英語で時事テーマを語ろう!「難民問題」について語るときに使えるキーワード10選①

前回、ジャーナリズムについての記事で紛争について触れたのですが、UNHCRによると世界には紛争などにより住む場所の移動を強いられた人が6850万人いるそうです。

日本も含め世界では紛争を逃れ庇護を求める人々を受け入れていますが、国によって認定許可の割合は大きく差があり、各国での難民問題への取り組みに注目が集まっています。

2017年の難民認定率は、カナダが約60%、アメリカが約40%、そして日本は約0.2%でした。

今回は、組織、条約、最近の時事ニュースとともに難民問題について語るときに欠かせない10個のキーワードを勉強しましょう。

「難民問題」について英語で知っておきたいキーワード①~⑩

① UNHCR:The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees「国連難民高等弁務官事務所」

まず一つ目は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)です。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は国連により1950年以降の第二次世界大戦後に家を失ったり、生活が困難な何百万人ものヨーロッパ人を救済する目的で設立されました。現在、UNHCR設立時の第二次世界大戦後以上の数の人々が武力紛争などにより故郷からの移動を強いられています。

筆者がフランスの凱旋門を訪れた際、シャンゼリゼ通りは辺り一面真っ赤な照明で豪華に飾られていました。しかしふとイルミネーションの下に目を落とすと、寒さの中、通りの端には幼い子供を含めた人々が毛布や寝袋一つで地面に座り込み、寄り添っていました。

フランスにはシリアの紛争から逃れるために幼い子供も含めた100万人の難民が長距離を危険な中歩き、ボートなどの手段で移動を余儀なくされているそうです。UNHCRは世界の難民の半数以上は18歳以下の子供たちであることを公表しています。そして560万人のシリアの難民が紛争から逃れようと新たに生活できる安全な国を探しています。

② Internally Displaced Persons (IDPs)「国内避難民」

二つ目は、IDPs「国内避難民」です。IDPs「国内避難民」は越境はしていないが何らかの理由で住み慣れた故郷や仕事、教育からから離れることを余儀なくされた人々のことをinternally displaced personsで表します。

IDPs「国内避難民」とRefugee「難民」との違いは?

次に、IDPsとrefugees 「難民」との違いを見ていきましょう。国連によると「難民」とは、「紛争に巻き込まれたり、宗教や人種、政治的意見といった様々な理由で迫害を受けるなど、生命の安全を脅かされ、他国に逃れなければならなかった人々のこと」と定義されています。IDPsとrefugeesの違いは、refugeesは自国から出て、難民として認定を受け国際保護下にある人々のことを言い、一方でIDPsは自国に留まっていることにより同国の人が認められている権利以外は無く、自国の政府の管轄内にいる人々のことを指します。

【例】
Refugees are people who have fled war, violence, conflict or persecution, and have crossed an international border to find safety in another country. -UNHCR
(難民とは、戦争、暴力、紛争や迫害から逃げ、他国に安全を求めて国境を越えた人々のことです。ー国連難民高等弁務官事務所)

そして、この強制移動は今回の四つ目の語彙displacementで表現されます。

③ displacement 「紛争、自然災害、飢餓、国家の経済状況などの様々な理由により住み慣れた故郷や仕事、教育から離れることを余儀なくされること」

【例】
We are now witnessing the highest levels of displacement on record. -UNHCR
(私たちは今、史上最大数の強制移動を目の当たりにしています。ー国連難民高等弁務官事務所)

もしかすると命の危険を冒してまで国から出るよりも住み慣れた国の中で紛争の少ない地域に移り住む方が生活しやすいのでは、という意見があるかもしれません。しかしIDPsは国境を越えていないことから国連の保護下にないほか、移動せざるを得ない地域のある国では食料などの生活必需品が限られています。

それに加え、例えばイラクのように多様な言語や文化がある国では、場所を移ることにより生活様式や言語などの障害も発生することがあります。住み慣れた故郷を追われた人々には自国内外に関わらず、安らげる小さな空間の確保すら困難なのです。

