サッカーチームの救出のような明るい話題も見られました。

オンライン英和辞典「Weblio」が年間アクセスデータをもとに選出する「今年の英単語」は “me too” となったようです。ここでは、2018年を振り返りつつ、” me too” に加えて押さえておきたい重要な英語キーワードをご紹介したいと思います。また、なぜその言葉が大切なのかという背景も同時に解説します。こうしたキーワードをマスターしておけば、新年も時事性と深みのあるトピックで英会話が弾むでしょう。

1. impeachment

昨年に引き続き、ドナルド・トランプ大統領によるホワイトハウスはスキャンダルの連続となりました。広く取りざたされている女性問題に加え、選挙キャンペーンマネジャーや、彼の元弁護士が逮捕されたことで、トランプ氏の政治的な立場が大きく揺らぎ出したのも本年です。

日本と異なり、アメリカは二大政党制の国家です。トランプ氏は「共和党 (The Republicans)」に所属する政治家で、対立するのが「民主党(The Democrats)」です。2018年は「中間選挙 (mid-term election)」が行われ、民主党が勢いを取り返した年となりました。ここで、大統領と対立関係にある民主党の政治家やその支持者たちがよく口にするのが “impeachment” という言葉です

名詞 “impeachment” の動詞形は “impeach” で、「(政治家など)を弾劾する」という意味となります。過去にはビル・クリントン大統領が女性問題のために “impeach” されたことがありますが、辞任には至りませんでした。トランプ政権では、上記のスキャンダルに加え、「ロシアとの共謀 (collusion with Russia)」といった疑惑も深まっており、2019年もホワイトハウスの動向から目が離せないでしょう。

2. Brexit

保守党のテレサ・メイ首相が率いるイギリスは、2019年3月にEUを去ることになりますが、それを指して “Brexit” と呼びます (Britain とexit をかけ合わせた造語です)。2016年の国民投票 (referendum) によって決定された事項ですが、具体的に「どうやってEUを離脱するのか」に関しては現在も議論が続いています。

まず、”No Deal Brexit” と呼ばれる立場があります。これはEUと政治的にも経済的にも完全に決別する立場で、仮にBrexit がこの方向に決定したとしたら、ヨーロッパ中が大混乱に陥るかもしれません。次に、保守党の多くの政治家が支持する “Hard Brexit” と呼ばれる方向性があります。この場合、イギリス政府は他のヨーロッパ国からの輸入品に関税を課したり、ヨーロッパ大陸からの移動の自由を制限したりすることができるようになります。

一方で “Soft Brexit” と言われる主張があり、これは他のヨーロッパの国々との協調を続けていく立場のことを指します。主としてジェレミー・コービン氏率いる労働党によって支持されており、経済的な混乱を最小限にとどめようとするのが意図です。

最後に、メイ首相が妥協案として提示しているのが “Chequers Deal” となります。これは、チェッカーズにある首相の私邸にもとづく名称です。この提案は、保守・労働両党から厳しく批判されています。

刻々と期限の迫る Brexit ですが、2018年12月現在においても、イギリス議会はいまだに最終プランを決定することができず、もう一度国民投票 (second referendum) を実施することまで議論に上がっています。いずれにしてもヨーロッパ全体の政治・経済、そして文化的な団結に大きな影響を与えることとなる出来事なので、どのBrexit が採択されるにせよ、2019年の大きな節目となるでしょう。


(Brexit explained: what happens when the UK leaves the EU?:Channel 4 Newsより)

3. plastic

2018年は地球環境への影響の観点から、かつてないほど”plastic(プラスチック)”について多くが語られた年となりました。海中のプラスチック量は、2050年には魚よりも多くなると言われています。生態系や人体への影響が懸念される中、プラスチック廃棄物(plastic waste)の削減(reduce)を目指す動きは世界各国で加速しています。

EUは2030年までに域内のすべてのプラスチック包装(plastic packaging)をリサイクル可能にし、使い捨てプラスチック(single-use plastics)の消費を削減する計画を掲げています。また、大手企業の取り組みも国内外で注目を集めています。あのThe Walt Disney Companyも、世界中で自社が所有し運営する全施設で使い捨てのプラスチック製ストロー(plastic straws)やマドラー(plastic stirrers)を2019年半ばまでに撤廃すると発表しています。脱プラスチックへの動きは、2019年以降も広がりを見せるでしょう。

