海外駐在員に必要な英語力とその勉強法とは?オーストラリア在住・こあたんさんに聞く

「海外駐在に挑戦してみたいけれど、ビジネス英語に自信がない」「駐在を叶えるまでの具体的なステップが思い描けない」といった悩みを抱える社会人は少なくありません。そんな時は、実際に海外赴任を実現した人たちの経験談を聞くことで、駐在に向けて準備しておくべき事柄や心構えが見えてきます。

そこで今回は、オーストラリアで駐在員として働きながら、TwitterやInstagramで英語学習に関する情報を発信している「こあたん」さんにインタビューを実施。海外駐在の切符を手にするまでの経緯や、英語学習のコツについてお話を伺いました。

こあたんさんはこれまでに、著者「こあらの学校」として『読まずにわかる こあら式英語のニュアンス図鑑』『これを英語で言えるかな? こあら式 意外と知らない英単語図鑑』の2冊の書籍を出版。こあたんさんが実際に海外で働く中で学んだ英単語や表現を、イラストを用いて分かりやすく解説しています。

『これを英語で言えるかな? こあら式 意外と知らない英単語図鑑』(こあらの学校 著)

話者プロフィール:こあたんさん

「世界中どこでも楽しく生きられる」を目指す「こあらの学校」校長。オーストラリア在住。楽しく、わかりやすく英語を学べる情報をTwitterおよびInstagramで毎日発信。大人になるまで海外経験がなく、もともとは英語に苦手意識があったからこそわかる、英語学習者が本当に知りたいポイントが大好評。特にTwitterは一目で内容がわかるかわいいイラストとシュールなおもしろさが支持され、フォロワー数は35万人を突破。
Twitter/Instagram:@KoalaEnglish180
YouTube:こあらの学校 英語の時間

インタビュー目次

海外駐在員に求められる英語力とは

Q:現在の仕事内容を教えてください

総合商社に勤めており、オーストラリアにある事業投資先に駐在しています。様々な国籍のローカルスタッフに囲まれながら、駐在員として何とかバリューを発揮すべく、日々奮闘しています。

Q:仕事では、どれくらい英語を使用されますか?求められる英語レベルも教えてください

駐在員だけの会議や、日本本社との打合せを除き、普段の仕事は基本的に全て英語で行います。たとえば、日々のメールや社内ミーティング、社外との交渉、プレゼン、お客様訪問、市場調査などは、全て英語です。

そういった状況なので、相手の話す英語をほぼ完璧に聞き取れないと、仕事になりません。リスニングに関しては、少なくとも、TOEIC L&Rのリスニングなら満点を取れるくらいのレベルが求められます。一方でスピーキングについては、自分の意志を相手にきちんと伝えられれば良いので、ネイティブレベルを目指す必要はありません。

海外で働く英語力を身につけた勉強法

Q:海外赴任前の英語力はどれくらいでしたか?

中高の6年間に加えて、大学時代も英語を頑張って勉強していたので、日常生活を送る分にはほぼ困らないレベルでした。

それでも、駐在開始直後、オーストラリア人ばかりの会議に出席した際には、話の内容を理解するのがやっとという状態。自分の意見を伝えることも、場を上手く取り仕切ることもできませんでした。「これでは駐在員としての役割が果たせない」と危機感を覚え、そこから必死に英語の勉強をやり直しました。

Q:ご自身の経験を振り返って、特に効果的だったと感じる英語勉強法はありますか?

自分の英語の弱点を客観視して、その弱点を補うために最適なトレーニングを実施することです。

例えば駐在当初の私は、リスニングは既にそこそこできましたし、日常生活では、言いたいことがあれば何とか英語で伝えられました。しかし、ビジネスの場面になると、何を、どのように相手に伝えるべきか分からない状態でした。

この課題を克服するために、話の型を使って練習したり、論理的な文章構造を意識したライティングの練習をしたりしました。詳しい方法については、YouTubeチャンネルでも解説していますので、ぜひ見てみてくださいね。

こあたんさんが実践した、英文ライティング勉強法

その人の課題によって、最適な学習方法は変わります。自分の弱点をしっかりと把握して、それを解消するために適切な勉強をすることが大切です。

Q:「海外で働きたいが、英語力に自信がない」という方は、まずは何から取り組むべきでしょうか

初心者の方は、「英文法」「英単語」「発音」の3つを徹底的にインプットすることがおすすめです。

「日本人はインプットばかりでアウトプットが足りていない」という意見もありますが、私は、そもそもインプットが足りていない場合が大半なのではないかと思っています。

「何も入っていない箱からは何も出せない」という言葉もあるように、何かをアウトプットしようと思ったら、まずは必要な情報を徹底してインプットすることが不可欠だと思います。英単語や文法、発音の基礎ができていない状態で、いきなり英会話レッスンに手を出すのはおすすめできません。

