洋画や海外ドラマは、少し意識を変えるだけで英語学習に役立てることが出来ます。映画を使った英語学習のメリットは楽しみながら学べる点にあり、扱う題材への関心が高ければ高いほど、理解へのモチベーションも高まります。
そこで今回は、音楽好きの英語学習者におすすめしたい、音楽愛に溢れた映画を4つご紹介。日常会話も多く、英語が聞き取りやすい、ヒューマンドラマを中心にセレクトしました。
目次
映画を使った英語学習のポイント
1. 自分にとって興味・関心が高い分野の映画を選ぶ
映画はあくまでエンターテイメント・アートであり、英語学習を目的に作られていないので、学習者のために都合よく展開してくれるものではありません。「セリフが聞き取りやすい」「ストーリーが理解しやすい」といった作品ごとの向き不向きはありますが、教材としての完璧性を求めても、今度は選定に悩み、モチベーションが下がってしまうかもしれません。まずは自分の心が動き、楽しめそうな映画を選びましょう。
また、すでに背景知識がある分野の映画であれば、理解も深まります。例えば、自分の働いている業界や趣味などが題材になっている作品を選ぶのをおすすめします。今回ご紹介する映画は、ミュージシャンやレコード会社の社員など音楽業界関係者は特に共感し、大きく頷けるポイントが多いのではないでしょうか
2. セリフを最初から完璧に聞き取ろうとしない
分からない単語が出てくる度に映画を停止し、辞書を調べていては映画自体を楽しめず、時間もかかってしまいます。初めて視聴する際は、前後の文脈や視覚情報でその意味を推測したり、聴き取れない部分は適宜字幕に頼ったりしつつ、全体の大まかなストーリーを理解し、楽しむことを優先しませんか?
日頃の学習の成果を試し、学んだ単語や熟語を、ネイティブがどのように使っているのかを知る機会としては、辞書に頼らない洋画鑑賞も英語習得に有効です。
3. 気に入ったセリフをシャドーイングする
映画はリアリティが追求されているので、セリフで話される英語も自然なものが多いです。詳細な設定に基づいて脚本家が書いているので、言語としても洗練されています。気に入ったフレーズはスマホのメモ機能などで、書き記しておきましょう。もう1度観る時にはシャドーイングしてみるのもおすすめです。身に付けた表現は積極的に使ってみましょう。
音楽好きの英語学習者におすすめの映画4選
Begin Again / はじまりのうた(2013)
グレタは、正直でいることにこだわるシンガーソングライター。恋人と別れ傷心のグレタは友人の誘いでバーのオープンマイクに参加し、自身の曲を披露する。その場にたまたま居合わせたのはレコードレーベルを解雇されたばかりのダン。グレタの演奏を聴き、可能性を感じ取ったダンは彼女をレーベルに紹介し、起死回生を試みるものの追い返されてしまう。それでもグレタの音楽を世に出したいダンはある提案をするーー。
グレタ役にキーラ・ナイトレイ、ダンを演じるのはアベンジャーズのハルク役でお馴染みのマーク・ラファロ。その他、脇を固める演者も豪華で、グレタの恋人デイブ役をマルーン5のアダム・レヴィーン、親友スティーブ役をジェームズ・コーデンが演じています。本作で歌われている楽曲はどれも、本作のために書き下ろされた曲でアダム・レヴィーンが歌う『Lost Stars』はYouTubeでも1億回以上再生されています。お気に入りの曲を英語で歌ってみるのもいいでしょう。
Music and Lyrics / ラブソングができるまで(2007)
アレックス・フレッチャーは80年代に一世を風靡したバンドの元メンバー。メロディーメイカーとして確かな才能を持っているものの、世間ではすでに「過去の人」と見做されている。今をときめくポップスターから作曲を依頼され、再起へのチャンスを掴んだものの、歌詞が書けないという大きな懸念があった。そこで偶然にも自宅の植物に水やりをしている女性、ソフィーに作詞の才能があることを発見するーー。
アレックスをヒュー・グラント、ソフィーをドリュー・バリモアがそれぞれ演じています。音楽の制作過程を描いているものの、専門用語・業界用語は少なく、日常英会話が多いので聞き取りやすいセリフが多いです。演者は皆アメリカ英語を話していますが、ヒュー・グラントだけイギリス英語なので、その違いも聞きどころです。
Hearts Beat Loud / ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた(2018)
元ミュージシャンで現在はブルックリンでレコード店を構えているフランク・フィッシャー。男手ひとつで育ててきた娘のサムは音楽の才能に恵まれているものの、医学を学ぶべく西海岸に移り住むことが決まっている。フランクがサムをジャムセッション(音楽家同士の即興的な演奏)に誘ったところ、サムは自身が書いたという曲を披露する。ピンときたフランクは2人で曲をレコーディングし、Spotifyにアップしたところ、期せずしてバイラルヒットとなる。
フランクをニック・オファーマン、サムをキアシー・クレモンズがそれぞれ演じています。設定が現代アメリカで、スラングや訛りも少なめ。音楽だけをじっくりと聞かせたり、沈黙を描いたシーンが多いので無理なく視聴可能です。何度か出てくる“real deal”(本物の、半端ない)はネイティブもよく使う表現なので覚えておくといいでしょう。
Green Book / グリーンブック(2018)
常勤のナイトクラブが改装工事のため、暫定的な職探しをすることとなったトニー・リップ(通称)。トラブル解決の腕を買われ、アフリカ系アメリカ人ピアニスト、ドン・シャーリーの運転手・用心棒として、アメリカ最南部を回る8週間のコンサートツアーに出ることとなる。1960年代の南部は黒人への差別が色濃く残っており、幾多もの障壁を乗り越えながら、価値観も性格も異なる二人は徐々に絆を深めていく。
実話からインスパイアされたロードムービー。トニー役を『ロード・オブ・ザ・リング』のアラルゴン役で知られるヴィゴ・モーテンセン、ドン・シャーリー役をマハーシャラ・アリが演じています。本作で2度目のアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラの演技は必見。トニーの英語がイタリア訛りである以外は、聞き取りやすいアメリカ英語で話されています。
まとめ
文化を知るという側面もコミュニケーションにとっては重要です。例えば、『Hearts Beat Loud』で無名のバンドの演奏に当初は全く興味を示さなかった(ほぼ無視)観客が、音楽が良いと気づくやいなや盛り上がるシーンからはアメリカ人の率直さや実力主義が垣間見られます。映画のエンターテイメントとしての性質上、誇大表現もあるかもしれませんが、その根底にある価値観・文化の違いを読み取ることで視野が広がります。そしてその背景知識が英会話をより豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。
【関連ページ】英語学習におすすめの音楽映画4選~ミュージカル編~
Toshi
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