ネイティブが話している英語を理解できても、どのように返事をすればいいのかと戸惑うことはありませんか?「日本人は英語を話すのが苦手だ」というのは世界共通の認識ですが、私たちは「あそこです!」という簡単な言葉もすんなり出てこないのが現実ではないでしょうか。
そこで今回は、英語を効率的に学ぶために知っておきたい第二言語習得研究から考える原因別のスピーキング対策法をご紹介します。
第二言語習得から考えるスピーキングのプロセスとは?
脳科学・心理学・言語学などの面から母国語以外の言語を身につける仕組みを明らかにする第二言語習得研究では、スピーキングのプロセスを以下のように大別しています。
- 概念化
- 文章化
- 音声化
- 自己モニタリング
第1プロセスの概念化とは「言いたいことを頭の中に思い浮かべる」ことで、どのような内容を話すかをイメージする段階です。第2プロセスの文章化とは頭に思い浮かべた内容を「文法や語彙を基に文章を組み立てる」段階で、第3プロセスの音声化とは組み立てた文章の「発話」を指します。
スピーキングには上記3つのプロセスに加え、「自分のアウトプットが正確かをチェックする」自己モニタリングも含まれます。これは、自分のアウトプットの誤りに気づいて言い直すなどの作業です。
スピーキングのプロセスで重要となるのが第2プロセスの文章化です。なぜなら、それぞれが持つ英語の知識がそのまま反映されるため、第3プロセスの音声化に大きな違いをもたらすから。つまり、文章を思い通り組み立てられる単語力や文法、構文のデータベースがスピーキングにおいても重要だということです。
また、概念化は意識的な作業になりますが、文章化と音声化についてはトレーニングにより高速化・自動化が可能です。スピーキング力を効率よく高めるためには、この「高速化・自動化」の能力を鍛えるのがカギと言えるでしょう。
スピーキングができないとは?
スピーキングができない原因は人それぞれですが、大きく分けると以下の5つが考えられます。
- 言いたいことが思い浮かばない
- 単語が思い浮かばない
- 単語は思いつくが、文章を作れない
- 文章を組み立てるのにとても時間がかかってしまう
- 正しく発音できない(伝わらない)
いかがですか?自分に当てはまる原因を見つけられましたか?「スピーキングができない」原因を突き止めることは、効率的に英語学習を進めるうえで重要です。しっかりと原因を突き止めるようにしましょう。
スピーキングができない原因別の対策法
スピーキングができない原因を突き止めたら、以下の対策法を試してみましょう。
原因1:言いたいことが思い浮かばない
原因1の対策法は、小さなことでも普段から自分の意見を持つように習慣づけることです。なぜなら、自分なりの考えを持っていないと答えられないからです。言いたいことが思い浮かばず概念化できないのは実は日本人によく見られる現象で、その原因は海外のように何事においても理由や自分の意見を求められるという環境ではないからだと考えられます。しかし、海外では何も発言しないことは「意見がない」と判断され、ひどい場合は「無能」と烙印を押されてしまうこともあります。自分の意見を述べることは悪いことではなく、求められていることだということをよく理解し、どんな物事に対しても自分なりの考えを持ち、発信する癖を日頃からつけるようにしましょう。
原因2:単語が思い浮かばない
原因2の対策法は、ひたすら単語を覚えるしかありません。覚え方は人それぞれですが、単語と意味を機械的に覚えていくのではなく、普段の生活や仕事に密着した単語から覚え始めるのがポイントです。果物や野菜などの食品や家の中にあるものの単語、仕事に関係する単語などから語彙を増やしていく方法です。重要なのはどう覚えるかではなく、継続することです。自分なりの方法を見つけて語彙を増やしていきましょう。
原因3:単語は思いつくが、文章を作れない
原因3の対策法としては、文法や構文をしっかり勉強したうえで、定型表現や定型パターンを覚えるのがおすすめです。文章が作れない原因は、単語を文として構成する文法や構文の知識がないからです。自己紹介や挨拶、仕事の説明など頻出シーンの定型表現を100パターン丸暗記するだけでもスピーキングはとても楽になりますし、そこから応用を利かせていくことでさらに表現の幅を広げることができます。また、英語で日記をつけるなど、定期的に英語の文章を作成する習慣を身につけるのも効果的です。
原因4:文章を組み立てるのにとても時間がかかってしまう
原因4の対策法としては、文章化を高速化・自動化するトレーニングが効果的です。高速化・自動化するうえでおすすめできるのが、瞬間英作文のトレーニングです。瞬間英作文とは、日本語を見て即座に英訳スピーキングをするトレーニングで、すでに多くの書籍やアプリが出ています。まずは簡単なトピックや生活に密着したトピックからトレーニングを始めましょう。慣れてきたらトピックの難度を上げて、文章の組み立てに挑戦してみてください。また、オンライン英会話などでアウトプットを繰り返すのも効果的です。最初は相手の話したことに即時対応するのは困難ですが、続けることで着実に高速化・自動化が進みます。
原因5:正しく発音できない(伝わらない)
原因5の対策には、英語の発音に関する正しいインプットが必須です。正しく発音できないのは、正しい発音のインプットできていないのが原因なので、まずは正しい音を大量に聞くことから始まります。ネイティブの音声をリスニングしながら正しい発音やアクセント、イントネーションを覚え、シャドーイングを繰り返すことで流暢さを高めましょう。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、第二言語習得研究の観点から、「なぜ英語が話せないのか」を探り、原因別に対策法をご紹介しました。英語力を高めるためには、自分が苦手とすることを突き止め、その原因から対策を講じるのが近道です。多くの日本人が苦手とする「スピーキング」ですが、基礎能力が身につけば、あとは慣れるだけです。スピーキングは間違えたぶんだけ上達していきます。ぜひ失敗を恐れず積極的にアウトプットするようにしましょう。
reisuke
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