言語学習データを通して見る世界 ー DuolingoがLanguage Report 2022を発表

英語をはじめとする40言語以上を対象とした語学学習アプリを運営するDuolingo, Inc.が、2022年版の「Duolingo Language Report」を発表しました。

Duolingo Language Reportは、Duolingoのアプリを使用して言語を学ぶ、世界5億人以上のユーザーのデータを分析し、言語にまつわる最新のトレンドや学習者の行動、興味・関心の変化をまとめたものです。

【Duolingo Language Report 2022 概要】

  • 調査対象:2021年10月1日~2022年9月30日の期間中に語学学習アプリ「Duolingo」を使用した5億人以上のユーザー
  • 出典:Duolingo, Inc.
  • ・ユーザーのプライバシー保護のため、国や言語ごとに情報を集約。
    ・年齢やモチベーションに関するデータはユーザーの自己申告に基づく。
    ・13歳以下のユーザーデータはすべての分析から除外。
    ・ユーザー数が5,000人以下の国はランキング集計に含まない。

世界の言語学習データから分かること

ウクライナ侵攻以降にみられた言語学習状況の変化

ロシアによるウクライナ侵攻開始後にウクライナ語の学習者が急増

2022年2月、ロシアがウクライナ侵攻を開始すると、身の安全や自由を脅かされたウクライナの人々に対し、世界中からさまざまな形で支援の輪が広がりました。寄付金や物資面でのサポートに加え、なかにはウクライナ語を学ぶことで危機的状況にあるウクライナへの連帯を示している人たちもいます。

Duolingoのデータによると、軍事侵攻の開始後にウクライナ語を学び始めた人の数は、世界中でおよそ130万人以上にのぼりました。特に、ウクライナからの避難者を数多く受け入れているヨーロッパ諸国において、学習者数の伸びが顕著に表れています。ドイツでは前年比で1651%、ポーランドで1615%、チェコ共和国でも1515%の増加でした。

ウクライナの人々が他の言語を学ぶ動きも活発に

ウクライナ語の学習者数が増加した一方で、ウクライナ人が他の言語を学ぶ動きも活発になりました。ドイツ国内で学ばれている言語の集計(2022年)では、公用語であるドイツ語が2位にランクイン。ウクライナからの避難者を中心に、国外からドイツに来た人たちの多くがドイツ語を学び始めた影響と考えられます。

また、Duolingoが提供する英語力測定試験「Duolingo English Test(DET)」を受験したウクライナ人の数は、前年比で4000%増加し、過去最多を記録しました。

母国以外の土地に身を置いて生計を立てるには、その国の公用語や、世界の共通語である英語の習得が必要不可欠とも言えます。ウクライナ人の言語学習データには、住み慣れた土地を離れることを余儀なくされ、生きていくための選択肢として新たな言語の習得に取り組まなければならない厳しい状況も反映されているのではないでしょうか。

韓国語の学習者が増加。韓国カルチャーブームの影響か

世界の言語学習データは、国際情勢の不安定さだけでなく、国を超えた文化の交流がもたらすポジティブな側面も映し出しています。

Duolingoの調査によると、韓国語は多くの国で学習者が急速に増え続けている言語の一つです。フィリピンやブルネイを含む4ヵ国では、韓国語が英語を抑えて最も多く学ばれている言語となっているほか、中国、インド、日本、ベトナムでも学習者数の多い言語のトップ5に入っています。

韓国語の学習者数増加の背景としては、K-POPや映画・テレビドラマなど、韓国のエンターテインメントが世界規模で注目を集めている影響が大きいと推測されます。

『Duolingo Language Report 2022』調べ

東南アジアにおける日本語の人気度や、日本人ユーザーの勤勉さも明らかに

日本語は学習者数が多い言語ランキングの第5位にランクイン

Duolingoのレポートには、日本の学習者や日本語に関する話題も盛り込まれています。

世界中のDuolingoユーザーのデータに基づく、学習者数が多い言語のランキングでは、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語に続き、日本語が5位にランクインしました。

日本語の学習人口が特に多いのは東南アジアの国々ですが、最近では韓国語の人気の高まりもあり、インドネシアやタイ、フィリピンなどの国で日本語と韓国語が上位争いを繰り広げています。

アプリ上で最も熱心に学習に取り組んだ国のランキングでは日本が1位に

アプリを利用して言語学習に取り組んだ平均時間を基に算出されたランキングでは、日本人の学習時間が最も長く、全世界でトップとなりました。

この結果から、気軽に利用できるアプリを活用し、多くの日本人が熱心に言語学習と向き合っている様子が分かります。日本人ユーザーの中で最も人気が高かったのは英語ですが、Duolingoは40言語以上の学習に対応しており、英語以外のさまざまな言語を学ぶことも可能です。

まとめ

膨大な数の言語学習者のデータを分析したDuolingoのレポート内容からは、言語の学習状況を通じて、世界中の人々の動向や関心の変化が見て取れます。

国際情勢からポップカルチャーまで、世界のあらゆる側面を映す鏡として言語を捉えてみると、興味深い発見があるかもしれません。

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