覚えておきたい!英会話や英語ニュースに頻出するフランス語の単語&表現

英会話や英語ニュースの中で、フランス語の単語や表現に出会って戸惑ったことはありませんか?

一般的な英語の音とは明らかに異なるため、もともと英語の単語ではないということに気づく人は多いと思います。特にイギリス人をはじめとするネイティブスピーカーの会話には、英訳されていないフランス語が度々登場します。

なぜフランス語の単語が英語に?

実は、英語はフランス語と歴史上深い関係があります。フランス語はかつて英国の宮廷貴族の間で使われていた言語で、英単語の中にはフランス語が語源になっているものが多数あります。

また、英語とフランス語は地理的にも非常に身近な外国語と言えます。ビジネスや観光、留学などでの往来も頻繁で、イギリスには多数のフランス人が暮らしています。

近年までは、イギリスの学校では、第一外国語としてフランス語を学習するのが主流でした。日本で言えば、外国語としてまず習うのは英語であることが一般的ですが、イギリスではそれがフランス語にあたるのです。つまり、流暢には話せなくても、イギリスではフランス語を知っているという人は非常に多いのです。

フランス語が英会話の中でしばしば使われているもう1つの理由には、イギリス人のフランスへの憧れがあると言ってよいでしょう。フランスとイギリスは、いわば「近くて遠い国」―。言語だけでなく、人や文化も大きく異なります。筆者の周りのイギリス人を見ていると、どちらかというと質実剛健なイギリスとは異なる、華やかなイメージを持つフランスへの憧憬を抱いていることを強く感じます。

また、決してグルメの国とは言えないイギリスに対し、フランスは世界に名だたる美食の国なので、食通のイギリス人やワイン通のイギリス人も、フランスを好む傾向にあります。

フランス語の単語や表現を好んで使うイギリス人は、フランス文学に精通している人や、芸術やファッションの愛好家、学者やインテリ層などが多く、フランス語を使うことはちょっとした「知識自慢」でもあるようです。響きの美しい言語・ロマンチックな言語として知られるフランス語は、「愛を語るための言語」と形容されることも。

最も頻繁にフランス語の単語が聞かれるのは、前述した料理分野でしょう。その他には、ファッション、文学、アート関連の用語にも、フランス語の単語が度々登場します。

英会話やニュースに登場する、フランス語の単語&表現

では、実際にどのような単語や表現があるのか、以下にその一例を挙げます。
実は、日本語でもお馴染みの単語も多くあります。

croissant

日本でもお馴染みのクロワッサン。アメリカ英語では通常最後のtを発音しますが、イギリスでは、tをあえて発音せずにフランス語風に使う人も。また、フランス語のrは独特な音で、英語には存在しません。このrを正しく発音できる人は、フランス語の上級者と言えるでしょう。

crème caramel

日本で言うカスタードプリンは、フランスでは「クレームキャラメル」となり、このお菓子を知っている人はそのままフランス語で発音します。

crème brûlée

フランス料理店での定番デザートの1つと言えるメニュー。これもそのまま、フランス語の発音「クレームブリュレ」として使われます。

bon appétit

食事の前に使います。発音は「ボナペティ」で、意味は「召し上がれ」。

prêt-à-porter

日本でもお馴染みのファッション用語、プレタポルテ(高級既成服)。英語でもそのまま使われます。

haute couture


オートクチュール(高級オーダーメード服)も、日本語になっているファッション用語です。英語でもそのまま使用されていますが、この用語を用いる人は、ファッション業界の人や高級メゾン(高級デザイナーの店)でオートクチュールを注文できる人に限られているかもしれません。

Laissez-faire

(経済における)自由放任主義、無干渉主義。日常会話よりも、新聞など、政治・思想関連の文章によく出てきます(例:laissez-faire policies「自由放任政策」)。インテリ層が好んで使う表現と言えます。

rendezvous

rendezvous(ランデブー)は、日本語では「デート」などの意味で使われますが、英語では恋愛に限らず、友達との約束・予定という意味でも使われます。

  • I’ll have a rendezvous with that French girl.

