YouTubeの自由で簡便化された動画視聴システムは、英語学習者にとっても利便性の高いツールです。でもその反面、コンテンツの豊富さゆえに視聴すべきチャンネル選びは難航しがちです。特に、子どもの学習用に優良な英語教材を絞り込むにあたっては、何らかの指針がほしいと感じることが多いのではないでしょうか。
今回は、子どもたちに良質な英語学習の機会を提供してくれるプログラムをYouTube上で探し出すにあたって抽出すべきキーワードを考えます。また、それぞれのキーワードを含むおすすめのYouTubeチャンネルをご紹介します。
なぜYouTubeで学ぶ?
聴覚・視覚ともに刺激した学習は記憶力を促進させ、既習内容の記憶保持を助けるという研究報告もあります。数ある優れた英語教材を無料で反復できるYouTubeの長所を活かして継続的に聴覚と視覚に訴える学習を続けましょう。そうすることで、英語力の定着が促され、学ぶ意欲を醸成する効果が得られるでしょう。
YouTubeを使った子どもの英語学習に取り入れたいキーワードは、次の3つです。
ここからは、それぞれによる学習効果とおすすめのチャンネルをご紹介します。
1. マザーグース(対象:0歳~小学生)
イギリスやアメリカなどの英語圏では古から歌い継がれてきた童謡のマザーグースを聞き、言葉を覚えます。英語学習の場でマザーグースが推奨される理由はたくさんあります。
- 目的に沿って学べる:体を使い、親子で一緒に楽しめる指遊びや手遊びの歌のほか、アルファベットや数の歌など、そのバリエーションは多種多様です
- 英語特有の韻を踏むテクニック「ライム(rhyme)」の多用:子どもが大好きな同じ音の繰り返しで、自然に単語量が増やせます
- 子音の発音・リズム・イントネーションの習得に効果的:平易でリズミカルな歌を通じて、日本人が最も苦手な子音の発音やリズム、イントネーションなどの音声表現の基礎がマスターできます
Mother Goose Club
ポップカラーの衣装を着た出演者たちと明るく、かわいいイラストが融合した動画が子ども心を引きつけます。豊富な曲目と歌詞付きの映像で、様々な曲を覚えて練習できます。
おうちようちえん
代表的なマザーグースの曲が学べ、ホームページには英語詞が掲載されています。ゆったりとした曲調と非常に柔和なイラストの動画に合わせながら落ち着いて学習できます。
2. フォニックス(対象:幼児~中学生)
文字と音を連動させて学ぶフォニックス。正確な音を身につけることと言語能力の発達には相関性があります。日本人英語学習者の弱点は、発音とリスニングの分野に顕著に現れ、どちらにも音が関連しています。音声学習をなおざりにしてきた従前の英語教育から脱皮し、フォニックスでバランスの取れた英語力を獲得しましょう。フォニックスで得られるのは、次の4つのチカラです。
- 正しい音を学ぶことで正確な発音力がつく
- 正確な音が理解できることでリスニング力が向上する
- 音を知ることで未習の単語を推測しながら読めるため、語彙力がつく
- 読む力がつくと書く力が増す
1979mpi
40年間の研究により、フォニックスで中学英語教科書の70%が読めると提唱しているmpi松香フォニックスの動画では、アルファベットのイラストを見ながらリズムに乗って、楽しく文字と発音の練習ができます。2020年には、小学校の第3学年から外国語活動の中で音の学習が始まります。音の理解が進んだら、発音の仕方を詳しく学べる「アルファベットたいそう」もおすすめです。
3. 日本の昔話(対象:小学生)
2020年の新学習指導要領導入を控え、文部科学省では言語能力育成の観点から国語力の重要性が再考され、言葉自体への関心を高める教育が考えられています。そんな中、小学校では国語と英語の連携による相乗効果が期待され、外国語活動のテキストでは、桃太郎を英語で学ぶ内容が登場して英語力強化に効果を上げています。日本の昔話を使用した英語学習には、次のようなメリットがあります。
- 伝統的な既知の昔話は、初期学習に導入しやすい
- 何度も聞いた物語の流れは、英語で聞いても場面内容が理解しやすい
- 日本語の台詞と英会話表現をすぐに置き換えて学べる
英語で日本の昔話を楽しめるYouTubeチャンネルをご紹介します。
キッズボンボン TV
講談社によるキッズボンボン TVは、字幕設定により両言語で視聴できます。有名な物語が多く、英語字幕でも場面把握が可能です。両言語を見比べながら台詞を覚えて、英会話表現が身につきます。
まとめ
今回ご紹介したチャンネルでは、子どもの興味を引く動画とリズミカルな音声で、発音やイントネーションなど、英語力向上に最重要な基礎が固められます。
最後に、学習効果をさらに高めるためには「学ぶ時は、必ず親子一緒に!」というのが大切なポイントです。ただ映像を見せ続けるだけでは、YouTubeの利点を生かした効果的な学習法とは言えません。親子で楽しく、何度も見て学んだ記憶は、今後の英語力を左右し、学ぶ意欲を支えてくれるでしょう。
【関連ページ】音を制して英語を制す?4技能の土台を築く「フォニックス」とは?
【関連ページ】2020年に小学3年生から英語必修に!低学年の子どもたちが今から学んでおくべき3つのこと
【参照サイト】「視覚教材を用いた音声聞き取り学習が記憶保持に与える影響」木地泰治
【参照サイト】マザー・グースと英詩による音声教育―理論と短大に於ける試みー
【参照サイト】松香フォニックス
【参照サイト】「小学校外国語活動における「桃太郎」を使った授業展開 -英語劇化への過程と民話としての側面」西崎 有多子
Junko
最新記事 by Junko (全て見る)
- 子どもの英語力をグングン伸ばすYouTubeチャンネルを厳選! - 2018年9月20日
- 2020年に小学3年生から英語必修に!低学年の子どもたちが今から学んでおくべき3つのこと - 2018年8月16日
- 2020年、英語教育はどう変わる?小学校英語必修化から大学入試改革まで - 2018年7月20日