ビジネスシーンでは、目標地点までの行程やマイルストーンを明らかにし、見通しを立ててプロジェクトを推進するために導入される「ロードマップ」。今、英語学習においても、個々に作成した学習ロードマップに沿って学び、段階的かつ確実なスキルアップを狙うスタイルが注目を集めています。
今回は、英会話スクール「ミライズ(MeRISE)英会話」の「コーチングプラン」専任トレーナーとして、第二言語習得論に基づく受講生ごとのカリキュラムデザイン、英語学習の習慣化形成サポートを手がける岩本大輝氏に、学習ロードマップの活用についてうかがいます。
プロフィール:大学卒業後にフィリピンとイギリスへ留学し、帰国後に英語学習トレーナーとして従事。経営者〜著名人まで100名以上の幅広い生徒様を担当。前職のコーチングスクールにて顧客満足度1位を獲得。
目次
英語学習に「ロードマップ」を取り入れる効果とは?
Q.英語学習ロードマップを作成し、それに沿って学ぶことはどのように効果的?
岩本氏:ロードマップに沿って学ぶことは「迷わず学習を進められる」点で非常に効果的です。なぜなら英語学習者は、学習方法や学習内容に迷いを抱きながら学習をしていることがほとんどだからです。
現代では、英語学習に関わる書籍や、学習コンテンツは膨大な量があります。自分で選んだ方法で学んでいても、つい、周りの友人が使用している英語学習コンテンツに魅力を感じることもあるでしょう。
ロードマップを作成することで、現在取り組んでいる学習が明確化され、迷わず学習を進めていくことができるため、非常に効果的です。
プロのトレーナーが考案!英語中級レベルの学習者のためのロードマップ
では、一人ひとり異なるゴールまでの航路をどのように見出し、具体的にどんな学習項目を含むマップを作成すれば、迷わず効果的に学び続けられるのでしょうか。
ロードマップのイメージがわかず、自分用の地図をなかなか描けないという学習者のために、今回は下記のような英語中級レベルの学習者Aさんを想定し、岩本トレーナーにAさんのための英語学習ロードマップを作成していただきました。
- 英語レベル:中級
- 目標:1年後に外資系企業で英語を使って働く
- 生活スタイル:仕事のため、日中はあまり学習時間が取れない
Q. 英語力中級の学習者が、1年後に外資系企業で英語使用業務に就くためのロードマップとは?
岩本氏:まず前提として、外資系企業の英語使用業務に就くためには、最低でもCEFR(Common European Framework of Reference for Languages: ヨーロッパ言語共通参照枠)レベルでB2のスキルが必要になります。CEFR における英語レベルB2の方が保持する英語力は以下となります。
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
(「 CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠) | ブリティッシュ・カウンシル」より)
上記の内容から現在地の英語中級レベルまで逆算をしてロードマップを作成していく必要があります。
分かりやすく、スピーキングとリスニングの2つに分けて進めていきます。
スピーキング
スピーキングでは、最終的には上記の母語話者とのやりとりと文章形成についてのコメントを組み合わせた「ある程度流暢かつ自然に、幅広い話題について明確で詳細な文章が作れる」ことが必要です。そのために、以下の手順で進めていく必要があります。
【STEP1:英作スピードの強化】
こちらの例の学習者は中級ということで、既にスピーキングに使える文法知識は多いと仮定して進めていきます。
「スピーキングで使える文法知識がある」=「使える武器」を持っている状態ですので、1番最初に自己学習用テキストを活用し英作スピードの強化に努めていきます。(もし「使える武器」が少ない場合は、文法学習から着手し、使える武器を増やしていきます)
理由は、英作スピードが不十分である場合、CEFR B2の学習者がこなせるべき、ネイティブとの流暢かつ自然なやり取りを満たすことができないからです。
ここでSTEP1の最初の課題、「複数の時制問題が学習範囲にあっても時制を使い分けできる」を解説します。
皆さんが文法のテキストを購入したとします。文法のテキストの構造は、ページによって学ぶ文法が決まっていますよね。例えば、過去形のページの問題を学習している時、1問目も2問目も3問目も過去形についてです。そのため、次の問題も過去形が来ると思って学習することになります。
「複数の時制問題が学習範囲にあっても時制を使い分けできる」とは、同じページに過去形や未来形や現在形など色んな文法がミックスされたテキストを使って学習し、最終的に複数の時制をスピーディーに使い分けて英作文できることを意味しています。目安学習期間としては、日々の学習時間の想定が難しいため、3~6ヶ月に設定しています。
