国際化が急進し、英語4技能(聞く・読む・話す・書く)を駆使して自らの考えを自らの言葉で表現するコミュニケーション力が求められるなか、子どもたちはどうすれば各技能をバランスよく身につけることができるのでしょうか。
CLILとは?
今、上記のような急務の課題への打開策として声価を高めつつあるのが、次世代型外国語学習法CLIL(Content and Language Integrated Learning:内容言語統合型学習)、通称クリルです。CLILは、理科や社会、数学、音楽などの教科または時事・環境問題などの幅広いテーマを外国語で学び、効率的に実践力を伸ばす学習法です。CLIL発祥地の欧州では、就業や学業における各国間のつながりが密接なことからも公教育でのCLIL導入が奏功し、複数言語習得の成功例も数多く存在します。欧州委員会は積極的にCLILの採用を継続し、今や多くの国で取り組みが実践されています。
CLILの10原則
CLILの頭文字「C」には、Content(学習内容)、Communication(言語)、Cognition(思考)、CultureまたはCommunity(文化/協学)の4つの学習要素が込められています。これらを組み込んだ、内容学習と言語学習とのバランスの良い指導がポイントです。CLILには次のような10大原則があります。
- 内容学習と語学学習の比重を等しくする
- オーセンティック素材(新聞、雑誌、ウエブサイトなど)の使用を奨励する
- 文字だけでなく、数字、図版、音声、映像による情報を与える
- さまざまなレベルの思考力(暗記、理解、応用、分析、評価、創造)を活用する
- タスクを多く与える
- 協同学習(ペアワークやグループ活動)を重視する
- 異文化理解や国際問題の要素を入れる
- 内容と言語の両面での足場(学習の手助け)を用意する
- 4技能をバランスよく統合して行う
- 学習スキルの指導を行う
(池田真「CLILの原理と指導法」『英語教育』第63巻第3号より)
英語学習の為の学習では学ぶこと自体に限界や苦痛を感じていた子どもでも、様々なテーマについて英語を介して学び考えるCLILでは好奇心を刺激され、前向きに取り組む姿勢が期待されます。覚えたり理解したりするだけでなく、学習を通して「応用」「分析」「評価」といった多様な思考を促される点も特徴です。文法力や語彙力はもちろん、学んだ内容や知識を自ら発信することで表現力も身につけることができ、4技能を統合的に磨くことが可能になります。
CLILを採用している英会話スクールは?
子ども向け英語教室のあいだでも、CLILをカリキュラムに取り入れ、より実践的な英語力を育むための指導に活用する動きが広がっています。
ECCジュニア
40年以上の子どもたちへの英語指導歴を誇るECCジュニアでは、長年の実績に裏打ちされた優れた教材開発と、4技能の習得に力点を置いた学習効果の高いレッスンが利用者の支持を得ています。CLIL指導では、発達段階に即したテーマを選択し、内容学習と言語学習を1:1の比重で統合。写真や画像を使用したクイズからレッスンを開始し、質疑応答で内容理解を深めた後は、学んだ内容について自分で考えた計画や提案を発表します。最後には、異文化理解に関するトピックについてクラスメート意見交換を行い、コミュニケーション力を高めることができます。
まとめ
義務的な学習から抜け出せない日本の子どもたちは、数多くいます。「何のための学びか」を忘れた目的意識の低下に連鎖する英語力の陰りを、大人たちも見つめ直す必要があります。英語教育の過渡期を担うCLILが促進するものは、「自学自習」ならぬ「自覚自習」であり、受動的学びではなく、自主性ある能動的学びです。何のために学び、英語をどう使っていくのかを意識した学びが、4技能をバランスよく身に付けることへの強い動機づけとなり、新たな学習価値を生むことは間違いありません。
【参照サイト】「内容」に重点を置いた英語教育の枠組みを目指して-内容ベースの教授法の比較- 永末順子
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Junko
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