④ Global Refugee Crisis 「世界難民危機」

大勢の難民が自国を追われて翻弄される様子、または受入国の難民の受け入れ政策に混乱する様子をglobal refugee crisis「世界難民危機」とよびます。

間違えやすい語彙

⑤ immigrants「教育や仕事などの理由で自国以外に住む人またはその資格取得の最中にある人のこと」

この単語とよく一緒に使われる形容詞でunauthorized「非正規」、illegal「違法」、undocumented「書類がない・不法の」という単語があります。

【例】
Unauthorized immigrants require countless documents when requesting a birth certificate.
(非正規移民者は出生証明書を申請する際いくつもの書類を必要とする。)

⑥ migrants「教育や仕事などの理由で自国以外にいる人のこと」

アムネスティインターナショナルによると、migrantsには国際法で決められた定義はなく、一般的に自国以外に滞在し、難民や亡命希望者ではない人々のことを指すそうです。

【例】
Migrants need to gain a visa to work in the US.
(移民者は米国で働くためにはビザを得る必要がある。)

⑦ asylum seekers「亡命希望者」

  • #save_rahaf

    つい最近、カナダのトロントで世界中の取材陣に囲まれる中、サウジアラビアのラハフ・ムハンメドさん(18)は自身の元々の名字「アルクヌン」を消し、ミドルネームを名字として改名したと表明し、

    「私は幸運な人間の一人です。私のように逃げようとした後姿を消したり、現実を変える為になすすべがない女性がいることも承知しています。」と発言しました。

    亡命希望を認められる際、grant「承諾する」を使います。

    【例】
    Rahaf Mohammed was granted asylum in Canada.
    (ラハフ・ムハンメドさんはカナダで亡命許可が下りた。)

    ラハフさんはタイでパスポートを没収された後、空港内のホテルでツイッターアカウントを開設、#save_rahafを使い難民指定を求めるツイートを拡散、その後無事カナダでの難民指定を受けました。

    殺害の危険性以外にも虐待も迫害に含まれます。その迫害を表す語彙がpersecutionです。

  • persecution「人種や宗教などの理由による迫害」

    【例】
    Persecution takes many forms. It can be in a form of beatings and torture.
    (迫害は様々な形になり得る。酷く殴られることや拷問にもなる。)

    ラハフさんのように自国にいることで受ける拷問、性的暴力も含めた暴行から逃れようとする人たちを助ける条約は1951年に結ばれました。その条約はthe 1951 refugee convention「1951年・難民条約」です。

  • The 1951 Refugee Convention 「1951年・難民条約」

    【例】
    “Based on the 1951 Convention and the 1967 Protocol, I’m rahaf mohmed, formally seeking a refugee status to any country that would protect me from getting harmed or killed due to leaving my religion and torture from my family. “ ーRahaf Mohammed (@rahaf84427714)
    「1951年の難民条約に基づき、私ラハフ・ムハンメドは宗教を去ることにより危害を加えられること、そして家族からの拷問から守ってくれ、受け入れてくれる国に正式に難民の地位を求めます。ーラハフさんのツイッターより」

まとめ

いかがでしたか?中東とは地理的に遠いことも関係してか、まだ難民問題の大きさについては一般的に関心が高いとは言えません。しかし難民問題は世界各国が様々な政策を行い、高く注目をされている話題です。今回のキーワードをぜひ、参考にしてみてください。次回は世界と日本の難民受け入れや支援の現状や課題を見ていきます。

【関連ページ】英語で時事テーマを語ろう!英語で「ジャーナリズム」について語るときに使えるキーワード10選
【参照サイト】FIGURES AT A FIRST GLANCE
【参照サイト】 REFUGEES, ASYLUM SEEKERS, AND MIGRANTS
【参照サイト】 LEARNING TO LIVE TOGETHER
【参照サイト】日本の難民認定率はたったの0.2%!UNHCR駐日代表「お金だけでなく難民も受け入れるべき」

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蟹っ娘(かにっこ)

18歳で単身渡米、ロスのハリウッドでジャズやボサノバの歌を学ぶ。現在は、在米中に経験したことをもとに日本語・英語講師、ライターとして活動中。異文化コミュニケーションや心理学関連の読書が好き。TESOL、英検1級保有。在米7年、現在鳥取県在住。

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