『これを英語で言えるかな? こあら式 意外と知らない英単語図鑑』(こあらの学校 著)

2022年1月に発売された『これを英語で言えるかな? こあら式 意外と知らない英単語図鑑』。
海外で日常的に使われる英単語や、ビジネス英語表現などが、イラストとともに分かりやすく解説されている

海外で働きたい人へのアドバイス

Q:海外駐在の機会は、どのようにして手にされましたか?

総合商社は「入社後○年以内に、全員に海外経験を積ませる」と謳っている会社がほとんどなので、正直なところ、入社してしまえば誰でも海外で働く機会を得られます。ただし、これはあくまでも制度の話です。派遣される側がこのマインドで仕事をしたら終わりだと考え、「駐在の機会は自分で勝ち取る!」という意識で仕事をしていました。

「絶対にオーストラリアに駐在する」という思いで、仕事では相手の期待以上の結果を出すことにこだわりました。「オーストラリアのことなら、こあたんに聞け」と言ってもらうことを目標に、オーストラリア市場については誰よりも勉強するなど、必死に仕事をしていましたね。

その結果、オーストラリアへの出張の機会を頂き、そこでも頑張って結果を残したことで、当時の駐在員の方から「駐在で来てほしい」と言っていただくことができました。

Q:「海外赴任前に準備しておいて良かった」と感じることは何かありますか?

日常会話ができるレベルの英語力を身につけていたことは良かったと思います。正直、駐在員の中には、日常会話もままならない方も一定数いますが、そのような方々は日々本当に苦労されています。

語学力だけでなく、会計、Excel、プロジェクト管理、ビジネスメール、プレゼン、交渉といった基本的なビジネススキルを高めておくことも必須だと思います。

英語ネイティブであるオーストラリア人がたくさんいる中、単に「英語だけが得意な日本人」を、わざわざ高いコストを払って駐在させる必要はありません。最低限の英語ができることは大前提ですが、それ以外の部分も頑張らないと、「駐在させる価値はない」と多くの会社が判断するでしょう。

Q:逆に、赴任前に準備しておけば良かったと感じることはありますか?

もっと自分が担当する商品の勉強をしておけばよかったと思っています。

ローカルスタッフは、扱っている商品に関して深い知見を持っているプロばかりです。そんな方々からすれば、日本の本社から急に若手社員が駐在に来て、自分よりも高い給料を貰っているとなると、当然面白くないと思います。「お前は何ができるの?」と思われているところからのスタートです。私自身も、信頼関係を築くまでの数ヶ月間は、全く相手にしてもらえませんでした。

担当商材については、最低限の会話ができる知識を身につけておくことをおすすめします。

Q:「海外で働きたい」と考えている方に向けて、メッセージ・アドバイスをお願いします

海外で働くって、最高にエキサイティングです。日本では絶対に味わえない、刺激的な経験をたくさんできるので、ぜひ若いうちに経験してみていただきたいです。海外で働くためには英語力は必須ですが、英語は単なるコミュニケーションツールで、いわば海外で働くための「入場券」のようなものだと思います。仕事の本質は、「どうやったら人に喜んでもらえるか」「どうやったら自分に付加価値を付けられるか」です。英語の勉強と同時に、自分らしさ、自分の強みを磨いていけば、きっと道は開けると思います!頑張ってください!

インタビュー後記

英語学習に限らず、駐在先の市場について誰よりも詳しくなるなど、自らの価値を高める努力を怠らないこあたんさんの姿勢が印象的でした。「英語は海外で働くための『入場券』のようなもの」というインタビュー中の言葉通り、仕事で必要なレベルの英語の習得は大前提であり、その上で自分自身の強みを発揮することが求められます。

海外で働くという目標を叶えるには、英語の勉強だけに留まらず、情報収集力や交渉力といったビジネススキルなど、幅広い能力を磨くことがポイントなのだと感じました。


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佐藤 千嘉

中学2年時にニュージーランドの現地校へ1年間留学。高校進学後、オーストラリアへ交換留学で再び1年間留学。高校在学中に英検1級、TOEIC965点、TOEFL iBT106点を取得。早稲田大学国際教養学部に現役合格。英会話講師やTOEICコーチの経験を経て、現在はフリーライターとして活動している。

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