人々の健康寿命が伸び続け、長寿社会を迎えつつある日本。リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットによる著書『LIFE SHIFT』(2016年)では、2007年に日本で産まれた子どもの半数が107歳まで生きるという研究結果も示され、「人生100年時代」というキーワードが大きな注目を集めました。
長いスパンで人生の再設計が可能となる新たな時代の到来を受け、日本政府は2017年に「人づくり革命」を発表(※1)。高齢者から若者まで全ての国民に活躍の場があり、元気に安心して暮らすことのできる社会を目指すものです。そして、その基本構想の中で触れられているのが「リカレント教育」(※2)。学校教育を離れた社会人が、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくことを意味します。
学び直しの内容として特に人気なのが外国語。内閣府による「平成27年度教育・生涯学習に関する世論調査」で、機会があれば学び直したいと思うものは何かと聞いたところ、「外国語に関すること」と答えた人の割合は31.3%と最も高くなりました。そして、この中に英語を学び直したいと考えている人も多く含まれているのは想像に難くありません。
そこでおすすめしたいのが中学英語の学び直しです。中学英語には英会話の基礎となる文法や表現が数多く含まれており、マスターすることで英語への理解も一段と深まります。今回は中学英語・基本文法のやり直しに適している参考書・テキストをご紹介!加えて、マンガで楽しく学べる参考書・テキストや、学び直しのコース・カリキュラムを提供している英会話スクールもご紹介します。英語の学び直しを検討中の方は、是非、参考にしてみてください。
※1 参照:内閣府「第2章 少子化対策の取組 – 第2節 人づくり革命【特集】」
※2 リカレント(recurrent)=再発する、循環する
目次
中学英語・基本文法やり直し参考書・テキストおすすめ5選
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版(学研プラス)
山田暢彦 著
中学3年分の全英文法をこの1冊で総復習できます。大人や大学生、高校生の英語学習者を対象としており、フルカラーの豊富なイラストとわかりやすい解説が魅力です。1回分の学習量が2ページに設定されており、忙しい社会人でも毎日コツコツ続けられるコンパクトな作り。
流れとしては最初に解説を読み、練習問題を解き、答え合わせを行います。その後は、付属CDの音声に合わせて英語を音読。音声は各ページの二次元コード、あるいはアプリを使用することで、スマホでも聞くことができ、スピーキングの訓練にもなります。
学んだことをスピーキングに生かしたい大人のために、日常会話で役立つ例文が追加され、文型のリアルな使い方が学べるのもポイントです。各分野を終えると、これまでの学習内容を確認するための「復習テスト」があり、学びの定着を目指します。
改訂版 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本(かんき出版)
濱崎潤之輔 著
TOEIC L&Rテストで満点を70回以上取得している著者による、15万部超のロングセラーを増強リニューアル。2021年度から実施されている新学習指導要領にも対応し、中学校で学習するすべての文法項目がカバーされています。シンプルな例文とイラストを多用した、わかりやすい解説とともに、必要最低限の文法用語をスムーズに理解できるように構成。特典の音声ダウンロードを利用することで、4技能(聞く・読む・話す・書く)も伸ばせます。
また、本書の問題集版となる『改訂版 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる問題集』もおすすめ。項目ごとの練習問題、章ごとのまとめテストが充実しており、知識の定着を目指します。著者の濱崎潤之輔氏は、ファーストリテイリングや楽天銀行などの大手企業でもTOEIC L&Rテスト対策の研修講師として活動。
覚えやすい順番で【7日間】学び直し中学英語(すばる舎)
岡田順子 著
本書の特徴の1つが「学ぶ順番」。教科書の順番ではなく、類似した機能を持つ品詞をまとめて解説するなど、一度に習った方が理解しやすい学習項目はまとめて教える構成になっています。章は全部で7つあり、1日1章のペースで修了可能。7日間で中学英語の基礎を身につけられるよう、工夫がなされているので、忙しい方や短期集中で英語を学びたい方にもおすすめです。
また、多くの人がつまずきやすいとされている「人称(主語)と動詞の関係」に関する練習問題をふんだんに用意。この「人称トレーニング」を通して、人称変化の体得を目指します。練習問題・総合問題も充実しており、各章の理解のみならず、学びの定着も促します。
やさしい中学英語 改訂版 (学研プラス)
いのうえじゅんいち 著