【STEP2:センテンスのまとめ方練習→ビジネス英語(ビジネスフレーズ等の学習)】
STEP1で接続詞を使った英作練習を交えながら、STEP2に進んでいきます。STEP2のゴールは、「幅広い話題で論理的に自分の考えをアウトプットできる」です。そのために、センテンスのまとめ方の型を最初に学習していきます。
例えば、PREP、OREO、ICESなど日本語の起承転結に類似するものをレッスンを通して学習します。この学習を通して学習者には、「武器の組み立て方」を理解してもらいます。この型を理解することで既知の文法や単語を使うだけで論理的に話すことができるようになるためです。
ただ、最初からレッスン(スピーキング)で実践することは非常に難易度が高いので、2番目の課題であるライティング練習を実践します。まずは時間的制限を持たない状況でこの型を使えるようになる必要があります。この型に慣れてきたタイミングでディスカッションレッスンを通してスピーキングで実践をしていきます。
この段階で、ミライズ英会話では「Current Events」というレッスンを推奨しています。ミライズ英会話のCurrent Eventsとは、時事ネタについてのディスカッションレッスンになります。生徒さんが自身の関心あるトピックを選定し、講師がそのトピックを用いて生徒さんに質問を問いかけ、ディスカッションへ展開していきます。このような形で、学習者は実践の中で型を習得し、ビジネス英語レッスンへと進んでいきます。
ビジネス英語では主にロールプレイの実践を通して、ビジネスフレーズや単語を習得します。なぜ、ビジネス英語の前にSTEP1とSTEP2を経由するかというと、英語力が不足している状態でフレーズの暗記をしても理解が追いつかず、実践で応用することは非常に難しいためです。
リスニング
B2に到達するためには、「自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる」かつ「母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である」ことが必要です。
同じようにそこから逆算をしてロードマップを作成していく必要がありますが、ミライズ英会話でリスニング学習で注力している点は発音レッスンとリスニング自己学習の組み合わせです。なぜなら、「発することができない音は聞き取ることができないからです。」
【STEP1:音声知覚強化 (発音レッスン×リスニング自己学習) 】
STEP1における具体的な学習内容は、発音のレッスンと、学習した発音をリスニング学習で実践していていくことです。ここでのリスニング学習とは、音読・オーバーラッピング・シャドーイングなどをまとめたものを指します。LRやTHのような単音ベースから学習を開始し、連結音や消滅音、最終的にはストレスやイントネーションを学習していきます。
STEP1ではTOEICの音源速度と同等もしくはそれ以下の題材を使用し、正しく発することができる音を増やしていきます。その後、学習者の進捗状況に合わせてTED Talksを使った自己学習を開始します。ミライズ英会話ではTED Talksを使用して学習を進める際、以下のようなスクリプトを生徒さんにお渡ししています。
リンキングも明記し、レッスンで学んだ発音知識を正しく再現できているのかを確認しながら学習を進めていただきます。このTEDを使用する段階は、図のSTEP2に該当します。
【STEP2:意味理解強化 (Reading学習や語彙の強化)】
STEP2では「意味理解強化」と明記していますが、継続して音声知覚の強化も行っていきます。
このTEDに挑戦する段階で、単語量が乏しいと、スクリプトを見る度に辞書を引く必要が出てきて学習効率が低下するため、STEP2以前から学習状況を加味して単語学習を取り入れていきます。
また、このSTEP2での意味理解強化ではリーディングを実践していきます。内容としては、ニュースのサイトを使用し、定期的な頻度でリーディング課題に取り組みます。
ミライズ英会話では実は、スピーキングのSTEP2のライティングもこのリーディングと同じマテリアルを使用しているため、生徒さんは1つの記事でリーディングとライティングの練習をすることが可能です。(ちなみに、その記事を活用してディスカッションレッスンの実践もしているので、リーディング→ライティング→レッスンが一気通貫しています) 加えて、単語補強のために、「Phrasal Verbs」「Idioms」に特化したレッスンもご提供しています。
このように、レッスンで学んだ発音をリスニング自己学習で正しく習得できているかのチェックを専属の学習トレーナーが実施し、STEP2の意味理解の強化の部分では、1つの記事を使って意味理解強化のためのReading練習→スピーキングの型覚えのためのライティング練習→実践応用のためのディスカッションレッスンを提供していく形で学習を進めていきます。
ロードマップに沿って学習した場合、想定される成長曲線は?