4. mansplaining

英語という言語では、新語が絶えず生まれ続けています。例えば “google” という言葉は、今では「ネットで検索する」という動詞としての使用法が確立しています。

そうした新語の中でも、“mansplaining” という言葉は最近、主要メディアでも頻繁に用いられるようになりました。”man” と “explain” をかけ合わせた造語で、英紙The Guardianの2018年6月6日付記事(The Guardian:Is the term ‘mansplaining’ sexist? You asked Google – here’s the answer)では、次のように定義されています。

The […] definition of mansplaining is when a man explains something to a woman that she already knows, often in a condescending tone.”
( “mansplaining” とは、女性に対して男性が、彼女がすでに知っていることを偉そうな口調で説明することである。)

「語用論」と呼ばれる応用言語学の分野の研究では、男性と女性では、話し方に違いがあることが発見されています。しかし、最近の #MeToo ムーブメントに代表されるように、男女差を撤廃しようとする姿勢は大きな盛り上がりを見せており、その一端として「(悪い意味で)男性的な話し方」とされる “mansplaining” が批判的に取り上げられるようになりました。

「英語を話す」ためには、英語が話されている文化がどのような変化を遂げているのかにも注意を払う必要があるでしょう。“mansplaining” という言葉が広く使われるようになって以来、男女間の話し方も旧来の価値観にしばられていては「時代遅れ」だと捉えられかねません。社会の進展に合わせて、英語でどのようにコミュニケーションを取るべきかということまで意識しながら学習できれば、理想的です。

5. algorithm

“algorithm” も、2018年の英語圏のニュースでしばしば取り上げられた言葉です。本年は、大手SNSであるFacebook のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOがプライバシーポリシーに関して米議会で証言を求められたり、白人至上主義者 (white supremacist) たちによるTwitter 上での政治運動が問題となったりと、現実社会とSNSの関わりが大きく注目された年となりました。 “Algorithm” という言葉は、SNSなどの情報技術を語る際に欠かせないものとなっています。

“algorithm” は、コンピュータが従う基礎的ルールのことですが、過去数年のSNSやAIの発達により、より大きな意味を持つようになりました。以下、アルゴリズムについての英ガーディアン紙の2018年8月30日付記事(The Guardian:Franken-algorithms: the deadly consequences of unpredictable codeより) から引用します。

Only since 2016 has a more nuanced consideration of our new algorithmic reality begun to take shape. [We] tend to discuss algorithms in almost biblical terms, as independent entities with lives of their own […].
(わずか2016年からのことだが、アルゴリズムの現実についてより深みのある考慮がなされるようになった。私たちは、アルゴリズムについてあたかも宗教的な態度で、独立した命のあるもののように語るようになっている。)

身近な例では、YouTube の動画を見る際に、過去の視聴履歴から「おすすめ」の動画をサジェストするのもアルゴリズムです。そのため、YouTuberたちは、サイトのアルゴリズムの仕組みを予想しながらコンテンツの制作にあたります。またFacebook の友達サジェスチョンや、Amazonでのおすすめ商品の選択なども、すべてアルゴリズムの産物です。2019年にどのような情報技術の革新が起きるかは不明ですが、アルゴリズムが中核となるだろうことは間違いないでしょう。

まとめ

2018年も締めくくりに近づいていますが、ここに挙げたキーワードを見てみれば、今年大きなテーマとなったことは、来年以降も重要性が失われないことがおわかりいただけると思います。アルゴリズムのように私たちの日常に欠かせないものから、アメリカやイギリスといった大国の政治に関するものまで、どれも知っておいて損はないワードです。2019年の英語学習も、国際社会の動向に目を向けることを怠らず、英語という言語を習得することで世界への理解がより深まるような学習スタイルを目指しましょう。

【参照サイト】今年の英単語2018 Weblio英和辞典・和英辞典
【参照サイト】【まとめ】プラスチック削減に向けた、大手企業10社のCSR事例 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

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茂呂  宗仁

茨城県生まれ、東京在住。幼少期より洋画に親しみ、英語へのあこがれを抱くようになる。大学・大学院では英文学を専攻し、またメディア理論や応用言語学も勉強。学部時代より英米で論文発表も経験。留学経験なくして英検1級、TOEIC970、TOEFL109を取得。現在は英会話講師兼ライター・編集者として活動中。

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