中学3年間の内容を1冊で網羅している『やさしい中学』シリーズの『英語』が改訂されました。2021年度から実施されている新学習指導要領に対応し、デザインも読みやすくリニューアルされています。
使い方としてはまず、最初から通して読むことが推奨されています。キャラクター同士の掛け合いという形式をとっているので、サクサクと読むことができ、例題にあたったらチャレンジ。その後、解説を読むと、つまずいた理由が分かり、理解が深まります。
また、苦手な単元がはっきりしている人は、そこを重点的に読むのもおすすめ。ポイントやコツを理解しながら、例題をこなし、克服を目指すことが可能です。
カラー改訂版 世界一わかりやすい中学英語の授業(KADOKAWA)
関正生 著
リクルートが提供するオンライン学習サービス「スタディサプリ」の講師として活躍中の、関正生先生による『世界一わかりやすい中学英語の授業』の改訂版です。中学英語を「ただやさしく語る」のではなく、英語の文化的背景や歴史、日本語との比較、文法用語の意味など、より大きな視点で英語の本質を追求。フレーズや決まり文句を丸暗記するのではなく、英語を使った本当の意味での異文化理解を目指すことが可能です。
「きちんと理由を考える英語」の必要性が強調されており、「なんでIは常に大文字?」「なんで3単現のsが必要なの?」といった、中学生が抱きがちな素朴な疑問についても答えを用意。英語上級者でも気づきの多い内容となっています。
マンガで学び直せる中学英語の参考書・テキスト2選
マンガでカンタン! 中学英語は7日間でやり直せる。(学研プラス)
澤井康佑 著/関谷由香理 漫画
中学英語を7日間で学び直せる、ストーリー仕立てのマンガ講義となっています。生徒役のセキヤさんとユニークな熱血講師サワイ先生との間で繰り広げられる、軽妙な言葉のやりとりにより、楽しく英語を学ぶことができるのが特徴。丸暗記を可能な限り排し、イラスト図解やイメージを伴った解説によって、無理なく楽しく英文法の本質が学べる作りになっています。
また、日本語と英語との共通点(あるいは相違点)を意識した解説を積極的に採用。日本語と関連づけることで、記憶に残りやすくなるのが狙いです。
マンガでおさらい中学英語(KADOKAWA)
フクチマミ・高橋基治 著
本書では中1の学習範囲をベースにした英文法を、マンガでおさらいすることが可能。英語に対して拒絶反応を起こしてしまう「英語アレルギー」だったマンガイラストレーターのフクチマミ氏と、大学教授で英語スペシャリストの高橋先生の掛け合いの中で、学生のときには「あたりまえのこと」として詳しく説明されなかった疑問を丁寧に解説。単なるルールの紹介ではなく、英語の背景にある理屈や日本語との違いに注目し、英語の苦手な人が陥りがちな「つまずき」の解消を目指します。
下記の記事では、「マンガでおさらい中学英語」の「how」と「what」の使い分けについての解説を参照できます。
中学英語だけで自分の気持ちを伝えるには
鈴木亮平の中学英語で世界一周!feat.スティーブ・ソレイシィ(マガジンハウス)
鈴木亮平 著 スティーブ・ソレイシィ 著
中学英語を習得するだけでも英語による意思疎通は可能です。2018年にマガジンハウスから出版された『鈴木亮平の中学英語で世界一周!feat.スティーブ・ソレイシィ』は、その点に目をつけ、海外旅行時、あるいは日本にいる海外旅行者をガイドするときに役立つ、中学レベルの単語・文法フレーズを網羅。人気俳優の鈴木亮平氏と、日本在住25年、英語教育のスペシャリストであるスティーブ・ソレイシィ氏の対談形式で、厳選されたお役立ちフレーズが紹介されており、「ちょっとしたコツさえつかめれば、難しい単語を知らなくても、気持ちを伝えられる」ということを教えてくれる本になっています。
英文法が学び直せる英会話スクール、オンライン英会話
参考書・テキストのみならず、英会話スクールやオンライン英会話でも中学英語・基本文法の学び直しが可能です。1〜3ヶ月の短期集中で英語の基礎を身につけるプログラムを提供しているスクールもあり、「1人で勉強すると挫折しそう」「短期集中型で学びたい」と考えている方は、スクールで講師からしっかりと教えてもらうのもおすすめ。もう少し気軽に、自宅で学びたい方にはオンライン英会話という選択肢もあります。下記の記事では、基礎英文法から学べるスクール、オンライン英会話をまとめました。ご自身の目的やライフスタイルに合ったサービスを探してみてください!
まとめ
英語学習においては「基本中の基本」とみなされがちな中学英語ですが、基本であるからこそ必要不可欠な表現やフレーズ、単語が凝縮されています。中学で学ぶ基本文法はいわば建物の骨組みのような存在で、高校生、大学生、社会人となって学び続ける際の英語の習熟度にも大きく関わってきます。
是非、今回の記事でご紹介した参考書・テキスト、あるいは英会話スクール、オンライン英会話をチェックし、中学英語の学び直しにチャレンジしてみてください!
English Hub 編集部
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