音を制して英語を制す?4技能の土台を築く「フォニックス」とは?

「フォニックス(Phonics)」をご存知ですか?文字を学びはじめる英語圏の子どもたちは、フォニックスで文字(つづり)と発音の関係性を学びます。幼少期より、正しい音を身につけることが、その後の言語能力の発達につながるといわれています。それにならって、日本の英語教育にも変化の兆しがあります。「新学習指導要領」に沿って作成された文部科学省の「小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック」からは、3・4年生の外国語活動で「文字の“名称の読み方”」、5・6年生の外国語科で「文字が持っている音」が指導されることがわかります。また、学校教育外でも子ども向け英語レッスンの指導法にフォニックスを採用するスクールが増え、世界に通用する確かな英語力の構築に向けて”音”の学習に注目が集まっています。

日本の子どもたちの英語力は?

フォニックスのお話の前に、現在の子どもたちの英語力が明確化した興味深い調査結果をご紹介します。

本年4月、文部科学省は平成29年度「英語教育実施状況調査」の結果を発表しています。本調査では、全国の公立中学・高校生を対象に英語力に関する調査を実施しています。その結果、英検3級相当以上の英語力を持つ中学3年生は、40.7%(前年度比4.6ポイント増)、準2級相当以上の高校3年生は、39.3%(同2.9ポイント増)となり、国が目標に掲げる50%の基準値には届きませんでした。

文部科学省 平成29年度「英語教育実施状況調査」(概要) 生徒の英語力

文部科学省 平成29年度「英語教育実施状況調査」(概要)より引用

なぜフォニックス?

「なぜ、日本人の英語力は伸びないのか」との疑問が投げかけられるようになって久しく、その原因の背景にある問題点が模索されています。英語が苦手な子どもたちに、共通する傾向はあるのでしょうか。

中学生の指導については、「単語が音読できない」というところでつまずく生徒の多さを指摘し、「音読の前提として音韻認識力」の重要性を説く考察が見られます(「英語を『読む』技能習得のための小・中連携」より)。ベネッセ教育総合研究所による中学生を対象とした調査結果からは、ライティング習熟度の低い生徒の多くが音読に難しさを感じているという相関性が分析されています(「英語習熟度別に見る英語学習の実態と英語に対する意識の違い」より)。

たとえ今、英語が得意でなくても「英語ができるようになりたい!」「理解したい!」という想いを抱えている子どもたちの向上心に応え得る鍵は、”音”の学習にあるのかもしれません。

フォニックスとは

ここから本題のフォニックスについてお話していきましょう。フォニックスは、文字(つづり)と発音の結びつきを学習し、読む能力の向上を計る教授法です。英語は26文字のアルファベットで構成され、それぞれに文字の名称(例:A=エイ、B=ビー)と音があります。私たちが単語や文を読めるようになるには、アルファベットの名称や形だけではなく、音を学ぶ必要があります。その理由として、アルファベットの学習だけでは、子どもが”ant“という文字を見たとき、「エイエヌティー」と読めるだけで、何を意味するかは理解できません。

ここで、フォニックスの登場です。ポイントは、アルファベットの名称とフォニックスでは発音が異なる点です。少し例を挙げます。アルファベットは、A=エイ、B=ビー、C=スィー、D=ディーという名称を持っていますが、フォニックスでは、A=ェア、B=ブ、C=ク、D=ドゥと読みます。この読み方を学ぶことで、前例の”ant”は、「ェアヌトゥ」と、正確な発音が可能になります。こういった発音ルールによって正しい音を知ることで、知らない単語を見ても推測しながら読めるようになり、結果、従来の記憶力重視の偏重学習から脱却できます。さらに、読む力がつくことで書く力も身につき、正確な音が分かることから、リスニング力も向上するという効果が期待できます。

ただし、フォニックスは文字(つづり)と音を対応させる学習法である以上、文字の名称や形を知らず、音だけを身につけることはできません。まずは、アルファベットの大文字と小文字をマスターすることが、フォニックス学習開始前の最も大事なポイントになります。

(※本章では、わかりやすくお伝えするために、文字の持つ音を簡易的にカタカナ表記しました)

まとめ

音の学習は、英語の基礎中の基礎です。土台を固めることで堅固な建物が築かれるのと同様に、英語も基礎となる音を制することで、より円滑に4技能を伸ばすことができ、つまずきや苦手意識がなくなります。そして、もう一つ英語力向上に大切なことは、子どもたちへの励ましの言葉です。勇気づける一言は、優れた学習法と相乗効果を上げ、学びの原動力となります。確かな英語力を築くための第一歩として、子どもの英語学習にフォニックスを取り入れてみませんか?

【参照サイト】【連載】英語のつまずきは、アルファベットから!? ~大人が気がつきにくい落とし穴~ 第3回「文字を練習しながら、実は音も!」|ARCLE(アークル) 
【参照サイト】【新連載】小学校英語で行うリーディングの基礎指導とは 第3回 フォニックスって何? |ARCLE(アークル)
【参照サイト】平成29年度「英語教育実施状況調査」(概要)
【参照サイト】英語を『読む』技能習得のための小・中連携―小学校からできる文字指導、中学校へ繋げる文字指導― 畑江 美佳
【参照サイト】英語習熟度別に見る英語学習の実態と英語に対する意識の違い-東京外国語大学専任講師 工藤 洋路:第1回 中学校英語に関する基本調査報告書【教員調査・生徒調査】 – ベネッセ教育総合研究所

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Junko

幼少より、英語に強い興味を持つが、中学英語以降、つまずきを経験。大学卒業後、恥ずかしさを抑え、一から独学にて勉強を再開。その後、学校・塾等で英語指導に従事。苦労や体験を生かし、一人を大切にする心で、英語力向上の力になりたいと願っている。