Q. このロードマップに沿って学ぶ学習者はどんな成長曲線をたどる?
岩本氏:生徒さんのバックグラウンドや学習習熟度によって変わってくるので一概には言えませんが、急成長期は次の2点です。
- スピーキングロードマップでSTEP2のスピーキングの型を実践できるようになったとき
- リスニングSTEP2で単音発音と音の連結など、習得した発音数が増えたとき
①は、多くの英語学習者の悩みである「ボキャブラリーが少ないから話せない」を解決できるためです。型を使えるようになると、単語量に頼らず、既知の単語から言いたいことを言えるようになってきます。
②は、発することができると圧倒的に音声知覚を強化することができるからです。日本語と英語では母音や子音の数が大きく違ってきます。最初は、全く同じ音に聞こえるLRも練習を繰り返すことで正しく発することができるようになり、強いては聞き分けすることが可能になります。このように自身の変化を体感できると学習意欲も向上しやすいので成長期に突入しやすいです。
一方で、伸び悩み期は学習成果を体感できない学習初期です。私もそうでしたが、やはり早い段階で成果を実感したいからです。その気持ちを堪えて、まずは習慣的に学習を継続できる学習者は、必ず成長期に突入できると思います。
ロードマップの設計と学習をサポートしてくれるプラン
Q.ミライズ英会話には学習者が個別のロードマップに沿って学習できるプランがありますか?
岩本氏:ミライズ英会話は学習スタイルをデザインできるスクールで、最適なタイミングで最適なサービスをご提供することが可能です。オンライン英会話、日本人スタッフのサポート付きのスタンダードプラン、専属学習トレーナー付きのコーチングプラン、留学のサービスがありますので、最適なプランのもと英語学習を長期的に継続していただけます。
実際に、コーチングプランで学習開始をした受講生の95%以上の方がその後オンラインプランで学習を継続されています。英語学習は長期的に取り組んでいく必要があるため、最適なプランをご提供して皆様の英語学習に貢献できますと大変嬉しく思います。
まとめ
岩本トレーナーが作成した学習ロードマップを読み込み、自分に必要な学習行程を洗い出してみたくなった方や、プロによる英語コーチングを受けてみたくなった方もいるのではないでしょうか。
「習慣的に学習を継続できる学習者は、必ず成長期に突入できる」という岩本トレーナーの力強い言葉が印象的でした。
タイムラインに沿って学習指針を盛り込んだロードマップを描き、展望を持って英語習得のゴールを目指しませんか?
ミライズ英会話概要
サービス名 | MeRISE(ミライズ)英会話 |
URL | https://eikaiwa.merise.asia/ |
運営会社名 | MeRISE株式会社 |
本社所在地 | 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-15-2 MTエステートビル5F |
スクール所在地 | ●渋谷校:東京都渋谷区渋谷3-15-2 MTエステートビル7F(JR渋谷駅新南口徒歩2分) ●新宿西口校:東京都新宿区西新宿7-2-6 西新宿K1ビル4F(新宿駅徒歩8分) |
設立 | 2012年10月1日 |
資本金 | 3,100万円 |
入学金 | 33,000円 |
教材費用 | 5,500円 |
コースと料金 |
●コーチングプラン:77,000円/月 トレーナー面談(月4回)・オンラインレッスン受け放題など、月4回の通学レッスン以外のミライズ英会話の全てのサービスが受けられます。 ●スタンダードプラン:27,500円/月 ●オンラインプラン:11,000円/月 ●ハツオン:242,000円/2ヶ月 ※すべての料金プランにおいて、入会金33,000円別途 |
授業時間単位 | 50分 |
対応時間帯 | 平日:13:00~22:00/土日:10:00~19:00 |
※表内に記載の金額はすべて税込です。
※サービス内容・料金については変更されている可能性があります。最新情報についてはMeRISE(ミライズ)英会話のホームページを参考にしてください。
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