第二言語習得理論から考える、オンライン英会話の効果的活用術

ネット環境さえあれば、誰でも気軽に取り組めるオンライン英会話。好きな場所でレッスンを受けることができるため、忙しい毎日を送る方にも最適です。また、従来の対面式のレッスンに比べ、費用を抑えられる点も大きな魅力です。しかし、一度はトライしてみたものの続けられなかった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、オンライン英会話を効果的に活用する方法について、第二言語習得理論を基に考えてみたいと思います。

1. まずは「インプット」

とにかく早く英語を話せるようになりたい!という思いがあれば、面倒に思える文法や単語の学習は飛ばし、いきなり会話からスタートしたくなるかもしれません。

しかし、基礎が身についていない状態(=インプットが足りていない状態)で、アウトプットとしてのレッスンを繰り返し受けることは、効果的とは言えません。その主な理由としては、以下の2点が挙げられます。

1. 知らないことは言えない

「聴けない・読めない」ものを、「話せる・書ける」ということはありません。話す(もしくは書く)ことができるようになるには、その前段階として、聞けば分かる、読めば分かるという状態である必要があります。そのためには、基礎的な文法や語彙のインプットが必須です。

アウトプットとは、すでにインプットされている知識を使って行うものに過ぎません。まずインプットをした上で、その知識を活かしてアウトプットまでできるようにしていく。これが、言語習得の自然な順序となります。

2. 気づきが生まれない

文法や語彙の基礎知識があれば、口に出した表現が誤っていた際、「何か変だ」と自分で気づく場合も多いでしょう。また、「この場合の動詞は、ingだったかな。それともtoだったかな」などと、試行錯誤しながらアウトプットをすることもできます。その結果、レッスンのたびにいくつもの学びを得ることができます。

これらの気づきは、基礎知識がないままでのアウトプットからは、生まれづらいものです。アウトプットを通して多くの学びを得るためには、前提となるインプットが必要になるのです。

以上が、まずはインプットが大切となる理由です。難解な文法まですべてを覚えてから、という必要はありませんが、基礎となる文法や語彙は押さえたうえでレッスンに臨むことで、より高い効果を得ることができるでしょう。

2. アウトプットの場として使い倒す

ポイントの1つ目では、インプットの大切さを確認しました。もしあなたが既にある程度の文法や語彙が身に付いた状態であれば、ぜひ実際に会話を行ってみることをおすすめします。

インプットは、アウトプットのための必要条件です。しかし、十分条件ではありません。このことは、「どうして学校でこんなに勉強してきたのに、話せないのだろう」という方が多いことからも分かります。既にもっている知識を引き出せる状態にするためには、実際に使ってみることが重要です。

1. 英語が読めるのに、なぜ話せないのか?

英語の4技能のうち、「聞く」と「読む」は、受け身の活動です。そのため、細部までは正確に分からなくても、全体からの推測によって、情報を理解できることがあります。

一方、「話す」「書く」という活動は、自分で全てを創り出すため、情報を受けるとき以上に、正確な知識が必要とされます。アウトプットを繰り返すことで、曖昧な知識(「聴けば、読めば、理解できるレベル」)を、実際に自分で使える技術へと昇華させることができます。

2. レッスン中はアウトプットにフォーカスする

「レッスン時間は、アウトプットの場である」という意識をもつことが重要です。この意識が少ないと、授業を「受ける」感覚になり、つい聞く時間が長くなってしまいがちです。しかし、聞くだけであれば、今はネット上に無料で良質な音源が豊富にあります。オンライン英会話では「アウトプットできる」ことによるメリットを最大限活用しましょう。

「今日はこの話題について話す」「この表現を使う」という2点を事前に考えてからレッスンに臨むことで、積極的に発言がしやすくなります。自分にとって興味がある話題であればアイディアも浮かびやすいため、より多くのアウトプットにつながります。

3. 動機づけを維持する秘訣

3つ目のポイントは、強い動機づけを維持することです。第二言語習得研究における調査では、動機づけが高いとされた学習者が、外国語学習に成功する可能性が高いことがわかっています。

動機づけには様々な種類のものがあります。たとえば、高額の対面式レッスンを申し込んだ人の場合、「これだけの授業料を払っているのだから、元をとらないと!」といった意識が働くことがあります。これも、動機づけのひとつになります。ただ、オンライン英会話の場合は、比較的手頃な価格でレッスンを受けられるため、この動機づけは少し弱くなるかもしれません。

では、他にはどのような動機づけがあるでしょうか。第二言語習得の動機づけ研究では、「ideal L2-self」という考え方があります。これは、「第二言語を使う理想の自分」を意識することで、モチベーションを高めることができるというものです。ただ漫然と勉強するのではなく、「こんな自分になりたい」「英語を使ってこんなことがしたい」というイメージを持って取り組むことで、言語習得の効果を上げることができます。

また、オンライン英会話を始めたきっかけ(例えば「英語への苦手意識をなくして、次こそは海外旅行をもっと楽しみたい!」など)を書き留めておくのも良いでしょう。あなた自身にとっての強い動機づけを見つけ、それを具体的な行動へと結びつけてみましょう。

まとめ

今回は、オンライン英会話を活用する3つのポイントについてみてきました。もしあなたが、既に基礎となる文法や語彙が身についている状態なら、ぜひオンライン英会話をアウトプットの場として活用し、「分かる」知識を「使える」技術にまで高めていきませんか?その先には、ideal L2-selfがきっと待っています。

【参考文献】「英語はもっと科学的に学習しよう」白井恭弘

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Asami

Asami

医薬品メーカーで6年勤務後、ニューヨークへ。1年を過ごし、ニューヨークの街と、そこで暮らす人のエネルギーに魅了され、英語を磨きたいという思いがより高まる。興味の中心は、ファッション、猫、文学。好きな映画は『THE DEVIL WEARS PRADA』、『THE SEPTEMBER ISSUE』。TOEIC980点。

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