femme fatale

知人の欧州人男性いわく、「かわいくてコケットリーがあって、センスがよく(ファッションについても自分を最も魅力的に見せる技を身につけている)、自分を磨いている」のがフランス人女性。

つまり、「ファンムファタル(男性の運命を変える、あるいは破滅させるほどの魅力を持つ女性)」。誉め言葉として受け取るかどうかは人によって異なるため、使う際には気をつけましょう。

  • Isabelle Adjani is a femme fatale!

déjà vu

「既視感」という意味の「déjà vu」。

「初めての場所なのに、以前に訪れたことがあるような気がする」「初めて起こったことなのに、以前に同じことを経験したような気がする」といった感覚を表現するときに用いられる言葉で、ほとんど英語化しているほど頻繁に使われます。

  • I’ve met him before? No, this must be déjà vu.

raison d’être

「存在理由」「生きがい」という意味のraison d’être。新聞・雑誌などの文章にしばしば登場します。

  • My raison d’être is to live with him.

à la mode

「流行っている」「現代風の」という意味で、イギリスでは主にファッション関連の話題で使われます。

  • She always wanted to be à la mode.

また、アメリカでは「アイスクリームをのせた」という意味で使われ、レストランのデザートメニューなどでよく見られる表現です(例:apple pie à la mode)。

RSVP(Répondez, S’il Vous Plaît)

「ご返信お願い申し上げます」という意味を表すフランス語の頭文字をとったもので、結婚式やパーティー、イベントの招待状などに頻繁に使われます。フランス語では非常にフォーマルで少し旧式な感じのため、近年はあまり使われなくなっていますが、英語では、逆に英語化して頻繁に使われます。

招待状などの書面には、「Please RSVP」あるいは「RSVP by 期限」(例:RSVP by 7 September)のように書かれていることが多いです。

気をつけたい「和製フランス語」

「和製英語」と同様に、日本で使われている言葉の中には「和製フランス語」が存在します。以下の単語はフランスでは通じないため、気をつけましょう。

アベック

今では死語に近い、「アベック」。日本語ではカップルという意味で使われますが、フランス語のavecは英語のwithにあたる前置詞で、カップルという意味はありません。

シミーズ

日本語や英語で「シミーズ」は女性の下着を意味しますが、フランス語のchemiseはシャツを意味し、下着の意味はありません。

アンニュイ

「あの人はアンニュイな感じ」などと、日本語ではどちらかというとポジティブなニュアンスを含んだ「物憂げな」などの意味で使われますが、実際のフランス語の形容詞形ennuyeuxは、憂鬱な、退屈な、面倒な、などといった否定的な意味で使われます。

ルージュ

日本語で「ルージュ」は口紅という意味で使われますが、フランス語のrougeは、単に色の「赤、赤い」を意味します。「rouge à lèvres」と、lèvres(唇)を付け足すと、口紅という意味になります。

まとめ

英会話に度々登場するフランス語、いかがでしたか?英語にはこのように、頻繁に使われてほとんど英語化しているフランス語の単語や表現が多数ありますが、英語ネイティブでも全てを知っているとは限りません。英語にフランス語を混ぜて使うのは、少々インテリ風でお洒落な響きがあります。ぜひ、英会話の中に取り入れていってみてください!

【参照サイト】UK students are slowly ditching French and German in favor of Spanish and Chinese
【参照サイト】Ces mots français utilisés en anglais
【参照サイト】Ces mots français utilisés en anglais
【参照サイト】Dix mots français que les Anglais adorent
【参照サイト】ENRICHIR SON VOCABULAIRE AVEC LES EXPRESSIONS
【関連ページ】東京でおすすめのフランス語教室・スクールを比較!オンライン受講も

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Yukari

オーストリア、ウィーン在住。日本の大学ではフランス語を専攻、卒業後は英国の大学院で国際政治を学ぶ。これまでロンドン、ニューヨーク、トロント、モントリオール、パリ、シンガポールに在住。各英語圏における英語の違いに興味を持つ一方、イギリス英語に魅せられる。現在はリサーチャーとして主に欧州における英語・フランス語圏の政策調査に携わる傍、執筆活動も行う。

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