英語学習で成果を出すうえで一番大事なことの一つは「継続」です。英語は筋力トレーニングと同じように毎日少しの時間でもコツコツと続けていれば、着実に英語力は身についていきます。しかし、仕事で忙しい社会人の方の中には、英語を学ぶ大事さを分かっていてもなかなかモチベーションが維持できず、学習が続けられないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
常に高いモチベーションを維持しながら英語学習を継続するうえで有効なのは、定期的に自分の英語上達度を客観的な指標で図るという方法です。客観的な指標に基づいて自分の英語力が着実に上がっていることが分かれば、学習の効果を実感してさらに英語力を伸ばそうとするモチベーションにつながります。
自分自身の英語習熟度を客観的にチェックする方法としてはTOEICやTOEFLなどのテスト受験もありますが、これらのテストのネックは、受験するたびにかなりの費用がかかってしまうという点です。また、TOEICはビジネス英語に特化しているほか、受験者がアジア圏中心となっており偏りがある、TOEFLは学術的な単語や内容が多いため、社会人が実践的な英語力を測定するうえでは少しずれがあるといった課題もあります。
そこで活用できるのが、「CEFR-J」という指標です。このCEFR-Jは、CEFR(セファール)と呼ばれる世界的に活用されている外国語の習熟度に関する国際基準を、日本人のためにカスタマイズしたもので、英語習熟度を測るうえでとても便利な指標となっています。今回は、このCEFR-Jについて詳しくご紹介します。
CEFRとは?
「CEFR-J」について話す前に、まず「CEFR」についてご紹介します。語学留学をしたことがある方であれば一度は聞いたことがあるかもしれませんが、CEFRとはCommon European Framework of Referenceの略語で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれています。
このCEFRは、多言語が共存しているヨーロッパにおいて、それぞれの言語についてどの程度の語学力があるのかを客観的に測定する共通の物差しとして欧州評議会が開発したもので、2001年から公式に活用されています。現在では世界中の語学学校でこのCEFRが生徒の語学力を測定する指標として採用しており、CEFRに沿ってクラス分けをしています。
CEFRでは、外国語の習熟度をA1、A2、B1、B2、C1、C2という6レベルに分けて評価しています。A1は超初級でA2は初級、B1は中級でB2は中上級、C1は上級でC2は超上級のほぼネイティブレベルとなります。
日本人の場合、海外の語学学校に入学すると多くの方はA1~B2程度に振り分けられます。イメージとしてはA1に近づくほどアジア人が多く、Cクラスになるともともと英語がそれなりにできるヨーロッパ人がクラスの中心になることが多いです。
このCEFRは英語力も含めた外国語の運用能力を客観的に示すことができる世界共通の指標としてはとても便利なのですが、レベルが6段階にしか分かれていないため、より細かい習熟度の確認ができないという難点がありました。
中学・高校で一般的な英語教育を受けただけの日本人の場合、A1~B1あたりにレベルが密集する傾向があり、特にA1の場合は全く英語が話せない人から自己紹介などの簡単なやり取りはできるレベルの人まで全て一緒にされてしまうという課題がありました。
こうしたCEFRの課題を解決し、日本人のための英語習熟度指標として開発されたのが、「CEFR-J」です。
CEFR-Jとは?
CEFR-Jは、CEFRをベースとして日本の英語教育における利用を目的として構築された、日本独自の新たな英語能力習熟度指標です。東京外国語大学の投野由紀夫教授らが中心となって開発されました。
CEFR-Jでは、CEFRの課題であったレベル分けを日本人の一般的な英語能力に合わせてPre A1、A1-1、A1-2、A1-3、A2-1、A2-2、B1-1、B1-2、B2-1、B2-2、C1、C2の全12段階に細分化しています。特にPreA1~A2-2までとA以下のレベルだけでも6分類しているのが特徴でこうすることにより日本人の英語学習者でも着実に習熟レベルを上げていけるように工夫されています。
また、CEFR-Jは「言葉を使って何ができるか」を文章で明示するcan doという記述方法をとっており、具体的には「理解(聞くこと、読むこと)」「話すこと(やりとり、発表)」「書くこと」という5分類された英語能力について、レベルごとに具体的に何ができる状態なのか(can do)が示されています。
例えば「A2-1」の「やりとり」ができるレベルは、「順序を表す表現であるfirst、then、nextなどつなぎ言葉や『右に曲がって』や『まっすぐ行って』などの基本的な表現を使って、単純な道提案をすることができる」といった具合にかなり具体的なcan doが示されています。
CEFR-Jは欧州共通言語参照枠(CEFR)をベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された、新しい英語能力の到達度指標です。CEFR-J の指標は、「言葉を使って何ができるか」ということを文章で明示する、can do という能力記述子(descriptor:デスクリプタ)を用いて記述されています。かつ、すべての項目をさまざまな調査結果を用いて検証したデスクリプタで構成されています。
CEFR-Jによるレベルチェックのメリット
CEFR-Jによるレベルチェックを行う一番のメリットは、やはり何といっても自分自身の英語の上達を客観的な指標で確認でき、モチベーションの向上につながるという点です。特に英語初心者の場合、最初は基礎力を固めるための地味な勉強も多いうえ、なかなか英語が話せない、聞けないフラストレーションがネックとなってモチベーションが下がりがちです。
CEFR-Jでは、そのような日本人の英語学習初心者のためにかなり細かくレベル分けが設定されているため、少しの上達でも着実にレベルアップを実感することができ、モチベーションを維持しながら英語学習に取り組むことができます。
CEFR-Jを活用しているオンライン英会話
実際のこのCEFR-Jを受講生のレベルチェックに活用しているオンライン英会話サービスとしては、「レアジョブ英会話」が挙げられます。レアジョブ英会話ではCEFR-Jを基にした10段階の「レベル」を設定しています。具体的には下記のレベル設定が行われており、無料体験レッスン時のレベルチェックにも活用されています。
また、レアジョブでは英会話力の習熟度を確認するための「スピーキング力」テストも提供しており、このテストを定期的に受験することで、日頃のレッスンにより自分の英会話力がどのぐらい伸びたのかをCEFR-Jに基づいて測定することができます。オンラインでのテストなので受験も簡単で、オンライン英会話を継続するためのモチベーションを高めるうえで有効です。
まとめ
英語力を高めるうえで一番大事なのは「継続」ですが、そのモチベーションの源泉となるのは、「たしかに自分の英語力が高まっている」という実感です。なかなか英語の学習が続けられないという方は、ぜひCEFR-Jを活用した学習に取り組んでみてはいかがでしょうか?
【参照サイト】レアジョブ英会話
【参照サイト】CEFR
【参照サイト】CEFR-J
English Hub 編集部
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