英語には、似た意味を持つ単語が数多く存在します。初級レベルの英単語であっても、改めてそれぞれの意味の違いを聞かれると説明できないという方も少なくないのではないでしょうか。似ている英単語同士のニュアンスの違いが分かると、英会話の際にもより的確で具体的なやり取りができるようになります。
そこで今回は、日常英会話で頻出する英単語のペアを取り上げ、それぞれの意味やニュアンスの違い、使い方について解説します。
※リンクの付いた例文は、日本のソーシャルグッドを世界に発信するメディア「Zenbird」の英文記事から引用しています。記事の内容は、公開時点の情報に基づきます。
知っているようで知らない!意味が似ている英単語の使い分け5選
1. kindとgentle
kind
kindは、「優しい」「親切な」「思いやりがある」などの意味を持ち、主に人の性格や行動が優しく親切である様子を表します。人に対してだけではなく、“kind words(優しい言葉)”、“kind offer(親切な提案)”のように、心温まる行動そのものや言葉について説明する際にも使えます。
目標は、食と経験に関する格差が子どもたちを苦しめることのない、優しい社会を作り出すことだ。
例文中の“a kind society”は、思いやりを持って子どもたち優しく包み込む社会の様子を表しています。
gentle
gentleには、「優しい」のほかに「穏やかな」「温和な」などの意味があります。大きな括りとしてはkindと同様の「優しさ」を表しますが、gentleの場合は、落ち着きがあり、刺激を与えない様子のニュアンスも含みます。柔らかく繊細なイメージを伝える際は、“gentle voice(穏やかな声)”、“gentle breeze(優しいそよ風)”のように、kindではなくgentleを使った方が的確です。
そのブランドは、製品をできるだけ(身体に)優しく設計しており、シリコーン、保存料、合成香料、着色料を一切使用していない。
【引用元】Japanese sustainable intimate care brand blends agriculture and women’s wellness
上記の文は、添加物を含まず、身体や肌への刺激が少ない製品の様子をgentleを使って表現している例です。
2. smartとwise
smart
smartは、利口かつ頭の回転が速いことを表す形容詞です。物事に対する理解度の深さそのものというよりは、知識をもとに素早く状況を察して判断を下せる合理性のようなニュアンスを持ちます。
また、smart design(スマートなデザイン)など、「洗練された」「スタイリッシュな」という意味で人間以外の物に対して使うこともあります。
同様に、私たちの社会では近い将来、スマートでサステナブルなストローが使い捨てプラスチックストローの代わりとなるかもしれない。
この例文では、繰り返し使えるだけでなく、平らに折り畳めてかさばらないストローのデザインをsmartという英語で表しています。
wise
wiseは、「分別のある」「思慮深い」「賢明な」などの意味を持ちます。広く「賢さ」を意味する点ではsmartとも似ていますが、wiseの場合は、知恵や経験に基づく深い学び・理解のニュアンスを含み、そこから生じる賢明な判断・行動を表す際に多く使われます。
したがって、使い捨てプラスチック袋を輸入するのは、賢明なことではないだろう。
【引用元】Eco-friendly garbage bags invite more businesses to circular economy
ここでは、使い捨てプラスチック袋を海外から安易に輸入しても、袋自体がごみとなって大量に廃棄されてしまう環境への影響を考えると、それが賢明なやり方とは言えないことが主張されています。
3. photoとpicture
photo
photoは、photographの省略形で、カメラで撮影された「写真」を意味する単語です。
カミングアウトに関するフォトプロジェクト「Out in Japan」は、写真を通じてLGBTQの当事者たちへの認識の向上を促進している。
【引用元】‘Out in Japan’ reaches out to LGBTQ communities in rural Japan
picture
pictureは、写真に加え、絵画、イラスト、グラフ、チャートなど、さまざまな形式の視覚的なイメージ全般を指し、photoよりも広範な意味を持つ単語です。文脈によっては、「実態」や「状況」を表す場合もあります。
農林水産省の統計は、厳しい現実を映し出している。
【引用元】Kuradashi tackles food loss with new seasonal fruit subscription
この文脈で使われている“paint a picture”というフレーズは、実際に絵を描いている訳ではなく、情景や状況を比喩的に描写して伝えることや、イメージを作り上げることを意味します。pictureを使った他の表現としては、“look at the big picture(全体像を見る)”、“Did you get the picture?(話の全体像はつかめた?)”などのフレーズもよく使われます。
4. travelとtrip
travel
travelは、ある場所から他の場所へと移動する「旅行」全般を指します。距離や期間を問わず、幅広い種類の旅行に対して使える単語です。
日本政府観光局(JNTO)は、「EXPLORE DEEPER」という英語のデジタルパンフレットを作成し、日本におけるサステナブルな旅行体験を紹介している。
【引用元】JNTO’s digital brochure highlights sustainable travel experiences in Japan
trip
tripは、主に週末や連休を利用した「短い旅」、あるいは「小旅行」を指します。“business trip(出張)”や“school trip(修学旅行)”、“day trip(日帰り旅行)”といった表現で使われるほか、「単発の移動」や「特定の場所への移動」なども表します。
車で毎日約30マイル(48.2キロメートル)の距離を往復通勤すると、年間で約4.3メトリックトンの炭素排出が生じる。
例文では、自宅と会社という特定の場所を行き来する「通勤」の意味でtripが使われています。通勤は、比較的短時間で完結する移動であり、travelよりもtripの方が実際のイメージに近いでしょう。
ただし、旅行や移動の期間・時間に応じてtravelとtripを厳密に使い分けなければ意味が通じない、という訳ではありません。いずれの単語もある程度柔軟に使えることを頭に入れつつ、先に挙げた“business trip”や“school trip”などの表現はセットで覚えておくとよいでしょう。
5. fixとrepair
fix
fixは、「直す」「元通りにする」などの意味を持つ言葉です。物理的な「モノ」の修理だけでなく、“fix a problem(問題を解決する)”、“fix a relationship(関係を修復する)”など、さまざまな種類の物事に対して広く使用されます。
問題を特定した後、彼らはそれを解決する方法を考える必要があった。
【引用元】How Adachi’s Vege-tabe Life changed people’s eating habits
repair
repairも、fixと同様に壊れた何かを修理して元の状態に戻すことを指します。ただし、一般的には、専門的な知識やスキルを使って物理的な修復を行う場合に使われることが多く、fixよりもややフォーマルな響きを持ちます。
金継ぎは、壊れた陶器やガラス製品の破損箇所を漆で繕って修理する、日本の伝統的な技術だ。
【引用元】What is Kintsugi?
まとめ
今回紹介した単語は全て、日常英会話で頻出の英単語です。似た意味を持つ単語同士でも、それぞれが使われる文脈には微妙な違いがあります。単語が持つ意味やニュアンスを正しく理解し、適切に使い分けることで、より表現力豊かに英会話ができるようになります。
この機会に、似ている単語の意味をそれぞれ整理して理解しておきましょう。
佐藤 千嘉
最新記事 by 佐藤 千嘉 (全て見る)
- 英検対策におすすめの単語帳6選【5級~1級対応】 - 2024年5月17日
- 海外一人旅初心者にも!バンクーバーのおすすめスポットと旅の注意点 - 2024年4月18日
- カナダで食べたいおすすめの名物グルメ6選!チップ文化の解説も - 2024年4月11日
- ワーホリ経験者のおすすめ滞在先は?オーストラリア7都市を比較! - 2023年11月10日
- 海外サイトでも紹介!外国人が注目する日本観光の穴場5選 - 2023年9月19日